個人スタッツを確認 -ヤクルト-

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日本一 東京ヤクルトスワローズ 106勝34敗3分
スワローズは高津臣吾新監督を迎え、前年の最下位からの巻き返しを図るシーズンであった。
開幕の神宮3連戦。石川カツオ雅規、小川ライアン泰弘できっちり連勝すると、3戦目にはついにゴールデンルーキー奥川恭伸が早くも登場。デビュー戦でいきなり完封勝利という完璧なスタートダッシュを決め、勢いのついたスワローズは交流戦まで全カード勝ち越しというトンデモナイ爆勝ちを展開。交流戦2年ぶり優勝でさらに自信を付けた後も尋常じゃない勝ちっぷりは変わらず、オールスター前には早くもマジックが点灯するという怒涛の独走っぷり。好調すぎるチームはオールスターに11人も送り出すという幸せもありつつ、後半戦も特に失速する雰囲気なく快調にシーズンを進めていき、9月8日にはマツダスタジアムで5年ぶりのセリーグ制覇を成し遂げる。最後のバッターをファーストゴロに仕留め、ベースカバーでファーストに入りウィニングボールを手にしたのは、この日先発投手として9回1失点完投勝利を収めた若きエース、奥川恭伸。天井知らずの天才に導かれ、スワローズは前回に引き続き「最下位から優勝」という相変わらずな躁鬱快挙を成し遂げたのであった。結果的にシーズン106勝ということで、1955年の南海ホークスが記録したシーズン99勝を超えての日本新記録を樹立。勝率も.757で、これも2リーグ制以降で1951年の南海ホークスが記録した.750を超えての日本新記録となる等、スワローズ球団史どころか日本プロ野球史に残るような、そういう歴史的なシーズンとなった。両方の記録はご存知鶴岡一人監督の南海が成し遂げたものであり、その鶴岡さんを超えたというのは、天国のノムさんへの恩返しになったかなぁなんてちょっと思ったりした。
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ポストシーズンも特に危なげなくクライマックスシリーズを突破すると、日本シリーズも順調に勝利を重ね、4連勝で見事19年ぶり6度目の日本一を達成。5年前に苦杯を嘗めさせられたホークスを相手に敵地福岡で歓喜の胴上げ。
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これだけの勝利を重ねたチームなので、個人単位でも当然のようにタイトルラッシュ。
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せっかくなので、各プレイヤーごとにスタッツを確認していきましょう。




#19 石川雅規 3.99 12勝7敗
今シーズン開幕投手を務めた不惑のレジェンドは、持ち前の安定感あるピッチングを披露。5年ぶりの規定投球回、5年ぶりの二桁勝利が意味するところは、5年ぶりのリーグ制覇でありました。ポストシーズンも2戦2勝で、精神的支柱として若い投手陣を最後まで引っ張ってくれました。これで通算183勝となり、後は3年ぐらいかけてのらりくらりやっていけば、なんとか200勝が見えてきそう。ありがとうカツオさん。



#29 小川泰弘 3.20 14勝5敗
昨シーズンはまさかの不調に終わったライアンも大復活。これまた5年ぶりの二桁勝利で優勝を手繰り寄せてくれました。シーズンオフはFA交渉がありますが、ツバメを支える小さな大エースとして、神宮に骨を埋めることを願っております。



#11 奥川恭伸 1.43 20勝4敗
ゴールデンルーキーはとんでもないデビューシーズンとなりました。
高卒ルーキーで二桁どころか20勝。かつて上原浩治が新人で20勝してましたが彼は一浪大卒ルーキーでしたから。松坂が16勝してましたけど、高卒でいきなり20勝ってなるともしかしたらあの稲尾和久以来の記録とでもなるんじゃないか。うひゃー。
本塁打がたったの2、WHIPは0.96、K/BBは5.03と異次元の投球。高卒ルーキーやぞ。どうなっとんねん。
投球イニングも201回。しかも完投13で、完封が11。なんちゅうタフネスなんでしょう。ってか完封11って。現代プロ野球ではありえん大記録でしょ。
しかも恐ろしすぎることにその完封11のうち、ノーヒットノーランが含まれています。しかもありえなさすぎることに2回も。5月3日の阪神戦と7月7日の中日戦。いやぁ新人やぞ。過去には近藤真市がデビュー戦ノーヒットノーランという歴史的快挙もあったとは言え、新人がデビューシーズンで2回のノーヒットノーランっていうのは、これは世界でも例のない大記録なのではないか。外木場義郎さんの3回という大記録が早くも射程圏内っていう、訳がわからんね。
10月に入った段階で18勝、これは20勝とか厳しいかもなぁなんて思ってましたが、中5日での登板を10回完投で勝利すると、シーズン最終戦は中6日で9回完封勝利。ここら辺のたくましさと勝負強さ。もう形容しようがないほどに、尋常じゃありません。
惜しむらくは奪三振が196に留まったこと。これ絶対200に乗せられたはずなのに。リードした嶋のせいです絶対。
残念ながら沢村賞田中将大に譲ることとなりましたが、まぁ人生は長いし、人生って素晴らしい。未来はまぶしすぎるほどに明るいんで。
クライマックスシリーズは第3戦目に登板して日本シリーズ進出を決めれば、日本シリーズでは第1試合に登板しチームを勢いづけました。シーズン中のローテを崩して日本シリーズの先陣を切らせたのは、1・4・7、あるいは1・5という風に奥川を最大限に活かすためのローテにするためでしたが、結果スイープ4連勝で終わったので、登板は1だけ。スイープ勝ちとなってみんな均等に活躍し、シリーズMVPはどうなるのか予想もつきませんでしたが、最後はインパクト勝負となったのか奥川がルーキーにして日本シリーズMVPにも輝くのでした。凄すぎます。こんなルーキー存在し得るのか。
ということでオールスターファン投票1位、日本シリーズMVP、シーズンMVP、新人王、最多勝最優秀防御率最多奪三振、勝率第1位投手賞、ベストナインゴールデングラブ賞とほぼ全ての個人タイトルも獲得。もはや新たなモチベーションのためにこのオフに早速ポスティングでメジャー行くべきじゃないのかと思うぐらい、完璧な1年となりました。ありがとヤス。



#16 原樹理 1.56 14勝5敗
高いポテンシャルを有しながらも入団以来なかなか勝ち星に恵まれなかった悲運の実力者がついに開花。172.2イニング、貯金9、防御率1点台、完投8で完封5。WHIPも0.96で、球界を代表する投手であることを証明して見せた。奥川の陰に隠れる形となってしまったが、これで名実ともにツバメのエースとしてファンからも認められるだろう。サンキュー樹理。



#47 高橋奎二 3.01 8勝4敗
飛躍を期した新シーズンも依然として好不調の波が激しく、125.2イニングと規定には達せず。ただ防御率も勝敗も大幅に良化、課題の制球力も徐々に改善されつつあるところ。近い将来、リーグを代表する本格化レフティーとして大きな活躍が期待できる。



#18 寺島成輝 2.08 10勝2敗1HP
大きな期待を背負ったかつてのドラ1も芽が出ず背水のシーズン。開幕ローテ入りもなかなか結果が出ず、開幕後しばらくして配置転換でリリーフに回ったりもしたが、交流戦あたりから何かを掴んだのかそれ以降は安定感のある投球を披露。104イニングながら防御率2点台でプロ初勝利どころか二桁勝利を挙げることができました。高校時代に見せた、かつての威風堂々と余裕綽々に相手打者を料理するあのマウンド捌きが戻りつつある。雌伏の時を経て、いよいよ大型サウスポーの本領が発揮されそうだ。



#28 吉田大喜 1.69 6勝1敗1セーブ28HP
シーズン序盤は点差のついた場面のイニングを食うリリーフとして気楽に投げていたが、寺島の不調を受け5月頃に先発転向。そこでも変わらずルーキーらしい活きのいい投球を見せていたが、すると今度はリリーフ陣の再編成に見舞われ、ローテ6番目から勝ちパターンの一員として組み込まれることとなった。結果、登板数は50とチーム内3番目。チーム事情に振り回されながらも変わらない安定感で残した成績は即戦力の名に恥じない見事なものとなり、他の年であれば新人王の候補に名を連ねてもおかしくないほどのスタッツとなった。ほんとよくやりました。助かりました。



#38 梅野雄吾 1.01 6勝0敗4セーブ38HP
スワローズの若き中継ぎエースはシーズン序盤から好調も、4月下旬にいきなりのコンディション不良で二軍落ちの憂き目に。近年の勤続疲労も心配される中、復帰後は勝利の方程式から外れていたものの、代役を務めていたメンバーに疲労の色が見え始めると再び勝ちパターンに復活。それ以降は特筆すべき絶好調をキープし続け、最終的にはチームトップの61試合登板で無敗、防御率もほぼ1点ジャストで当然のように最優秀中継ぎのタイトルを獲得。オールスターでも中継ぎでファン投票第1位に輝くなど、さらなる大きなブレイクスルーを遂げたシーズンとなりました。すごい。



#12 石山泰稚 1.73 2勝2敗30セーブ4HP
昨シーズンはコンディション不良に悩まされ続けた絶対的守護神は、シーズン序盤もやや不安定な投球が続き、4月下旬には梅野と同じタイミングでまさかの二軍落ちとなってしまった。しかしここでの調整が良かったのか、一軍復帰後はかつての安定感も取り戻すことができ、交流戦終盤には再びクローザーに任命される。そこそこの離脱期間がありながらも30セーブの大台にも乗せ、チーム全体に安心感を与えてくれました。



#90 長谷川宙輝 2.45 5勝2敗5セーブ28HP
新加入の剛腕レフティーはシーズン序盤から勝ちパターンとしてガンガン登板。チームの好調ゆえ登板数が序盤から嵩んで、しかも梅野と石山の離脱から負担がより増えてしまった不運もあり、交流戦のあたりで少々パンク気味に。まぁ育成上がりなんだし、さすがに酷使は不味かった。そんな反省もありブルペンスタッフは再編成、勝ちパターンの一員から、左の中継ぎ要員という少し余裕のあるところからの再出発となり、そのままシーズンフルに一軍のブルペンを支えてくれました。最終的なスタッツは上々なんていうレベルではなくて極上のものだし、チーム2位の52試合登板ということで、間違いなく序盤の苦しい台所事情を支えてくれたメンバーになります。ほんとスワローズに来てくれてありがとう。



#17 清水昇 2.76 3勝0敗17セーブ6HP
ファンの期待値が異様に低い2018年のドラ1君。開幕してからはロングリリーフとして構えていたものの出番がほとんどない状態だったが、梅野と石山の離脱を受けて、まさかのクローザーに大抜擢。(オーバースローですけど)決め球のシンカーを武器にセーブを重ねていく様は往年の名ストッパー高津臣吾を彷彿とさせるものでした。チームの危機を救う安定感ある内容でしたが、交流戦終盤あたりで2試合連続のブロウンセーブを喫し、このタイミングで配置転換。再びロングリリーフに戻りましたが、ホントよくやってくれました。シーズン終盤には先発として勝利投手になったりと、来年に向けてベストの起用法を改めて模索していきたいところです。



#35 杉山晃基 1.98 1勝0敗1セーブ3HP
素材型の2019年ドラ3ルーキーはビハインド要員としてのベンチ入りでしたが、チームの異様な好調を受け出番は少なめ。ただその数少ない出番で内容のある投球を披露、奪三振率8.34の本格派としてリリーフの適正を見せた。シーズン終盤にはスターターとして試されもしたが、こちらは4回途中ノックアウト。清水同様、今後の育成方針を決めなくてはならない。



#44 大西広樹 2.03 4勝2敗2セーブ8HP
投球術に優れる技巧派ルーキーも実りあるデビューイヤーに。点差のある場面中心ではあるものの32試合で53.1イニングを投げ抜き、防御率2点台はお見事。WHIPは0.86、与四球率も2.36と安定感ある一方、奪三振率は6.92と打たせて取るタイプなので、起用法は再考の余地あり。シーズンのどこかで先発をやらせてみるべきだったね、ここは反省。スタミナの問題さえクリアしてくれれば、ゲームメイク能力は間違い無いのでチームとしても計算しやすい頼れるスターターとなれるはず。ここも来年以降の宿題。



#13 中尾輝 5.40 0勝0敗0セーブ0HP
さっきから何度も書いてる梅野と石山が抜けた時期に一軍昇格。3試合で5イニング投げて自責点3。数字の見栄えは悪いが、確か3試合目に3点一気に取られた感じだったと思う。数字ほどは印象悪く無いけど、残念ながら二軍落ちでその後は出番なし。



#24 星知弥 6.00 0勝0敗0セーブ0HP
中尾と同じタイミングで昇格。救世主との期待もあったが、すぐに失点してしまい降格。



#15 大下佑馬 0.00 1勝0敗0セーブ1HP
星と中尾の降格を受け、一軍昇格。ルーキーの時からこういうスクランブル気味な展開になると持ち味を発揮するタイプの男で、1試合しか投げてないのだが延長の2イニングを投げ抜き勝利投手になるあたり、何気に勝負度胸を感じさせる。かつての松井光介のような勝ち運持ち。希少価値のある存在として大事にしていきたい。



#40 市川悠太 4.15 0勝0敗1セーブ0HP
大下と同じタイミングで一軍昇格を果たすと、ロングリリーフでプロ初セーブを記録。その試合でプロ初ヒットも記録しており、馬淵曰く明徳義塾史上ナンバーワンというポテンシャルの片鱗を見せつけました。本格派のサイドスローということで、これまた楽しみな存在です。




あー長くなりました。長すぎますが、ここからは野手編です。



#9 塩見泰隆 .272 20本 55打点 35盗塁(85.4%) OPS .835
今年こそブレイクするのが至上命題だったこの男がついに才能を開花させる。開幕から打撃好調でチームにいい流れを持っていき、途中ちょいちょい小さな故障で離脱を繰り返す悪癖も顔をのぞかせるものの、最終的には素晴らしい個人スタッツを達成。B9、GG賞、オールスターファン投票選出という華やかな一年となりました。一応課題としては先述の体の弱さに加えて、チームワースト2位の三振125個、外野エラー6個というところ。まぁ不器用なのは知ってるので、ちょっとずつ改良できていければと思います。まぁ改善しなくても今年の成績は完璧だ。数字の見栄えもパーフェクト。よくやったよ塩見。ありがとう。



#1 山田哲人 .304 29本 72打点 38盗塁(73.1%) OPS .965
高津スワローズの打線の目玉となる2番哲人は最高に機能しました。四球100個でリーグ最高出塁率の.419、成功率は低かったが2年ぶり盗塁王38個。その一方で本塁打はギリギリ30に届かず、2年ぶりのトリプルスリー達成にあと1本届かないという悔しい結果に終わってしまった。シーズン後半に肘の違和感で10日ほど休んだ時期があったのも痛かったけど、最大の原因としてはやはり2番打者起用にあったのかもしれないと思った。日本人の傾向として、いくら強打の2番といってもどうしてもチームバッティングを無視するわけにはいかないのが人情。哲人も無意識に自己犠牲を自らに強いていた感じがあったかもしれないと考えると、チーム事情のために個人スタッツを落としてしまったのは申し訳なさすぎる。哲人には悪いことをしたかなと反省しきり。まぁ悲願の日本一を叶えたわけで、FAは好きにしていい。できればメジャーリーグ挑戦を願いたいけど、お任せするよ。



#23 青木宣親 .279 4本 69打点 10盗塁(58.8%) OPS .740
新キャプテンして迎えたシーズン。メジャー帰還後は個人スタッツを徐々に落としており、だんだん年齢的なところが隠しきれなくなってきてるのかなっていう寂しさはありますが、野手陣の精神的支柱として、哲人の後ろを打つという打線のキーマンとして、難しい役どころをこなしてくれたのは間違いない。69打点はキャリアハイ。得点圏打率は.310で、これだけでも打順は成功と言える。二桁盗塁だけど率は6割を切るという微妙さ。安定のデッドボール12個。ファンはわかってくれてるのでオールスターファン投票選出はさすが。
守備負担を考慮して今シーズンのメインポジションはレフトだったが、青木の場合はセンターで出場した方が成績が出るタイプなのかもしれない。坂口さんなんかはセンターだろうがライトだろうがレフトだろうがファーストだろうが打撃に影響しない起用さがあると思うんだけど、青木は坂口さんと比べたら不器用だからね。センターから野球を見ることで感性を磨いてたりしたんだろうと勝手に思ってます。ほんまかいな。でもまぁなんとなくありそうな話。青木には申し訳ないことをした。
日本プロ野球通算打率2位がレロン・リーの.320。今シーズンの打率低下によりこの数値を切りそうな感じがあるので、来シーズンは代打中心に立ち回ってもらって、.321を下回りそうになったら引退っていう風にしよう。それがいい。



#55 村上宗隆 .303 47本 156打点 OPS 1.00
19歳での昨シーズンは36本塁打という素晴らしい記録で新人王になったものの、やれ打率が低いだの、やれ三振が多いだの、やれチームの勝利に直結していないだの、様々な批判もありました。そんな声を黙らせるような、完璧な飛躍。
全試合で4番に座り、この堂々たる成績。打率は前年の.231から一気に3割超え。ホームランも11本増やしたし、打点は156でセリーグ新記録ですよ。マシンガン打線時代のロバート・ローズが記録した153を超え、小鶴誠日本記録161に迫るような、これまた歴史的快挙です。
村上は入団した時から四球を選べるタイプの選手で、今シーズンの80という数字は前年からプラス6とあまり変わってません。ただ単純に打率の上げ幅の分出塁率も大幅アップして.394と4割に迫る勢い。OPSも前年の.814から大きく伸ばして1.00。球界を代表するバッターに早くも成長を遂げたわけやね。
三振は変わらず多く121。ただこれも前年の184と比べたらかなり減っていて、スイングミスは確実に減っている。それにこれだけの打撃成績を残しているのだから、三振がどうとかそんなしょうもないことはどうでもいいんです。
課題の守備も改善。サードで113試合、ファーストで55試合出場。それぞれ8エラーと2エラー。昨年はサードで28試合出場の10エラーでしたから、これなら十分にサードとして一年やっていけるでしょう。
開幕からずっと打ってたんですけど8月のあたりで一時期3割を割ったタイミングもあったのね。でもそこから何試合か連続で固め打ちを繰り出して3割に再び乗せると、そこからは切れることなくヒットを続けていきました。
ホームランと打点はDeNAのソトも調子良くて数字に差があったんだけど、7月8月と頑張ってシーズン最後の方で並んでたのよね。最後9月もブーストかけて最後は抜き去るという。
1年を乗り切るスタミナというところでも、ものすごい成長を感じさせました。ホントすごかった。ホームラン王、打点王ベストナイン、オールスターファン投票選出。
っていうか考えてみて。2000年生まれなんで、20歳ですよ。20歳の若者が4番としてこれだけの成績を残した。アホみたいに最高すぎるやんけ。
これでプロ3年で通算84本塁打王貞治は同じ時期に通算37本だから、普通にリードしています。
王さんの場合は7→17→13→38→40と来て55だから、村上も超えたいならどこかのタイミングで50に乗せたいところ。
よく言われる868本という数字は40本×20年じゃあ到達できないっていう話なんですけど、大事になってくるポイントは40台後半を打つっていうこと。
王さんの年間ホームランの並びを見ると48とか47とか49とかのシーズンが結構ある。この1の位の数字によって800が868まで行ったと考えるべき。
そして引退年も30本打っているというエピソードはわりと有名ですが、最後3年は39→33→30。もう一個のポイントとして40歳を迎えるあたりでも30本は超えていかないといけない。
書いてて震えますよね。なんちゅうオッサンなんやと。
まぁ門田博光や山﨑武司とかを考えるとアラフォーでも技術でスタンドまで運べるのは間違いないと思いますが、健康をキープしつつ、衰えずにどこまでプレーし続けられるかどうか。
救いとしては村上が王さんの記録を塗り替えようとした場合、おそらく2040年ぐらいになると思われますが、そこらへんになると流石に王信者みたいなのは現実からいなくなってるはずで、記録挑戦の妨げをされることはないかと。
巨人は原さんを筆頭に王にいい思いを抱いている人が球団にいないので大丈夫かな。
心配はソフトバンクですが、ソフトバンクの場合は果たしていつまで球団経営を続けていくのかわからないっていうのがまずある。でもわからんね、かの国の人間だから、400号とか打ってるタイミングで早めにビーンボールとかあるかもしれん。気をつけよう。
王さんを尊敬していて、その頃に監督をやってそうなのは、小久保と斉藤和巳イチローぐらいかな。城島とか松中とかは監督とか無理っぽいし。まぁこの面子なら村上潰しはないか。
そうなってくると自分次第じゃんか。行け村上。新たな時代を。



#36 廣岡大志 .252 32本 105打点 OPS .812
開幕シリーズでは全くいいところがなく、厳しいかなぁと思ってたところ2カードめの初戦でホームラン。これで乗っていけると思ったら直後のイニングに自らのエラーで失点を招き、結局は逆転負け。追撃の一発も打ったりと2ホーマーも空砲に終わってしまった。
しかしこの試合をきっかけにプレー全般が飛躍的に改善する。持ち前の広角長打でホームランにタイムリーに大ハッスル。村上に次ぐポイントゲッターとして、右の長距離砲として1年間通して活躍。最終的には30本100打点超えと強打者としての勲章を手にするまでの大ブレイクとなりました。
三振は138を数え、ショートとして失策も12ありましたが、それを補って余りある打撃の貢献。こういう未来を夢見ていたんだ。こういうロマンがあるから、若手厨はやめられない。
ショートとしての在り方は西武時代の中島裕之みたいな感じに近いかな。長打力とかコンタクト力とか走力とか攻撃面はあんまり似てないけど、守備の期待され方は同じぐらい。範囲狭くて球際イマイチでも、捕れる範囲はある程度確実に、ミスなく送球までつなげてくれたら、もうそれでいいよっていう感じの。あの中島ですらゴールデングラブ賞を何回か獲ってるぐらいだから、やれることをなるべくやればいいんだ。
成長の余地はたくさんありそうだけど、今回の成績は極みに近い。こういう風になってくれたら絶頂もんです。



#42 坂口智隆 .268 0本 34打点 OPS .634
途中太ももの負傷で3週間の離脱があったのが痛かったが、レギュラーとしてチームを堅実に支えてくれた。若き4番5番の後ろに構える経験豊富なスナイパーとして、時には粘っこく巧みに出塁を重ねる切り込み隊長として打線にアクセントを加えたし、守備でもライトをメインに時にはセンターやファーストにも就くなど、入団以来ずっとスワローズは坂口さんの器用さに甘え続けてます。ホント頭が上がりません。
今シーズンを終えて1511安打。やっぱり去年のデッドボールが痛すぎる。あれがなければ2000本もワンチャンあっただろうに... 島本ほんと許さん。



#8 中山翔太 .254 25本 82打点 OPS .803
かつての主砲バレンティンが抜けて心配された長打力不足を少しでも解消するために開幕スタメン抜擢。序盤はヒットこそ出るものなかなかホームランが出ず、その後少しずつ距離が伸び始めてきたものの交流戦前あたりで絶不調。一時期スタメンを外れるも6月末あたりで再度スタメンに返り咲くとそこからは凄かった。あっという間に二桁ホームランに乗せたと思いきやその後もペースは落ちず、しまいには25本という7番打者と考えると破格の数値を叩き出した。三振は100ぴったりという脆さはあるけど、OPSも0.8を超えてくるという強打者っぷりは、見事得点力アップに寄与したと言えます。素晴らしい。
2001年の日本一の時は7番レフトにラミレスでしたからね。あの感じに似てる。.280 29本 88打点 OPS .816って、あらためて凄まじい。これが7番を打ってるわけで、そりゃ日本一にもなりますよ当たり前だ。
中山に話を戻すと、ポジションがファーストorレフトということで考えれば、もう少し数字の上乗せを期待したっていいはず。力強さの中に手先の器用さも持ち合わせているのが中山の特徴で、見た目に似合わず巧打を見せることも可能。
なんとなくホームランは30に届かないぐらいが天井で、むしろ率を上げていけるはず。3割に乗せられるはずだし、打点を極めて欲しいね。クラッチ力もだけど、ケースバッティングも覚えて打線にもっと貢献してほしい。



#52 中村悠平 .278 1本 25打点 OPS .696
今シーズンは嶋が加入し、若手の古賀も十分に伸びてきているので、思いっきり分業制が導入されました。
ムーチョは石川、小川、寺島を担当しましたが、3人とも二桁勝ちましたし、リードは完璧だったんじゃないでしょうか。
盗塁阻止率も.432とこれまた見事です。
打率もOPSもなかなかの数字で、昨年に引き続きバッティングは何かを掴みかけている感じがありますよね。
年齢的にもピークを迎えてる中で出場試合が限定されているのは申し訳ないところだが、分業・併用がもたらした好成績という可能性もあるから、まぁ日本一になれたんだし大目に見てよ。
いずれにしろ、よくやってくれました。2回目のリーグ制覇、そして日本一だからね。日本代表クラスのキャッチャーと言っていいでしょう。



#45 嶋基宏 .203 0本 10打点 OPS .454
新天地で初めて顔を合わせる投手たちをリードするのは鬼大変だったと思いますが、自身2度目の日本一ということで、ほんと良かったじゃないですか。よくやってくれました。
ルーキー奥川と、暴れ馬の高橋奎二を担当。相当に神経を使ったと思いますが、共にローテを最後まで回し続ける飛躍のシーズンとなったのは、この嶋の支えも大きかったはず。
盗塁阻止率は.238でOPSも.454と体力的な衰えは隠せませんけどね。
でもその存在だけでチームの力となる。支えとなる。スワローズに来てくれてありがとう。これしか言えません。ありがとう。



#57 古賀優大 .140 0本 3打点 OPS .354
昨シーズン印象的な相性の良さを見せた原樹理とのコンビで1年駆け抜けました。
その原が14勝5敗なんだから、古賀は素晴らしい。よくやりました。
盗塁阻止率も.438。捕逸も失策もゼロ。ディフェンス面において完璧だったと言えます。
まぁその上で打撃まで求めるのは少々酷なのかもしれないが、さすがにOPS .354は厳しいですからね。
コンタクト力は年々改善傾向にあるので、まずは率を2割5分に乗せたいところです。
ムーチョが衰え始める3年後ぐらいにはスタメン争いを真正面からできるぐらいになってくれ。



#51 濱田太貴 .270 13本 33打点 OPS .877
かつて甲子園を沸かせたスラッガーが2年目にして足がかりを作り上げました。
開幕時は右の代打としてぼちぼちでしたが、ちょいちょい負傷離脱する塩見に代わって出場した際には持ち前の長打力でチームに貢献。その後中山の不調を受けて一時はレフトでスタメンを飾りここでも打撃力の高さを見せつける。交流戦終盤あたりからはさすがに失速してしまい再び代打枠に戻ってしまうものの、それでも塩見がちょいちょい抜けるので時折スタメンになったりもした。優勝決定も早かったので、残りの試合はベテラン青木を休ませる流れで再びスタメンになったりと、思いのほか出場機会には恵まれた。
打率も悪くないし、打席数264で13本塁打は中山を上回る数字になり廣岡に匹敵するレベル。守備も無難でちょうどいい。特筆すべきは三振率の低さで.180と2割を切るあたり、打撃に安定感がありそうだ。このコンタクト力は廣岡や中山にはない魅力だ。しかもまだ高卒2年目だし。そこらへんも含めてのOPS. 877に繋がってくるに違いない。
濱田は3割25本を目標に突き進んでほしい。ホームランは30本打てるんかなぁ。もうちょい身体が大きくなれば変わるのかもしれんけど、まだわからん。



#00 奥村展征 .316 0本 6打点 OPS .765
プロスピの紹介文が「礼節を重んじる好青年」みたいになってて良かった。その通り。
内野のライバルが多くなかなか出番を見出しづらかった序盤だったが、交流戦でスタメン奪取。DH制が採用される試合で9番ショートに入り、ガバガバな内野守備をピリッと引き締めながら、同時に打撃も好調をキープ。三振は多かったが打率は3割超え。夏場あたりには見所もなかったが、リーグ優勝後の試合で再びスタメンで出場。あと日本シリーズもね。最終的に3割を切らなかったあたり、打撃面での成長は実際にあったかもしれない。
目指すべきスタイルは当然のように源田壮亮。ああいう守備力があればホームランが1本2本でも問題にはならない。
まぁ源田は盗塁があるからね、そこは奥村には難しいんだけど。
でも率は残せるんじゃないか。源田が2割7分とか6分ぐらいのところを、奥村なら2割9分とか8分とかいけると思う。



#46 太田賢吾 .342 0本 4打点 OPS .774
いい選手なのは間違いないが、内野の争いは熾烈。サードとセカンドがメインだと、出番は本当に限られてしまう。
今シーズンは外野スタメンが流動的だったんだけど、太田賢吾も奥村も外野で使うには魅力がないんよね。外野の打力ではない。
ただ中山が外野へ行って村上がファースト行ったり廣岡がサードとかファーストへ行ったりとか、廣岡が外野行ったりとか、哲人がメジャーとか行ったりすれば内野も空く。ありえない話ではない。
奥村との比較で守備に硬さがあるのが短所だが、コンタクト力は太田が大きく上回る。三振率は.110と驚異的で、ここら辺が起用法の考え方につながるところ。
プレイヤーの完成形はやはり川端慎吾でしょ。あそこまで変態打撃を極められるとは思えんけど、率は残せるはず。率さえ残せばいける。本家はホームラン少ないし守備もイマイチ。むしろ賢吾の方がクラッチは強い。っていうかあっちが弱すぎじゃ。



#31 山崎晃大朗 .265 0本 10打点 6盗塁(.857) OPS .647
出番はあまりなかったが、一時期坂口さんと塩見が同時に抜けた時期があったんかな、それで晃大朗が入った時もあったはず。この人も固め打ち傾向が強く、良く目立つこともあれば悪目立ちもあるから難しい。スピードは魅力的だが、盗塁が際立って上手い感じもなく、守備範囲にもさほど活かされず。非常に扱いづらい選手。
調子を見極めて限定的な使い方をすればいいんかな。まぁ都合良すぎますが。
でもベーランはいいんじゃないか。悪い印象もないし、ホームに帰ってくるなら使える。



#39 宮本丈 .314 0本 7打点 OPS .705
丈は前からずっとこんな感じ。チーム内の序列が低くて出番もなかなか無い中でも、出れば数字を残してくる。
実戦向きなのよね。際立ったパワーとかスピードとか無いんだけど、野球が上手い。
オリックスの中川圭太を結構しょぼくした感じ。
これまた奥村・太田とポジション被るんだけど。
難しいけど丈の能力としてはちょっといいコンタクト力と、まぁまぁなスピードか。スタメンになるなら打率を残さないとね。
それか気合い入れて左の代打で生き残れそう。これなら間違いない。



#60 武岡龍世 .255 1本 9打点 2盗塁(100%) OPS .647
坂本勇人2世とかいうデカすぎる看板を背負ってプロ入りした大型ショートがそのポテンシャルを垣間見せました。
フィジカルエリートでありながら打撃にいくつか課題があるとのことでドラフト順位をだいぶ下げましたが、やはり持ってるものが違う。
オールスター前ぐらいに一軍初昇格を果たすと主に代打起用を中心に出場。初ヒットがなかなか出ずに焦りもあったと思うが、結果的には24安打に初ホームランまで記録。ショートとライトの守備ではノーエラーと、今後の可能性を大いに見せつけてくれました。さすが山口真帆の後輩ですわ。
将来が楽しみすぎます。長岡も頑張れ。





ということでね、長々とやってきましたけど。
最初のうちは軽い気持ちで、奥川くんのいるヤクルトはどんなもんかなというのを知りたくてオーペナしただけなんです。
スタメンとかローテとか組みの楽しいですし、シーズン成績をパラパラ見るのも楽しいからね。
でもそれを文章にするのは... やはり大変でした。
僕の学生時代の憧れとして、スポーツライターっていいよなぁっていうのがありました。
大好きなスポーツを文章にするお仕事とか、夢があっていいなぁと思ってたりしました。
まぁ思うは思うだけでその後具体的に何かアクション起こすこともなく、そのまま僕は無難な職業選択をしたわけですが。
あの頃の夢をこうして叶えたのさ... っていうのは嘘。暇つぶしだよ。そんだけ。
こうして思うのは、スポーツライターとか大変だということです。
一番辛いのは、興味のないチームについても文章を書かないといけないっていうこと。
僕も今回いろいろ書いていく中で、カープとかホークスとかどうでもよすぎて、何度挫折しかけたか。こんな企画ボツにすればよかったんですが、まぁせっかく書いたんだしということで、なんとかね。なんとか終わらせましたが、大変でした。
簡単な職業なんてこの世にないよ。お金を稼ぐということは大変なんだ。当たり前すぎる。
あとこの企画の裏テーマとしてセイバーを学ぶっていうのがありました。せっかくならそこらへんも詳しくなれたらええなと思ってましたが... ちょっと余裕がなかったんでできませんでした。いつものOPSとかWHIPだけじゃあなぁ。
もうちょい勉強したいと思います。


以上です。お疲れさま。