スワローズ 2021 レビュー pt.1

空いてる時間にコツコツ書き留めていたんですが、さっき見たら合計40880文字だってさ。
マジかよ。4万字とかロキノンやん。自分たちのロックが〜的なアレやん。


長いので分割しました。
どうぞ。




0 並木秀尊 不明 .250 0本 2打点 4盗塁 OPS.900
不明っていうのは血液型の話です。不明って...
サニブラウンに勝った五十幡亮汰(日本ハム)に勝った男」というありがたい称号を提げて入団した韋駄天。シーズン序盤にそれなりに見せ場を作ったが、今シーズンのチームが比較的打撃に長けていてスチールをそれほど多用する流れにならなかったのもあって、中盤以降は出番なし。まぁ若くして代走屋で終わるのは申し訳ないしね、それならファームで守備と打撃を鍛えてくれと。とりあえず将来的には間違いなく戦力として期待できる存在なので、その時まで全体的に大きくなってくれれば。プロ初ヒットが引っ張ってのタイムリーツーベースで、これで打撃が比屋根並みの水準まで持ってこられたら面白そうだね。来年は近いプレイスタイルで新人の丸山くんが入るので、負けずに頑張って欲しいところ。

00 奥村展征 O型 .050 0本 0打点 OPS.145
謎の大怪我を乗り越え復活。最序盤のコロナ禍スワローズにてチャンスがあったが結果を残せず。ただイースタンでの日々にて打撃が覚醒したのかアベレージ3割超えの打棒で大暴れ。やたらグランドスラム打ちまくってて、いきなり一皮向けたのか。一軍で出るにはショートかファーストか、それとも外野かっていう話になるんだけど、大変よ。ショートはもう守れないんだろうか。なんとかして欲しいところですが、まぁ慌てることなくね。持ち前のキャプテンシーと品格でチームに和をもたらすリーダー肌は絶対に貴重。哲人を笑わせたり奥川を和ませたりするその人間性は本当に本当に大切にしたい宝物。小技をしっかり鍛えてもらって、最低限将来的には荒木枠に収まれるように、あわよくばショートレギュラー掴めるように頑張ってね。

1 山田哲人 O型 .272 34本 101打点 4盗塁 OPS.885
生涯スワローズを誓った7年契約、そして望外にも程があるキャプテン就任。迷いを振り払い覚悟を決めた男が、昨シーズンの不振から再び立ち上がる。決して体調が万全でない中、攻守にチームを引っ張り続ける。そして、要所要所での的確な声がけ。本当に理想的なリーダー誕生の瞬間。誰もが一度は妄想するけどまぁ哲人の性格的に無理だよなと諦めた、理想の形。山田哲人キャプテン就任をもって、いよいよチームは完成した。
野球の神様に愛されし男が、導いてくれる。かねてからの目標だった東京オリンピック金メダルの最大の原動力としてMVPに輝くと、その経験を村上と共にチームにフィードバック。負け犬集団だったスワローズを生まれ変わらせ、シーズン後半怒涛の大反撃。阪神との熾烈なデッドヒートを制すと、勢いそのままにCSで巨人を一蹴し、オリックスとの壮絶な死闘となった日本シリーズも制して、悲願の日本一。一番の高みまで導いてくれた。
なんて感謝すればいいんだ。オレは好きな選手が好きなチームでプレイするってだけで幸せなのに、日本一っていう、こんなにも大きな幸せまでくれるなんて。
ありがとう哲人。本当にありがとう。幸せだよ。こんなの幸せすぎるって。ありがとう。
日本シリーズの3ランも、韓国戦の決勝タイムリーも、最近得意になった逆シングルからのジャンピングスローも、全部ひたすらカッコ良すぎるんよ。
まごうことなきスーパースター。全知全能の千両役者。今から銅像作っとけ。
山田哲人、夢へと続く道シーズン3。そして伝説へ。
来年もよろしく。

2 中村悠平 A型 .279 2本 36打点 OPS.718
2015年にリーグ優勝をもたらした立役者の一人でありながら、それ以降のチームの不振、特に投手陣の崩壊のスケープゴートにされてきたのは、今思っても理不尽が過ぎた。まぁ多少リードに不備はあったのかもしれないが、あのメンツでどうやって抑えるんだよっていうのが実情だったのに。流石に叩かれすぎだったよな。
2020年はぎっくり腰などで試合出場が激減し、チーム内の地位も決して安泰ではない中での2021年シーズン。
ターニングポイントが3つ。背番号を2番に変更、スワローズ最強レジェンド古田敦也臨時コーチの指導、そしてコロナ禍スワローズの2番キャッチャー中村悠平
古田が来てくれたのは嬉しかったしぜひ学んでくれと思ってたけど、まさかあの数週間の指導でここまで変わるとは。明らかにリードの引き出しは増えたし、さらには盗塁阻止率も目に見えて改善した。ディフェンスの隙はほぼほぼ無くなった。
そうなると打撃に余裕が出来る。元来高卒1年目のイースタンで3割を記録した男だ。力がないわけじゃないんだ。
シーズン序盤、コロナ禍で濃厚接触者の青木、内川、川端を失う危機的状況の中、与えられた2番打者という大役。当時はチームとして相当に苦肉の策ではあったが、これを意気に感じてくれたのか、ここから打撃が一気に開花する。元々定評のあったバントや流し打ちといった小技もさることながら、アベレージも上げ、勝負強さまで身につける。崩壊寸前だったチームを救う見事な活躍。
コロナ離脱メンバーが帰ってきて、来日が遅れてた助っ人コンビも合流しても、好調は変わらず。打線の最適解を探していく中で、最終的に導き出された役割は6番キャッチャー。5番と7番に座る両助っ人の間に入り、潤滑油としてこれまた極上の働きを披露。潤滑油というと就活生ばりのチープさが出るけど、舐めんじゃないよ。チャンスメーカーとしてもポイントゲッターとしても機能するっていう、とにかく頼もしかった。頼りになりまくった。
中村のリードは理想が高すぎるっていう文句が前からあったんだよね。理想が高すぎるせいでピッチャーが要求に応えきれずに打たれると。でも奥川、高橋奎二、清水、原樹理、金久保と期待に応えられるだけのメンツも揃ってきたんだ。そこもよかったんだろう。
日本シリーズMVPは当然の結果。本当によくやったよムーチョ。今年もありがとう。
堂々と背番号27を受け継いでくれ。でも案外2番も気に入ったかもしれんな。2番の歴史を作って行くのもありか。
任せます。もう何を言っても許される。スワローズ史に残る名キャッチャーの一人になったんだ。
来年もよろしく。

3 西浦直亨 B型 .223 5本 24打点 1盗塁 OPS.620
偶数年はそこそこやるものの奇数年は上手く行かないっていう隔年傾向が強めなのが西浦。実際正直今シーズン序盤中盤の西浦の印象が全然ないのよね。覚えてるのは奥川のプロ初勝利の時に一緒にお立ち台に上がったことぐらいか。ライバルの廣岡もいなくなり嫉妬の対象もいなくなったことで、だらしない感じになってしまったわな。
しかしそんな西浦ではあるけど、やっぱり独特の持ち味がある。シーズンの終盤に再昇格を果たすと、ぼちぼちと活躍を見せ始める。当社比で安定感のある守備、そして脈絡なく唐突に快音を鳴らす謎の打棒。9月10月のスパートに一役買ってくれました。
最終盤には元山が一歩前に出たかに思わせて不運の骨折、そこで再び嫉妬ゲージを貯め込んでた西浦の登場。好調は日本シリーズの第3戦ぐらいまで続き、なんとかいい感じに持ってくれました。
来年は偶数年なので、また西浦ディミール直ミティンが見られるかもしれません。お楽しみに。
今年もありがとう。来年もよろしく。

5 川端慎吾 O型 .372 1本 18打点 OPS.908
毎年毎年いいシーンは思い出せる。そりゃ好きだからね。ファンだからね。
でも本当にもどかしい。こんなもんじゃないと、僕たちはみんな信じていた。
こんなところで終わるような男ではないから。
天才は何度だって甦る。何度でも。甦ってみせるよ。
チームが積み重ねたシーズン73とCS2と日本シリーズ4の勝ち星。その一番最初と一番最後の決勝点を挙げたんだ。
無双していた巨人のビエイラからのタイムリーとか、奥川に勝ちをつけて難敵・勝野昌慶に土をつける決勝ホームランとか、チックのサヨナラタイムリーにつながる広島フランソワからの同点タイムリーとか。
試合終盤の切羽詰まった状況で、しかも相手は完投ペースのエースか勝ちパターンのリリーフで、たった1打席しかないチャンスで、これだけの成績を出すという凄みを、あらためて理解しないといけない。
そして静かなるリーダーシップ。塩見のバッティングの師匠として、哲人や村上や奥川の精神的な支えとして、どれだけチームメイトに安心感をもたらしてくれたか。
ありがとう慎吾。本当にありがとう。これからもよろしく。ツバメを勝利へ導け慎吾。
できればファーストに入りたいよなぁ。なんとかならんかなぁ。

6 元山飛優 AB型 .255 3本 17打点 2盗塁 OPS.653
常勝軍団・東北福祉大から参入した俊英は、期待以上の活躍を一年目から披露。本人も自信あった守備はシーズンが進むにつれてどんどん安定していったね、レンジも広く球際も強いし、非常にポテンシャルを感じた。バッティングも柔らかさがあって面白い。外角をナチュラルに流し打てるし、インコースを思いっきり叩くこともできる。使えば使うほど良くなっている実感もあったし、より本質を掴みかけている雰囲気もあっただけに、あの大瀬良から貰ったデッドボールは本当に痛恨の極みだったな。本当に勿体なかったけど、まぁ優勝争いのヒリヒリした戦いはそれなりに経験できたし、日本シリーズも代走でちょっと出番を貰えたりと、まぁ通して見ればいい一年目だったと思うよ。焦ることはない。
近いうちにレギュラーも獲れるだろうし、次世代のセリーグナンバーワンショート争いにも加われるだけのモノはあると思ってる。
完成形は源田壮亮なんだろうけど、いやもっと打撃は上回れるよ。3割も狙えるし、二桁ホームランも狙えると思う。クラッチも強そうな気がするから、2番だけじゃなくて3番とか6番とかも十分ハマれる。
元山の物怖じしない勝負度胸と、程よくポップで十二分にシリアスなキャプテンシーが好きなんよ。オレはめちゃくちゃお前を買ってるんだ。頑張れよ。期待してる。
今度の松山の温泉組と一緒に自主トレするらしいじゃないか。学ぼう。慎吾と哲人っていう最高の先生、最高の教科書がこんな身近にあるんだ。頑張ってね。

7 内川聖一 B型 .208 0本 2打点 OPS.476
入団決定時は期待と不安が半々ぐらいのリアクションが多かったかな正直。まぁ実質戦力外からの獲得みたいなところはあったし。
シーズン初勝利に繋がった同点タイムリーと、カープ戦のサヨナラ打。まぁこれだけあればいいじゃないか。文句言うなよ。
あとはキャンプの時に青木と二人で山田哲人の打撃指導にあたったり、中山翔太の打撃指導にあたったり、あと廣岡大志の質問で犠牲フライシチュエーションのバッティングの心構えに答えたりとか。
チックは将来のコーチ業までを見据えての獲得よ。時を超えて今もなおチームに脈々と流れる中西太流打撃理論。中西太若松勉伊勢孝夫(今や阪神にゴマするだけのウンコですが)、そして杉村繁。杉村さんの流れを汲むのは青木、畠山、内川、山田、あと意外と坂口かな。将来の候補が増えるのはいいことよ。
何となく慎吾は若松さんの流れっていう勝手なイメージ。

8 中山翔太 A型 .091 0本 1打点 OPS.377
ルーキーイヤーにそれなりの打撃を見せ今後を期待させたのに、昨シーズンは成長を見せられず、そこから気持ちも新たに臨んだ新シーズンは過去最低の成績という絶望。年を重ねるにつれて悪化して深みにハマっていくというのは心底不味い。守備も全く改善しないし。
明治神宮奉納試合で3安打した時の中山は粘り強かったイメージ。外角に逃げていくスライダーをうまくバットのヘッドをギリギリまで返さずに粘って拾ってたイメージがある。パワーヒッターとしては弾道が低そうなんだよな。だから目指すべきは畠山和洋だと思うのよ。打点乞食を目指せ。そのためにはやるべきことがたくさんありすぎる。
まだ焦る必要はない。打撃フォームとか模索してもいいから、まずはコンタクト力を身につけられたら。
頑張れよ。まだ諦めてないから。

9 塩見泰隆 B型 .278 14本 59打点 21盗塁 OPS.798
イースタンリーグ、フェニックスリーグ、オープン戦で毎年大爆発と、まさに公式戦以外では大暴れする生粋の二軍の帝王が、ついに、ついに今シーズンにブレイク。強いリストと驚異的な脚力で攻守に躍動。チャンスメーカーだけじゃなくポイントゲッターとしても重要な役割を果たし、シーズン終盤はほとんどの打点を塩見と青木だけで挙げていたぐらいのイメージ。クライマックスシリーズ日本シリーズも含めて、勝負所の10月11月をやたら打ちまくってくれたけど、一体どんなメンタルコントロールを身につけたんだ。っていうかやれるなら最初からやってくれよ塩見。青木組の自主トレで掴んだのか。
そしてあの足。センター守備に安定感をもたらしてくれたし、あの光速ベーランですよ。哲人のサヨナラ内野安打@巨人戦も、村上の浅いショートフライからの生還@CS巨人戦も、慎吾の決勝タイムリー@日本シリーズG6も、塩見の素晴らしい脚力あってこそ。
阪神戦や巨人戦など、上位との戦いに強いイメージがある。大一番で力んだり萎縮したりする選手が多い中で、どれだけ頼りになったか。しかもあの塩見が。あの二軍の帝王が。ようやったよホント。
お前がいなかったら絶対無理だったよ。お前の存在が全てを解決してくれた。力強く牽引してくれた。
ありがとう塩見。2017年ドラフト組の兄貴的存在。素敵なムードメーカー。
ポテンシャルを思えばまだまだこんなもんじゃないけどね。もっともっと大きくなれる。
でもまずは健康第一。今年やったような小さい地味な怪我を何とか防いでくれ。とりあえず来年はフル出場できるようにね。
ほんとお前がいないと話にならないんだから。自覚を持ってさ、来年も頼むよ。期待してます。

10 荒木貴裕 AB型 .200 0本 5打点 2盗塁 OPS.462
近年は打撃成績も落ち込んでいてファンからのヘイトも不当に集めていた感じもあったが、今シーズンは一定の役割をこなしてみせた。
特にシーズン最序盤のコロナ禍スワローズにおける5番ファースト荒木の有効性よ。ひたすら黒子に徹するばかりでしたが、丁寧にバントでチャンスを拡大していくあの働きは効果的だったと思うし、2015年シーズン序盤の5番ライト田中浩康を思い出して、ちょっと泣きそうになった。あの後浩康はデッドボールかなんかでいなくなってまうんだけど、シーズン最初のチームの安定を作ってくれたから、感謝があるのよ。
バントなんてセイバー全盛期の今では旧時代作戦すぎるっていう批判があるのはわかるけど、弱いチームは形から入ることも必要。チームみんなでひとつの形を作ることで、連係が生まれてくる。野球は決して個人スポーツではない。なんだかんだ団体戦なんだ。バントをして意識づけ、ベンチの盛り上がり、方向性の統一っていう意味では一定の効果が見込めるのではないか。
特に日本の野球は高校野球育ちの奴しかいない。送りバントという高校野球定番の形で、青春の熱い情熱がプロの世界で甦るのかもしれない。
お願いだから落球はしないでね。なるべく。
来年もよろしく。

11 奥川恭伸 O型 3.26 9勝4敗 91奪三振 WHIP1.04
2019年10月17日。忘れもしない。高津臣吾監督が引き当てた奥川恭伸の交渉権獲得のくじは、2021年シーズンのセントラルリーグの覇者を決めるくじでもあったとは、当時誰も知る由もないよね。
昨シーズン最後に一軍デビューして、その時はクソみたいにいろいろ叩かれましたが。
やっぱり控えめな男ですから。新しい環境に慣れるまで時間が必要なのよ。
そして器用な男ですから。必要な変化球のブラッシュアップのスピードよ。あのドロンとしたスライダーの割合を減らし、カットボールとフォークの精度とキレを高める。口で言うのは簡単だけど、そう簡単に変化球って覚えられるもんじゃないからね。覚えるだけじゃなくてそれを実戦で使えるところまで一瞬でブラッシュアップしてしまうその凄み。やっぱり只者じゃないのよ。舐めんじゃないよ桑田め。
中10日&100球縛りがもたらしたものは、極力まで無駄球を減らしてのゾーン勝負。その結果生まれたコースを間違えないためのコントロール、そしてゾーン内で相手を討ち取るためのキレとノビ。省エネの中で、球の強さ鋭さまで実戦で手に入れてしまったよ。
シーズン中盤から尻上がりに調子を上げて9勝。中断明けの開幕戦、大一番の阪神戦、クライマックスシリーズファイナルステージの初戦、日本シリーズの初戦まで、プロ2年目が味わえる経験としてはマックスに近いんじゃないか。
盟主ジャイアンツとのクライマックスシリーズマダックス達成するし、球界ナンバーワンエース山本由伸との投げ合いで互角に渡り合うとか、もうとてつもない加速度で成長し続けてくれている。
何ひとつ心配などいらない。怪我だけ気を付ければ、近いうちに沢村賞まで見えてくる。スワローズ史上ナンバーワンの称号は金田正一がいるからアレだけど。
来年以降は開幕戦、カードの頭、短期決戦の初戦を全て任されると思う。毎回しんどいと思うけど、それがエースなんだ。
今年シーズン終盤に甲子園での阪神2連戦の頭で負けて以降チームが1週間近く勝てなかった時期があったのよね。やはり連戦の頭にエースで落とすって言うことがこれだけの不安となってチームを襲うんだということなんよ。そこは骨身に沁みて感じたと思うし、学んでくれた結果がポストシーズンの快投だったと思う。エースとはそれだけチームを背負う存在なんだと。大変な責任だけど、それがエースの宿命ってヤツよ。
世界最強のピッチャーになるんだろ。その夢を神宮で叶えないか?
ありがとうヤス。お前がスワローズに入ってくれて、お前がお前でいてくれて、本当にありがとう。来年も特大に期待してます。ありがとう。

12 石山泰稚 A型 3.60 0勝5敗 10S 9H 64奪三振 WHIP1.16
FA宣言せず残留してくれたツバメのクローザーは今年滑り出し数試合は良かったけど、勤続疲労なのか怪しさは最初から付き纏っていた。一度ブロウンセーブを喫するとその後もズルズルと持ち直せず、非情の2軍降格。その後も復帰するものの、まぁ起用法もイマイチ定まらなかったのもあって結局最後までしっくりこないままフィニッシュ。たまにいいところもあったけど、そこで安心するとまた撃たれたりと波が落ち着かない。阪神戦のバックハンドトスとかカッコ良かったけどね。
しかし一番のピッチングを日本シリーズで披露してくれるから素晴らしいんだよ。1勝1敗で迎えた第3戦、シーソーゲームとなったこの試合終盤に再び勝ち越され、なおも満塁の大ピンチで相手に切り札AJを迎えた場面で登場する石山泰稚。1球目からビッチビチのコントロールアウトローにスライダーをファウル、2球目は少し外れたけど球威もスピンも効いた152キロフォーシーム、3球目に再びアウトローに153キロの完璧なフォーシームで追い込んで、4球目も上手く制球したスライダーでファウル、5球目にタイミング外した141キロフォークで空振り三振を奪う!!! ここで相手の怒涛の攻めを断ち切った直後、チームが再び逆転に成功し、ここでまさかの回跨ぎで8回表に登板。全く危なげなく3人で片付ける完璧な投球。1回1/3をパーフェクトに抑えて勝ち投手、シリーズを2勝1敗にして主導権を手繰り寄せたあのピッチング。第4戦も好投、第5戦こそ3連投だったし打たれてしまいましたが、あの第3戦の力投は日本シリーズの流れを決定づけた、本当に価値のあるピッチングだったよ。「シーズン中は田口やスアちゃんに助けてもらってばっかりだったから」っていうコメントも激アツでしたし、やはりブルペンリーダーですよ泰稚。
入団してからずっと投げ続けてくれている。チームがなかなか勝てなくて苦しい時期も、数少ない勝ちゲームできっちり投げ続けてくれたんだ。お前にはホントもっと感謝しないとな。
ありがとう泰稚。しっかりリフレッシュして、来年もぼちぼちよろしく。

13 ホセ オスナ 不明 .258 13本 60打点 3盗塁 OPS.694
コロナ禍で新入団助っ人たちの来日が遅れるもチームは比較的好調を維持した中、合流してチームにブーストをもたらしたオスナ&サンタナ&サイスニード。特にオスナは一軍合流直後から即座に結果を出してくれて、中日の怪物ライデル・マルティネスの強すぎる高めストレートを一発で仕留めたあの逆転サヨナラ2点タイムリーはもう本当に本当に大きかった。あれはすごい勢い付いたなぁ。
村上サンタナオスナの3発を小笠原慎之介から浴びせたのも良かったし、柳裕也からの決勝3ランとかカッコよすぎたもんね。畠世周からの逆転3ランとか痺れたし、ホセのホームランはド派手で効果的だから最高なんだよな。
シーズン終盤は疲れなのか研究されたのか成績が落ち込んで打順も降格してしまうけど、日本シリーズで再び躍動。クラッチの強さで貴重な得点をもたらしてくれてる。間違いなく日本一の立役者の一人。ありがとう。
新たに3年契約を結んでくれたホセ。まだまだ若いし成長できる。楽しみにしてます。来年もよろしく。

14 高梨裕稔 B型 3.63 4勝1敗 56奪三振 WHIP1.24
まともに機能してなかった近年のスワローズ先発陣の中で辛うじてマシな方だった高梨。なのに扱いは心底ぞんざいで、何なんだろうか。それでも腐らず不貞腐れず今年も開幕から地味に奮闘。地道にローテを回すものの、中盤で再び外されて、う〜ん... っていう。しかし後半戦の地獄の10連戦で再びローテ入り。大きかったのは大野雄大との投げ合いになった中日戦。連戦が長すぎて先発の駒が足りなくなって、それで相手が大野雄大ってところで抜擢された高梨が7回無失点のナイスピッチング。勝負の10連戦を7勝3分の無敗でフィニッシュするわけだけど、間違いなくその原動力のひとつだったよね。あそこらへんは本当に胸熱でした。毎日毎日日替わりヒーローが出てくる。ここで高梨がやってくれるのかと。これはいけるって、正直めちゃくちゃ優勝を意識しましたね。
今シーズン13試合先発で、登板した試合のチームの勝敗は日本シリーズ含めて11勝1敗1分。持っている男は日本シリーズG6でも本領発揮。山本由伸を相手に素晴らしい投球で流れを持ってきてくれた。
ありがとう高梨。いつも助かってます。来年もよろしく。

15 リック バンデンハーク 不明 15.43 0勝1敗 4奪三振 WHIP2.79
かつて2015年日本シリーズでスワローズの前に立ち塞がったオランダの剛腕が6年の時を経て味方になってくれたんだけど、残念ながら貢献できず。もしキャンプからしっかり調整できたら可能性はあったのかもしれないけど、まぁそれも運命ですから。しょうがない。幸福を祈ってます。

16 原樹理 A型 2.30 3勝1敗 25奪三振 WHIP1.21
間違いなく素晴らしい素質を持ちながらもチームの不振もあって結果が残せず、そこに自身の怪我や不運も重なってなかなか期待に応えられず、気がつけばもはや期待もほとんどなくなってしまったのが開幕前。数年前に肩を痛めてしまい、その復帰途上であったがファンも流石に痺れを切らしてしまう。誰も気にもかけなくなった中、静かに黙々とファームで調整を重ねる。尾花高夫コーチ、小野寺力コーチ、松岡健一コーチとの共同作業がきっと意義深いものだったんだろう。
三輪正義広報とバント練習したり、後輩奥川モデルのグローブを身につけたり、何振り構わず泥臭く勝利だけを追い求めて。
チラッと見たイースタンの西武戦のピッチング、味方のクソみたいなエラーで失点してしまい、数字だけ見たファンは相変わらず呆れ返って罵詈雑言を浴びせてましたが。ストレートのノビとキレは2018年の良かった頃のものに戻っていて、僕は近い将来の復活を確信していた。
一軍復帰のカープ戦こそ不運な危険球退場で負けが付いてしまったけど、絶対大丈夫。
9月以降で10試合登板、勝ちは3つしか付かなかったけどいずれも大切な勝利だし、43イニング近く投げて防御率は2.08という安定感。終盤は奥川、高橋奎二と並ぶ先発の軸としてローテを回してくれました。
因縁のライバル今永昇太との投げ合いを制しての1年ぶりの勝利も最高だったし、哲人のサヨナラ内野安打で決した巨人戦のピッチングも良かったけど、やはり最大の見せ場は最終盤の巨人戦だね。
マジック3だったチームは直近の4試合を3敗1分と勝てず、2位阪神も猛追してくる本当に絶望的で苦しいタイミングだった。
この逆境の中、魂の投球を見せる樹理。気迫の投球でピンチを切り抜け続けると、味方が先制に成功した流れで自らの打席。追い込まれてもスライダー1本狙いの打撃を変えず、三塁線を抜く気合の3点タイムリーツーベース。試合の流れを大きく掴むだけでなく、それまで漂っていた連敗中の絶望的な空気を全て吹っ飛ばす投打に大車輪の活躍。マジックがひとつ減ったどころでは済まないくらい、チームを再び上昇気流へと導いてくれた、今シーズン最大のハイライト。
CSでは悪夢の負傷交代、復帰の日本シリーズも実戦感覚が戻りきってなかった感じもあったかな。まぁしゃーない。切り替えろ。
活躍した2018年も2位、復活した2021年は日本一。
スワローズにはお前が必要なんだ。お前が活躍しないと、スワローズは勝てないんだよ。
よくやった。よくぞ帰ってきてくれた。
でもまだまだでしょ。こんなもんじゃないだろお前は。
オレは来年からお前に投手陣のリーダーになって欲しいんだ。先輩たちからも可愛がられ、後輩たちからも慕われてるお前が投手陣のキャプテンとして引っ張っていって欲しいんだ。
日本の野球の歴史において個人的に最も素晴らしかった先発ローテーションは2003年の福岡ダイエーホークスだと思ってる。エースは20勝で沢村賞に輝いた伝説の男斉藤和巳。2番手はルーキーながら14勝を挙げて万票で新人王に輝いたスーパーマン和田毅。3番手はプロ入り2年目で当時は若干格下扱いだったけどこの年二桁勝ってきっかけを掴みつつあった天才レフティ杉内俊哉。4番手は途中で悪夢の負傷離脱もあったけどルーキーで8勝と奮闘した剛腕新垣渚。5番手は高卒2年目で波は激しくてまだ本格化には至ってなかったけど期待大だった怪童寺原隼人、6番手は1999年の優勝から地道にチームを支え続けてきたサイドスローのベテランマジシャン星野順治。この構成が一番美しくて最高にカッコよかったのよ。
樹理が斉藤和巳をやってくれ。奥川が和田毅だな。奎二が杉内。金久保が渚。寺原枠は奥川がやるんで空いてる5番手はテキトーにライアンか高梨かサイスニードにやってもらって、カツオが6番手のベテラン枠と。完璧やな。
頑張れよ樹理。来年も、来年こそ期待してる。

17 清水昇 A型 2.39 3勝6敗 1S 50H 74奪三振 WHIP1.08
外れ外れ1位で入団したルーキーイヤーに結果を残せずファンにボロクソに叩かれたが、リリーフとして臨んだ2年目は驚異的なストレートを武器に最優秀中継ぎに輝く活躍で一気にブルペンの中心的存在に。その疲労が心配される中迎えた3年目も変わらず安定感のある投球を披露。
スピンが効いたストレートは飛翔しやすくて諸刃の刃でもあり、時折浴びるホームランで短気なヤクルトファンからブチギレられたりもあったけど、大事なのはトータルよ。一年を通してどうだったかを見ろよ。
2年連続最優秀中継ぎは素晴らしすぎる。プロ初勝利も挙げられたし、マクガフ休養日の初セーブも良かったね。結果が出ない日もあったけど、8回までに接戦の展開が作れたらしみのぼで流れを作れるというその安心感というか信頼感が大事。清水昇という確固たるブルペンの軸があるからこそ伊藤智仁石井弘寿による運営も楽になったんだと思ってる。迷わず投入できる切り札があるっていうのが大事なんだよ。
球威は多少落ち着いたけど、それが逆に投球の幅をもたらしてくれる。スライダーもフォークもツーシームも交えながら、総合力で圧倒していくスタイル。将来クローザーに収まるのか、それともスターターに転向するかはわからんけど、ゴリ押しもできるけど引き出しもあるっていうのは絶対にプラスになる。
ありがとねしみのぼ。たくさん休んでもらって、また来年も期待してます。

18 寺島成輝 O型 4.50 0勝0敗 0S 0H 0奪三振 WHIP2.50
2016年ドラ1の未完の大器は昨シーズンにプロ初勝利を含むボチボチの内容でひとつきっかけを掴んだんだけど、先発転向も視野に始まった新シーズンは全く見せ場を作れず。本当はしっかりした方針を打ち出すべきなんだけど、将来的には先発をやって欲しい気持ちもありつつ一軍は左の中継ぎがいると助かるっていう安直な考えがね。ちゃんと決めないといけない。決めた上で2年3年は継続しないとな。
課題はいっぱいあるぞ。ストレートの球速は145くらいなんだから、フォームや球質を改善しないといけないし、変化球も使えるものが少なすぎる。現状カットボールだけでしょ、んなもんリベラでもないのに無理やんけ。まずはチェンジアップだな。あと対左のためのスライダーも欲しいけど、やっぱチェンジアップ。
まだまだこれからよ。やれることがある。頑張れ。
追伸
ファン感で高津監督に指名されスピーチしてましたね。優勝に貢献してるわけでもないのにあそこでスピーチさせられるっていうのは、正直悔しかっただろうし恥ずかしかっただろうし、辛かったろう。でもそういう気持ちがあるのは、まだまだ闘う気持ちがあるっていう何よりの証拠じゃないか。周りがどう言ったっていい。周りは関係ない。チームメイトも関係ない。自分と向き合う時。己のために立ち上がれ寺島。まだまだやれることがあるだろう。
監督に促されスピーチっていうと昨年の奥川を思い出すよね。スピーチした人は翌年ブレイクするっていう伝統でしょ。縁起物だ。縋れるものは何でも縋ろう。なりふり構ってる場合じゃないぞ。
そして何よりもこれは監督の愛情じゃないか。お前のことを思ってるんだよ。お前が飛躍することを願って、こうしてきっかけを作ってくれている。
とりあえずがむしゃらに駆け抜けよう。かっこがつかなくたっていい。もがく。もがいて掴む。
頑張れ。信じてるから。

19 石川雅規 A型 3.07 4勝5敗 54奪三振 WHIP1.18
プロ20年目のシーズンは初めての2軍スタート。しかしここでの調整も効果的だったと思うし、共に過ごした2軍のメンバーにも大きな勉強、財産になったと思う。
交流戦で一軍復帰を果たすと絶好調。援護があまりなくて勝ちがつかない時も多かったけど、きっちりローテを回し続けたのが有り難すぎる。シーズン中の印象的な試合はあの地獄の10連戦最後の試合、16-0というスコアもさることながら、哲人とムネとカツオっていうスワローズのスター揃い踏みの素晴らしいヒーローインタビュー。日替わりヒーローが出まくる素晴らしい連戦を無敗で終えると同時に、最後にこうやってスター3人で華々しく飾るというあまりにも出来過ぎの展開、幸せすぎる日々に正直泣けましたね。
終盤の苦しい時期に中5日で回ってくれた影響もあって調子を崩し、最後の方は上手くいかなかった時もあったけど。
最後にもうひとつでっかいハイライト。日本シリーズG4での快投。オリックスの猛々しい野武士軍団を相手に変幻自在の投球術を披露。あの猛者たちを軽く捻っていく圧巻の投球はまさに円熟の極み。日本シリーズ初勝利まで刻むことができてホント良かった。
さあ今177勝。あと23だけど、23で終わりじゃないしね。あと123ぐらい勝っちゃいましょうよ。全然、全然できるんだから。
来年もよろしくお願いしますパイセン。期待してます。

20 木澤尚文 O型 なし
爽やかノーコン慶應ボーイは1軍昇格ゼロどころか、2軍でも結果を残せず大きな壁にぶつかった。
まぁ素質がないわけではないんだが、大学時代から指摘されていた欠点が解消されぬまま、それがそのままプロでは通用していないっていう。
変化球は良いモノがある。カットとスプリットは勝負球としてもカウント稼ぐ球としても使える。
課題はまずストレートの質だな。球速を3キロ4キロ落としてもいいから、その代わり回転軸を改善するか、フォームや球持ちを改善するか。
コントロールも最低限でいい。コマンドはテキトーでいいから、ゾーン内で勝負するための最低限さえあれば。
とりあえず馬力はある。投手として大事な出力は十二分にあると思うので。
理想像は元中日の中田賢一かな。ああいう暴れ馬スタイルが一番可能性ある気がする。
慌てることはない。じっくり磨いていけ。期待してる。

21 山野太一 B型 47.25 0勝0敗 3奪三振 WHIP1.80
常勝軍団・東北福祉大からやってきた不敗左腕。期待されての開幕6試合目で先発、滑り出しは良さそうだったのにコータローや塩見のゴミ守備に足を引っ張られノックアウト。しかしチームは10-10という馬鹿試合でドローに持ち込み、負けはつかず。未だ大学時代からの無敗が続いてるということでそこには大きく期待したいところなんですが、どうやらその後負傷。ローテから外れ2軍降格、しかもその後長い間行方不明という最悪の展開。
でも慌てることはない。ちょっとずつ投げられるようになってるらしい。
大丈夫だ。じっくり頑張ろう。




パート1は以上です。