検証:社会人ナンバーワン選手の成功率

今度10月20日には2022年プロ野球ドラフト会議が行われます。
年に一度、ファンが好きなだけ妄想を垂れ流せる一日。好きなだけポジり、好きなだけネガり。
年に一度、真中満が地上波をジャックする一日。
楽しみだね。



さて、表題の件について。
実はだいぶ前から地道に文章をしたためてましたが。
このたび我らが東京ヤクルトスワローズは、2022年のドラフト1位指名を東芝の吉村貢司郎と公表しました。
先日のスワローズとの練習試合でもその実力は実証済みですし、清水昇の大学の後輩ということもあり人間性も確認済み。年齢は25歳とちょっと行ってます(早生まれなのはナイス)が、実力は申し分ないと断言できる。
今のチーム状態、いわゆるWin-Nowにピッタリな素晴らしい人選だと思います。


とは言え。とは言えよ。
実際のところ一般的なプロ野球ファンは、贔屓のチームがドラフトで社会人選手を指名すると、非常に勝手ながら「う〜ん... 」って微妙な気持ちになるんだよね。
やっぱり指名するなら高卒。ロマンがあって、スター選手になる可能性が高い。
大卒も悪くない。即戦力として期待できるし、心なしかシュッとしててスマートな選手が多い。
社会人野球出身の選手はね... いや、まぁ来たら応援するし信じるけどね。
でも無駄に難癖つけちゃう。やれ歳とってるだの、やれ伸び代がないだの、やれ華がないだの、ほんと勝手な話なんだけどさ。


しかし実際はどうでしょう。
社会人出身のスター選手なんていくらでもいる。
福本豊だって、山田久志だって、落合博満だって、野茂英雄だって、古田敦也だって、みんなみんな社会人野球出身。もっともっといるだろこんなもん。
近年では社会人出身の選手が早い段階でチームの核になるケースがそこそこに見られるようになった。社会人も悪くないんじゃないかっていう見直しも最近は多少ある。


ということで調べようと思うんだけど。
内容はこんな感じ。
毎年毎年ドラフト会議では必ず、社会人投手と社会人野手が指名される。指名されない年はない。
一番最初に指名された社会人投手と社会人野手を、それぞれその年のナンバーワン社会人投手&野手だとしまして。
単純にどれくらい当たりがいるのか、調べようと思います。ナンバーワンはどれくらい期待できるのか。
そこの心構えができていれば、無駄に絶望したり無理に強がったりする必要もないんでね。



やり方は以下の通りです。
先述した通り、一番最初に指名された社会人投手と社会人野手を、それぞれその年のナンバーワン社会人投手&野手だと仮定します。
実際はチーム需要というものが存在していて、そのせいで本来のナンバーワン選手が多少遅れて指名されたり、ナンバーワンじゃない選手がチーム需要の結果多少早めに指名されたりすることもある。
でもそれを言い出すと面倒くさいので、そこら辺も含めて実力としちゃいます。
もし同順位に数人選手がいた場合、ウェーバーの早い方をナンバーワンにします。一巡目で数名いた場合は入札の早い方を、同じ入札タイミングなら競合の多い方をナンバーワンにします。それでも並んだりする場合は良さげな方を勝手にナンバーワンにします。
そのナンバーワン選手が当たりかハズレか、どれくらいの当たりか、どれくらいのハズレかを僕が主観で評価。
☆:スター選手、◎:主力レギュラー、○:一軍安定、△:一軍半、×:一軍未満
成功の割合を見ることで、社会人選手を指名する是非を語る上での一定の根拠になるかなと思います。
ついでに全体の指名人数のうち、社会人野球出身者が指名された割合も出そうと思います。僕が地道に指折り数えるので計算間違いについてはご了承ください。
現行のドラフト制度へと変更になった2008年ドラフトから昨年のドラフトに至るまでを全て見ていこうと思ってますので、まぁなかなかの大作になるでしょうね。
よろしければお付き合いください。





2008年:大田泰示ドラフト(12名/68名=17.6%)
#1社会人投手:木村雄太(ロッテD1)→×
#1社会人野手:野本圭(中日D1)→△

さてせっかく始めた企画なんですが、その初っ端がいきなりの不作年なのは寂しい限りですな。前々年はハンカチ世代ドラフト(高卒ver.)、前年は高校ビッグ3(中田翔佐藤由規唐川侑己)ドラフトということで華やかなものが続いていたが、この年は実施される前から不作不作と叫ばれていた。
目玉選手は神奈川のジーター・大田泰示と、早稲田の天才ヒットメーカー・松本啓二朗。一巡目で競合したのはこの二人と、今回のナンバーワン社会人野手の野本圭
ということで全体的にも非常に厳しい年でした。もう結構前の年なのでしょうがないんですけど、それでも2006年組、2007年組は未だ健在の選手も結構いる中、この年のメンバーは壊滅状態。一軍に掠りもしなかった選手もかなり多い。
出世頭は浅村栄斗(西武D3)。ホームラン王1回、打点王2回というこの年で貴重なタイトルホルダーであり、今なおリーグを代表する強打者。
それに負けず劣らずの存在は摂津正ソフトバンクD5)。26歳で入団のオールドルーキーは一年目から安定した制球力を武器にリリーフの切り札として活躍、その後先発転向まで成功し、最終的には沢村賞まで獲得するという前代未聞のサクセスストーリー。一軍の主力として輝いたのは7年と短いものとなったが、そのあまりにも眩い輝きで太く鮮烈に駆け抜けました。
その他には中村悠平西勇輝が◎、先の大田泰示中島卓也が○といったぐらい。間違いなく不作。
競合ドラ1となった野本圭。社会人時代の「打の野本、守の長野」は今思い出しても大嘘すぎる。 攻守に大した見所もなく、時折代打で輝く程度。△ですね。
ナンバーワン社会人投手は木村雄太。彼が微妙に知られているのはアマチュア時代にもらっていた「栄養費」発覚のおかげ。紆余曲折あって意中のマリーンズ入団まで漕ぎ着けるも流石に心身ともに擦り減っていたんだろう。6年間で47試合登板、防御率5.24ではどうしようもない。




2009年:菊池雄星ドラフト(16名/66名=24.2%)
#1社会人投手:中澤雅人(ヤクルトD1)→△
#1社会人野手:長野久義(巨人D1)→☆

この年の目玉は何と言っても菊池雄星。春夏と大会を沸かせた荒々しすぎるサウスポーに6球団が競合。大きく期待されたが、規定投球回に達したのが6年目ということで本領発揮には時間がかかっている。よく高卒レフティの育成期間を考える際にこの菊池雄星の6年というのはサンプルとして引用されがちではあるが、実際は規定に到達していない最初の5年間でも勝ち星は4→4→9→5→9という推移であり、当たり前ではあるが見込みは見せていたのだ。我慢強く待つのは大事だが、その間に多少なりとも説得力のある数字は見せるというのは最低条件ですよね。
その菊池雄星と夏に名勝負を繰り広げた今宮健太、その二人を差し置いて春を制した今村猛と夏を制した堂林翔太、さらには大会で鮮烈な輝きを放った岡田俊哉筒香嘉智など、一巡目指名は12球団の半数以上が高校生を指名している。
社会人ナンバーワン投手はハズレ1位での指名となった中澤雅人。即戦力として期待され一年目は7勝をマークしたが以降は続かず。ただ中継ぎに転向してからは貴重なブルペン左腕として一定の活躍は見せた。
この年の社会人投手はなかなか粒揃いで、今なおオリックスで奮闘を続ける比嘉幹貴、のちに「大谷じゃない方の大谷」というとんでもない渾名がつくものの高校大学社会人プロと全てのカテゴリーで優勝を経験したエリートP大谷智久バレンティンキラーとしてだけじゃなく長きにわたってベイスターズブルペンに君臨した加賀繁、3年連続50試合登板で勝ちパターンを担った山本哲哉といったメンツがいる中、一番のあたりはファイターズD5の増井浩俊ですかね。入団2年目以降セットアッパー・クローザーとして勝利に貢献し続けた中、奇跡の大逆転優勝となった2016年はシーズン途中に先発転向で初の二桁勝利に到達するなど、キャリアを通して安定感を発揮。FAでバファローズに移籍後もベテランの味でリリーフを成功させていきました。残念ながら先日オリックスから戦力外通告を受けましたが、見事なキャリアだったと思います。
社会人野手も錚々たる面々。まぁそのアレだけど実力は確かな走攻守揃ったオールラウンダー清田育宏、淡々とヒットを重ねて2000本安打も十分に現実的な目標として突き進んでいる職人肌の大島洋平、怪我に泣かされ本領発揮できたシーズンが少なすぎるものの爆発的なスピードでスペクタクルを生み出すミスターロマン荻野貴司、という個性豊かな実力派を揃えつつ。
ナンバーワン社会人野手は当然、長野久義でしょう。元々は大学時代にファイターズの指名を断り、2年後のマリーンズの指名も断った上で成就した念願の巨人入団。目玉の菊池雄星の入札もできずに26歳のオールドルーキーをつかまされる巨人って馬鹿にする風潮もあったが、東都でも都市対抗でも首位打者に輝いたその実力は一年目から遺憾無く発揮されて新人王。統一球時代とモロに被ってしまい成績の見栄えは若干寂しいところもありつつ、それでも安定して15本前後の本塁打、二桁を超える盗塁、3割付近を記録するアベレージと、素晴らしい攻撃力をコンスタントに見せ続けました。2年目に首位打者、3年目に最多安打はもうお見事というほかありません。すごいです。
野本圭のところでも書いた「打の野本、守の長野」はやっぱり嘘で、守備はなかなかに怪しかった。何でもないフライをぎりぎりで捕ったりしてて、破綻はしないけど安心はできない不安定さだったが、2年目以降から劇的に改善。派手さはないが堅実なプレーを中堅手としても右翼手としても見せて、3年連続ゴールデングラブ賞っていうのも素晴らしすぎますね。
1年目は新人王、2年目から4年目までベストナインゴールデングラブ賞ということで、まさに即戦力。これぞ社会人野手に求めたい理想すぎる大活躍。
長野で言えば様々な素敵エピソードがありますよね。英語もスペイン語もなぜか堪能で、助っ人外国人選手に対してのコミュニケーションはチームにスムースに溶け込むための欠かせない要因。あの頃の巨人の助っ人たちが巨人の助っ人らしからぬ活躍を披露できたのは間違いなく長野のおかげ。助っ人だけじゃなく新入団選手の歓迎会とかそういったイベントを取り仕切るのはいつも長野。オンピッチだけでなくオフピッチでもチームを大きく支えていた。
トライアウトを受ける先輩を応援するためにスタンドまで足を運んだり。日本シリーズで連敗を喫し重苦しいムードに包まれる古巣にエールを送るべく広島駅のホームで巨人の選手たちが乗った新幹線を待ち伏せて手を振ったり。まぁこういったエピソードが無限溢れ出る、素晴らしすぎるナイスガイ。
カープでも少しずつ出番を減らしており、静かにキャリアはエンディングへと向かっておりますが、応援してます。頑張ってください。




2010年:ハンカチ世代ドラフト(大卒ver.)(14名/68名=20.6%)
#1社会人投手:榎田大樹阪神D1)→○
#1社会人野手:宮崎祐樹オリックスD3)→△

さぁ来ました。ハンカチ世代ドラフト大卒バージョンでございます。華やかで楽しいメンツが並ぶ一方、プロ生活の結果は実にシビアで興味深いものになっています。
目玉はもちろん早稲田大学三羽烏斎藤佑樹大石達也福井優也。しかしプロでは目立った活躍は見せられず。
かといって不作年になるわけがない。プロ野球史上最強の年代であるハンカチ世代ですから。とんでもない選手層を誇るハンカチ世代ですから。
投手で言えば、囲い込みに成功した澤村拓一、ドラフト年に肩を痛めた大野雄大がD1の両巨頭。
野手がえげつなくて、D2の柳田悠岐、D3の秋山翔吾広島経済大学八戸大学っていうローカル大学ゆえに順位は控えめになったんだろうな。真の財宝は田舎の大学に眠っていた。
そういった面々も揃えつつ、一番の出世頭はハズレハズレ1位にいた。山田哲人プロ野球史上ナンバーワン二塁手として燦然と輝く3度のトリプルスリーと日本シリーズ三打席連続ホームラン。華麗に爽やかにぶっ飛ばす圧倒的主人公。
そして度肝抜かれるのが育成ドラフトですよ、ソフトバンク育成D456に千賀滉大、牧原大成、甲斐拓也を揃えているのは意味不明すぎる... どうなってんだマジで。
さて社会人ナンバーワン投手は榎田大樹。ルーキーイヤーにいきなり安定感あるレフティーとしてブルペンを充実させてましたが、年々トーンダウン。しかしトレード先の西武で大復活。新しくマスターしたカットボールを武器に先発として11勝をマークし、ライオンズ10年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献、「地獄から天国」という名言も生んだりともう一花咲かせました。いい選手。
それ以外だと美馬学牧田和久あたりもいますね。前者は日本シリーズMVPやオールスター2回といったインパクトあるスターターだし、後者はアンダースローからの強気なストレートで先発中継ぎ抑えでフル回転したタフネス。渋くて良い選手ですな。
社会人ナンバーワン野手はウェーバー順でいうとオリックスD3宮崎祐樹になる。時折派手な活躍もありつつ、一軍定着とまではいかなかったか。
この年はほとんどいないんだけど、実質ナンバーワン社会人野手は荒波翔(横浜D3)かな。ゴールデングラブ賞2回の守備ですよね、広大な守備範囲と強肩でチームを救っていきました。打撃も鋭いイメージがある。成績以上に活躍してた気がする。




2011年:大学ビッグ3ドラフト(18名/72名=25%)
#1社会人投手:十亀剣(西武D1)→○
#1社会人野手:安達了一(オリックスD1)→○

この年の目玉は何と言っても大学ビッグ3と呼ばれた好投手たち。藤岡貴裕菅野智之野村祐輔。さらには甲子園未出場ながらU18で出色の打撃を見せつけた高橋周平も注目されていた。
中でもNo.1の評価を受けていたのが東洋大藤岡貴裕。本格派レフティとして大学野球界で無双、プロ入り後も1年目4月までは凄かったんだけどね... いったい何が悪かったのか、ちょっと見てないんでわからないんですけど。惜しかった。
東海大菅野智之も同じくらいの高評価ではあったんですが、知っての通り原辰徳の甥ということで巨人入りが既定路線と見られていたためドラフト時点ではあまり話題にならず。しかし日本ハムが強行指名、くじ引きにも勝ったため話がこじれる。結局入団は拒否、一年の浪人生活を経て巨人入りを果たした菅野はその後も輝かしいキャリアを築き上げていますが。巨人としては2011ドラフトで不本意な結果に終わっただけでなくその翌年に控える大谷藤浪ドラフトでの一巡目を失うことを意味し、少なくないダメージがあった。一方で日本ハムは入団拒否された結果この年のドラ1をタダで失ったことになるが、巨人の動きを封じ込めたことは意味があったと思う。翌年もしかしたら巨人が大谷を強行指名してた可能性はあるからね。日本プロ野球界で強行指名できるのは巨人と日本ハムだけでしょ。そうなってたら歴史は大きく違っていた。
先の二人よりも少し評価が落ちるものの、明治の野村祐輔も高い評価を受けていた。悲劇の甲子園を乗り越えて六大学で奮闘、ドラフトではカープの単独指名になったものの、ルーキーイヤーから安定した投球を披露して新人王。その後は最多勝も獲っているし、見事なキャリアでしょう。
この年のドラフトは明暗がくっきり別れ過ぎている。藤岡だけでなく鈴木大地益田直也を獲得できたロッテ、野村に加えて菊池涼介もとれた広島、菅野は結局とれなかったが松本剛と近藤健介と上沢直之がとれた日本ハムは完全な勝ち組。楽天岡島豪郎島内宏明ということで活躍した時代は異なれど戦力拡充に成功。TBS時代の最後のドラフトとなったベイスターズ桑原将志がいる。各球団最低何名か戦力になっている人がいる中、我がスワローズだけは完全にゼロ。どう頑張ってもゼロ。一番頑張ったのが比屋根渉ってどういうことだよ。まぁ2015年の優勝に大きく貢献したのは間違いないし、上田剛史よりは好きだけど、これがマックスというのは... 比屋根に罪はない。悪いのは八重樫。ほんまクソ。一切球団に関わって欲しくないし、メディアからも消えて欲しい。消えろ。
社会人ナンバーワン野手は安達了一。滑らかで美しい遊撃の守備と、調子良いと得意の流し打ちが出る打撃。今はポジションをセカンドに移しているものの、長きに渡ってオリックスを守備から支えている名手ですね。
社会人ナンバーワン投手は十亀剣。先発としては二桁も一回あるし、100イニングは食ってくれるからなかなかいい。引退ということで、お疲れ様でした。
あと名前を挙げておきたいのは佐藤達也ですね。短すぎるけど太過ぎたキャリア。ストレートゴリ押しの名リリーフでした。




2012年:大谷藤浪ドラフト(18名/70名=25.7%)
#1社会人投手:増田達至(西武D1)→◎
#1社会人野手:赤堀大智(DeNAD4)→×

派手な名前がたくさんありますね。主だったところだと大谷翔平藤浪晋太郎東浜巨三嶋一輝北條史也鈴木誠也則本昂大、小川泰弘、伏見寅威、田村龍弘、金子侑司、鍵谷陽平などなど。
社会人投手は有力なのが多くて、ロッテD1のレフティ松永昂大、ヤクルトD1のブルペンリーダー石山泰稚、スワローズ移籍後に独特の存在感を見せたソフトバンクD6山中浩史、短くも極太の輝きを放った西武D4高橋朋己、さらには井納翔一や公文克彦といったこれまた多彩な面々が並ぶ中、安定感と実績でナンバーワン社会人投手は増田達至と言えるでしょう。入団時からコンスタントな活躍、最優秀中継ぎと最多ホールドをとっていて、安定感すごい。
社会人野手はほとんどいなくて、一番先に指名されたのは赤堀大智。僕も全く知らない選手で、残念ながらプロでは数試合しか一軍に出られず。
真のナンバーワンは間違いなくDeNA宮崎敏郎。宮崎がD6なんだからすげぇよな。最後までちゃんとドラフトしなきゃって思う。正直あのよそ見事件の時にはまさかこんな選手になるなんて微塵も思ってなかったんですがね。その後の活躍は言うまでも無いでしょう。首位打者1回、ベストナインゴールデングラブ賞もとってます。




2013年:松井裕樹ドラフト(28名/76名=36.8%)
#1社会人投手:石川歩(ロッテD1)→◎
#1社会人野手:小林誠司(巨人D1)→○

前年の派手さは無いものの、各球団かなりの戦力アップに成功したドラフトですね。どこも最低2名以上は当たっている。巨人もドラフトとしては成功してて、小林誠司、和田恋、田口麗斗、奥村展征平良拳太郎と全員現役で頑張ってますが、一人しか巨人に残っていない...
社会人から指名した割合も36.8%と異様に高いのも特徴。
社会人ナンバーワン投手は石川歩ですね。競合の結果ロッテ入りし、一年目から3年連続で二桁勝利、最優秀防御率もとってるし、WBCにも出場、開幕投手も3回と見事すぎるキャリアです。これぞ即戦力。
それ以外の社会人Pだと森唯斗と秋吉亮ですかね。こういう即戦力リリーバーをドラフトの真ん中あたりでとれるとデカイわな。両者とも優勝に大きく貢献している。
社会人ナンバーワン野手は小林誠司。石川歩を獲得できなかった巨人がハズレ1位で指名。曲がりなりにも愛される名選手。またオールスターとかWBCに出て欲しいけどね。
野手でいうと田中広輔井上晴哉がいますね。前者はカープ3連覇に大きく貢献したショート、後者は近年故障続きもマリーンズの4番として数年活躍してました。




2014年:有原航平ドラフト(20名/81名=24.7%)
#1社会人投手:野村亮介(中日D1)→×
#1社会人野手:友永翔太(中日D3)→×

この年も球団によって明暗が大きく分かれている。戦力拡充という意味で言えば、山崎康晃・石田健大・倉本寿彦をワンツースリーで獲得できたDeNAと、山崎福也・宗佑磨・佐野皓大・西野真弘・小田裕也と獲得できたオリックスが勝ち組だろう。
その一方でヤクルトと中日はとんでもないことになっている。即戦力外ドラフト。
特にヤクルトは... 育成を含めて8人指名したが8人合計の一軍出場数はたったの105試合、そのうちの88を風張蓮が占めているだけで、指名された野手は一軍出場すら叶わなかったというクソっぷり、6年で全員がプロ野球の世界から姿を消すという、伝説の一年となった。クソすぎますわ。笑えねぇよほんと。
社会人で一番最初に指名された投手は野村亮介ですね。確か谷繁元信監督は山崎康晃の指名を望んでいたところを、落合博満GMの鶴の一声で方針転換になったとか。ヤマヤスは1回目の指名がなかっただけに単独でとれた可能性があったんですよね。
他にもまともな社会人Pはいません。巨人の高木勇人は結構よかったか。あとは阪神の石崎剛とか。
社会人野手で最初に指名されたのは中日の友永翔太。背番号1をいきなりもらうぐらい球団から期待されてましたが、上手くはいきませんでした。
他で言えば先ほど名前が出た倉本寿彦とか西野真弘あたりが成功側か。
まぁ全体的にこの年は不作なんだけど、そこでいかに数少ない成功を出すかが露骨にペナントレースの順位に影響してますよね。諦めずに一人は当てなきゃ。




2015年:オコエドラフト(25名/88名=28.4%)
#1社会人投手:近藤大亮(オリックスD2)→○
#1社会人野手:木下拓哉(中日D3)→○

この年はとにかく夏の甲子園が盛り上がりました。大会を沸かせた小笠原慎之介・吉田凌・平沢大河・佐藤世那・オコエ瑠偉・成田翔・平沼翔太といった面々が高校からプロ入りするも、今のところ苦戦中。このオコエ世代は相当やばくて、投手の方は小笠原に森下暢仁、伊藤大海、高橋奎二といったところが活躍できてるが、野手はようやくロッテの髙部瑛斗がこの世代初の規定打席盗塁王のタイトルを獲得した程度。髙部が出てくるまではこの世代最強野手は長らく廣岡大志が君臨していた(通算26本塁打は未だ世代トップなのでは...?)という、とんでもない世代です。
あとこのドラフトと言えば高山俊ですよ。今なお語り継がれるあの名シーン。
巨人が野球賭博の影響で地味なドラフトに終始してたり、吉田正尚や今永昇太や多和田真三郎がちゃっかり単独で指名されてたりと、今見返してもツッコミどころ満載。下位の方では青柳晃洋や杉本裕太郎、本田圭佑、中川皓太とかもいたりする。茂木栄五郎もいるし。キャラ濃い人が多いな。
社会人投手だと近藤大亮が一番早く指名されてます。地味ながら3年連続50試合登板は立派だし、トミージョン手術明けの2022年も32試合投げてたりと、コンスタントな活躍と言えるでしょう。
それ以外の社会人投手だと日本ハムの加藤貴之ですかね。こちらも地味ながら先発ローテを安定して回してます。ここ2年は規定投球回にも達して成長著しい中、なんと早くも来シーズンの開幕投手に指名されてるとか。
社会人野手は木下拓哉が最速指名。キャリア序盤は苦戦するもここ数年でチームの主力へと成長。2年連続でオールスターにも選出されてるし、球界トップクラスのキャッチャーといえるでしょう。
野手で他に目立つのは西川龍馬とか戸柱恭孝、阿部寿樹あたりかな。今ちょうどFA交渉で揉めてる西川龍馬は捉えどころのない天才バッター。まだまだ伸び代がある、驚異的な存在です。




2016年:ハイパー投手ドラフト(16名/87名=18.4%)
#1社会人投手:山岡泰輔(オリックスD1)→◎
#1社会人野手:源田壮亮(西武D3)→☆

この年はとにかく好投手が目白押し、高校ビッグ4(寺島成輝、藤平尚真、高橋昂也、今井達也)と大学ビッグ3(田中正義、佐々木千隼、柳裕也)を筆頭に、62名もの投手が指名された投手年。ドラ1も10人が投手。
ただビッグ7の中で大活躍といっていいのは柳だけで、次に今井が続く程度。他は前評判ほどの結果を残せていないのが現状。
そしてこの年一番の出世頭は疑う余地もなく、オリックスD4の山本由伸。スカウトってほんと難しい仕事だ。
社会人ナンバーワン投手は山岡泰輔。元々高校時代から有名な存在で、田口麗斗と投げ合ったあの決勝再試合の激闘は今なお語り継がれる伝説。ネット民の評価も低くなかったが、どうしてもサイズやフィジカルで不安視されていて、オリックスが1位指名を公言した際には弱気だとかクジから逃げたとか散々叩かれてたのを覚えている。ただ入団してからはその高い実力を十分に発揮。若干怪我が多いのが勿体無いが、キレッキレの変化球と鋭い直球は見応えあり。体調さえ整えばリーグを代表するスターターになれるし、今後クローザーとして活躍する可能性も全然ある。ポテンシャルはまだまだありそうだ。
社会人ナンバーワン野手は源田壮亮。こちらは説明不要でしょう。トヨタ自動車の9番ショートが3位指名で西武に入団ということで誰からも期待されてなかったが、一年目から隙のない鉄壁の守備を披露、打撃も常時.270付近と及第点以上の数値を残し、球界屈指のショートストップとしてライオンズを支え続けている。勇退する辻発彦監督に「ここまできたのは、同じ年にドラフトで入ってきた源田の存在が一番大きかった気がします。あの子がいなかったら優勝はなかった気がします」「ライオンズを立て直すにはこの選手が育たなかったら無理だと思った中で、源田が入って、1年目から守りだけでも貢献してくれて、源田には本当に…」「山川もあれだけ打ってくれて、森もそうですし、みんなそうですけど、やりたい野球はショート源田がいなかったらできなかったっていう事ですよね」とまでコメントさせてるぐらい。すごい選手です。




2017年:清宮ドラフト(22名/82名=26.8%)
#1社会人投手:田嶋大樹(オリックスD1)→○
#1社会人野手:藤岡裕大(ロッテD2)→○

2017年って5年前ですよね、ここら辺になってくるとまだ5年しか経ってないんで評価をするにはまだまだ早いかなぁという気もするんですが、とりあえずは現状の評価をしようと思います。
当時の個人的な感覚で「今年は社会人の指名が多いなぁ」と思ったんですけど、実際は26.8%と例年を少し上回る程度。源田のおかげで指名が増えたなんて当時は思ってましたが、そうでもないのかな。
この年はまさに清宮ドラフト。清宮幸太郎に加え、安田尚憲、中村奨成といった大型高校生がドラフト前の最大の注目ポイントでした。カープの編成上なかなか本職につかせてもらえない中村奨成は残念ながらまだきっかけを掴めてませんが、清宮も安田も2022年にようやく結果が残すことができた。この勢いのまま来年はより大きく飛躍して欲しいところ。
もちろんこの年の出世頭は我らがスワローズの4番・村上宗隆。説明不要。
この年の社会人ナンバーワン投手は田嶋大樹。清宮安田中村に目もくれず真っ直ぐに指名してきたオリックスと西武の競合。元々彼は佐野日大高校時代から有名で、社会人の3年できっちりドラ1レベルに高めてきたのは見事。まぁ3年前は例の不作気味な2014年ドラフトなんで、高卒当時の田嶋でも余裕でドラ1だったとは思いますが。プロ入り後も悪くなく、多少調子のムラが激しかったりもするが、ここ数年はローテを安定して回せている。高卒社会人経由なのでまだまだ26歳と伸び代もたくさん残っており、将来的には主要タイトルを狙えるレベルにあると思われます。今後に期待大ですね。
他に現状めぼしい社会人投手は鈴木博志ぐらいでしょうか。なかなか実力も環境も落ち着きませんが、こちらもポテンシャルは間違いないと思うので育成次第かと。
社会人野手で最も早く指名されたのは藤岡裕大。トヨタ自動車の1年先輩である源田壮亮に続けと言わんばかりに、二匹目のドジョウ的な感じもあったが、そこそこやっている。一年目からコンスタントに出場機会を得て、ぼちぼちの成績。年を重ねるにつれて守備の安定感は増していっているが、レギュラーとしては一回り成績が物足りないか。三十路が迫り、若手の突き上げもそろそろありそうで、ここからが正念場か。
他の社会人野手も興味深い面々が並んでいる。この年のナンバーワンは我らがスワローズ塩見泰隆で間違いないでしょう。驚異的なポテンシャルをオープン戦やイースタンリーグ、フェニックスリーグで見せながら本番ではからっきし駄目というプロ入り最初の2年間でしたが、3年目の終盤に少しきっかけを掴むと、4年目には一気にスタメン奪取。途中しょうもない故障もありつつ万能な攻撃力でリードオフマンとして申し分ない働きを見せながら、抜群の脚力を活かした外野守備でも度々チームを救ったりと、チームに攻守で多大なる貢献をもたらし、スワローズ20年ぶりの日本一の立役者の一人となりました。今シーズンはコロナもあって途中大きく調子を落としてしまったのが勿体無かったが、コロナ前は打率3割でOPSもリーグ2位という絶好調モードだった。年齢はもう29歳と若くないんですけど、いつまでもその破天荒なプレイスタイルで全野球ファンを楽しませ続けてほしいですね。優しくて温かいその性格も大好きです。
オリックスのリーグ連覇に貢献した福田周平もいいですね。いわゆる俊足系ですけど、イメージ的には率も残せる感じ。粘り強いし、喰らい付く厄介さは相手投手には難しいでしょうね。外野守備もまだまだ伸びそう。
あとは巨人の3選手も注目。ドラ236で岸田行倫、大城卓三、若林晃弘というラインナップ。
この中でも大城はかなり成績を残している。OPSも.700を超えてくるし、ホームランもここ2年は二桁に乗せている。守備が課題だと毎回言われつつも成長を見せていて、2021年にはリーグ最高の盗塁阻止率を叩き出したほど。リードもとやかく言われがちだが、巨人ファンと評論家は贅沢言い過ぎだと思う。かなりの好選手でしょ。僕はルーキーイヤーのオープン戦から感銘を受けてましたからね、いい打撃するなぁと。
岸田は高卒社会人なのでちょっと若い。毎年毎年オフシーズンに「来年は岸田が中心になる」という報道が出るんですけど、いざシーズンが始まり蓋を開けてみると例年通りの小林誠司&大城の併用。期待値だけ上がり続けて、いざ使ってみたらあんまり大したことないっていうのばっかり。もう岸田はいいと思うよ。山瀬慎之助に懸けた方がまだ良いかと。岸田っていう名前にロクなやつはおらんなマジで。
こうやってみると小林誠司とか戸柱恭孝、大城卓三に木下拓哉と社卒キャッチャーも悪くはない。レギュラークラスは全然いる。でも不動のレギュラーとまではいかないのかな。やっぱり古田敦也は例外中の例外。やっぱり入団が早ければ早い方がいいっていう野村克也監督の考えは合ってるんだろうと思うよ。
若林は足があって内外野守れる(守れるとは言ってない)ユーティリティ、さらにスイッチヒッターと原さん好みの便利屋っぷり。もしかしたら故・木村拓也と重ね合わせているのか...? ちょっと前に巨人に在籍していた橋本到と似ているところがあって、毎年シーズン一年のうちのどこかに必ず好調な期間がある。たった1週間か2週間ぐらいしかないんだけど、そこさえ見極めれば十分な戦力になるということで、マネジメントめちゃくちゃ大事。面白い選手ではあるんだけどね。




2018年:根尾ドラフト(18名/83名=21.7%)
#1社会人投手:生田目翼(日本ハムD3)→×
#1社会人野手:近本光司(阪神D1)→☆

この年は大阪桐蔭フィーバー。春夏を圧倒的な強さで制した大阪桐蔭の4番5番である藤原恭大と根尾昂、さらには高校ナンバーワンショートの小園海斗を加えたこの3人に11球団の指名が集中するという展開に。やはり球界全体が年々高卒への傾倒が強まっていると同時に、この年は東洋大3本柱(上茶谷大河、甲斐野央、梅津晃大)など有力な選手も数多く控えており、その保険もあって競合覚悟で突っ込んだというところだろう。
まだまだ年数も全然経ってないんでアレなんですが、大阪桐蔭勢は軒並み苦戦中。根尾は二転三転あってようやく起用法が定まったばかりだし、藤原もスタメン奪取できる力強さは現状示せていない。同じく高卒で指名された柿木蓮も横川凱も時間がかかりそうだ。

西谷監督は
 「あの代はアスリートタイプが多く、本当の4番打者タイプがいなかったと思います。
by 甲子園で活躍するための練習、生活を送ってきた 山田健太(大阪桐蔭-立教大)【前編】 | 高校野球ドットコム

アスリートとして優秀なことと、野球選手として優秀なことは当然イコールではないんだよね。今年ドラフトにかかるであろうこの世代最後の砦である立教大の山田健太、早稲田大の中川卓也の二人はどうなるのだろうか...
さてこの2018年ドラフトのナンバーワン社会人野手は名実ともに近本光司で間違いありません。当時は阪神が高校生外野手の藤原恭大を外した後、大学生外野手の辰己涼介も外し、そのハズレハズレ1位で指名したのがこの近本。ネットでは散々馬鹿にされ、ドラ1でまた非力な俊足系社会人外野手をとったのかと、いつまで赤星の幻影を追いかけてんだよと嘲笑われましたが、巨人が2位指名で狙っていたという話もあるみたいだし、社会人野球マニアの人なんかは「近本さんは社会人野球の大スターだから。そこらへんの選手とは訳が違うから」と強気に言ってたりもしてた。彼は左投げ左打ちだからね、そこが凡百の俊足左打ちたちとの違うところ。パワーもある。実際一年目から完全なる主力として君臨、藤原や辰己が即戦力とならない中、スタメンは余裕も余裕、その上で盗塁王3回、最多安打1回、ベストナインゴールデングラブ賞も今後常連になること間違いなしの圧倒的輝き。将来的にはキャプテンも任されるだろう。人気、実力、人望、誠実さも全て兼ね備えた、タイガースの宝ですね。彼の優しい性格は僕も好きです。
社会人投手の最速指名は生田目翼になるのかな。当時は社会人ナンバーワン投手として扱われていて、ハズレ1位として有力視されていたが、実際はD3に留まった。即戦力とはなれず、イースタンでじわじわと力をつけているんでしょうけど、若手厨の極みであるファイターズにおいて猶予はそんなにないかもしれない。今後に期待したい。
現状の出世頭は大貫晋一でしょう。二桁勝利を早くも2回達成しているのはお見事。勝ち星の割にイニングは食えてないので、今後そこのタフネスが身につけばタイトル争いもできるようになるでしょう。
あとは中日の勝野昌慶とかソフトバンクの板東湧梧あたりが現状目立つかな。ここら辺も将来的には二桁勝利もあるんじゃないか。




2019年:佐々木朗希&奥川ドラフト(11名/74名=14.9%)
#1社会人投手:宮川哲(西武D1)→△
#1社会人野手:小深田大翔(楽天D1)→○

この年は何と言っても久しぶりに超高校級ピッチャーが二人も同時にドラフトエントリー。甲子園には出なかったもののMax163km/hという凄まじいスペックでその名を轟かせていた佐々木朗希、そして甲子園に4度出場し圧倒的な総合能力で大会を沸かせ続けた奥川恭伸。10年に一人レベルのピッチャーが二人同時ということで、どっちに行くかという判断は球団のカラーが出て非常に興味深かったです。
奥川は昨シーズンにローテ入りしスワローズ日本一に多大な貢献をもたらしたし、佐々木朗希は完全試合や1試合最多奪三振タイ記録など鮮烈な投球を披露。二人以外にも宮城大弥は早くも2年連続二桁勝利でバファローズのリーグ連覇に欠かせない存在にまでなり、西純矢も阪神の分厚いピッチングスタッフの中で投打に存在感を示している。まだ3年しかプロでやってないんですが、この高卒4人は早くも己の立ち位置を確立できている。奥川ヤス〜頑張れよ焦らなくていいから、逞しくなれよ〜!!!
高卒への傾倒が顕著になる中、広島がちゃっかり森下暢仁を単独で確保しているのは美味しすぎでしょ。どうなってんのこれ。
社会人ナンバーワン投手はハズレ1位で競合した宮川哲かな。現状リリーフで一定の出番があり、成績も少しずつ改善中。名ピッチングコーチ豊田清の元、このまま伸びていけたら勝ちパターン入りも十分にありうる話。
社会人ナンバーワン野手は小深田大翔。遊撃手をドラフトでとりたい楽天は一巡目で佐々木朗希などの大物投手を狙いつつ、2位以降で力のあるショートストップを狙っていたはずが、DeNAがいきなりの一巡目で桐蔭学園高校の森敬斗を単独指名、ショートの需要が高くなってることを悟ってか、ここでハズレ1位で小深田を指名。小深田自体は指名をもらえるレベルの選手ではあったものの、そこまで飛び抜けた実績や身体能力があるわけでもなく、ショートの守備も急造感たっぷりのいわゆる就活ショートでしかないと言われており、これは流石に高掴みでしょと評論家もファンも叩いていた。
ただ嬉しい誤算だったのが、思ったよりも打てる。一年目から.288というアベレージはお見事。守備もぼちぼちで見れなくもない。ちょっと肩が弱いくらいで、なかなか総合力のある選手だと思う。期待されてない中で即戦力として頑張りました。未来はまだわからんが、しぶとく生き残るだけの逞しさもありそうだし、ドラ1にふさわしい選手だと思う。
それ以外の社会人野手だと西武の柘植世那ですかね。ルーキーイヤーからそこそこ出番をもらっている。噂されてる正捕手・森友哉のFA移籍が起これば、正捕手争いの中でチャンスがあるかもしれない。




2020年:早川・佐藤輝明ドラフト(10名/74名=13.5%)
#1社会人投手:栗林良吏(広島D1)→◎
#1社会人野手:今川優馬日本ハムD6)→○

年々強くなる社会人避けドラフトの傾向がマックスに強まっており、いよいよ指名されたのがたったの10名、全体の13.5%のみという結果に。
この年は大卒に目玉が多く、特に人気を集めたのが投打の二人。早稲田の大黒柱として輝きを放っていたレフティ早川隆久と、近畿大でパワフルすぎる打棒で関西からその名を轟かせていた佐藤輝明。
早川はとりあえず最低限のローテ入りは果たしているものの、なんかしっくりこないんだよね。相手を圧倒できない。現状では凡庸な投手でしかない。ひとつきっかけを掴めれば。
佐藤輝明は球団が球団なので叩かれまくるが、ルーキーイヤーも十分だったし、2年目も軒並み成績は良化させられている。打撃の方は今後も大きく飛躍する伸び代がある。やたらたらい回しにされる守備位置も固定さえできたらもうちょっと落ち着くはず。元々サードは悪くなかった。佐藤輝明の課題は集中力と持続力だけだね。
そんな中、たった10名しかいない社会人選手なんですが、なかなかの粒揃いになっている。
広島が単独指名に成功した栗林良吏は説明不要の大活躍。元々は名城大学時代から大学日本代表に名を連ねるぐらいの実力者だったが、指名順位縛りもあり社会人野球へ。そこでも安定した活躍を見せ、ドラ1の評価を不動のものに。幼い頃からのドラゴンズファンで、本人もファンも球団も入団を信じてやまなかったが、事態は急変する。慶應義塾大学AO入試を不合格になった中京大中京の髙橋宏斗が一転してプロ志望届を提出、中日としては地元の有力な高校生を逃す方が有力な社会人を逃すよりも世間体のダメージがでかいと考え、方針を転換。結果ドラゴンズは髙橋宏斗を1位指名し、恋破れた栗林はなぜか広島東洋カープへと入団することになった。
プロスカウトからの評価は思いのほか低かったが、やはり実力は申し分なし。回転の質が優れたフォーシームと鋭いフォークでルーキーイヤーからクローザーに定着。その勢いのまま東京五輪のメンバーにも選出、ルーキーなのにここでもいきなりクローザーの大役を任され見事な投球、金メダルに大きく貢献。その能力を持ってすればおそらくスターターとしても十分にやれただろうにと正直思ってます。2年目のジンクスもほとんどなく、素晴らしい活躍。
社会人投手で言えば伊藤将司もいます。ドラフト前は特に騒がれもしなかったが阪神のD2で指名されると、ルーキーイヤーから二桁勝利、2年目も9勝と見事な投球を披露。防御率も2点代中盤と抜群の安定感。派手さはないが、コントロールと多彩さでゲームメイクできる、まさに勝てる投手。横浜高校出身ということで、エリート教育の賜物という感じもあります。
社会人野手も興味深い人材がいまして。
まずは日本ハムD6の今川優馬ですね。ロマン枠としてドラフト前にも名前が挙がってた気が。2年目のシーズンに出番を多くもらい、10本塁打は絶好のアピールとなったはず。走攻守にダイナミックでスケールの大きいプレーが持ち味。来年の大化けに期待大ですね。
さらには阪神D6の中野拓夢ですよ。一年目からショートのレギュラーに定着すると、その抜群の脚力を武器に広い守備範囲でピンチの芽を摘み続けつつ、高い成功率で盗塁王に輝いたりと攻守に貢献。打率もルーキーイヤーから.270を超えるレベルにあり、若干エラーが多いものの総合力の高いショートストップとしてこれまたチームに欠かせない存在に。即戦力にも程がある。
っていうか阪神はこの年のドラフトだけで佐藤輝明、伊藤将司、中野拓夢とゲットできてるわけだな。勝ち組すぎるだろ。そりゃ強くなるわ。




2021年:隅田とか高校ビッグ4とか松川虎生ドラフト(15名/77名=19.5%)
#1社会人投手:森翔平(広島D2)→△
#1社会人野手:中村健人(広島D3)→△

1年しか経ってないんで特にどうもこうもないんですが。
中村健人はけっこう試合出てましたよね。中京大中京3連発とかあったんじゃなかったっけか堂林と磯村嘉孝とで。パンチ力があって面白そうな素材です。
ソフトバンクD4の野村勇はすごかったね。本塁打を10に乗せてOPSもちょうど.800。盗塁もちょうど10だし、慣れてきたら外崎修汰みたいな選手になれるかも。
あとは日本ハムの上川畑大悟ですよ。守備だけならアマチュアナンバーワンと言われてて、実際プロ入りしてから安定した守備を披露。そればかりかアベレージも規定未達とはいえ.291でOPSも.716。いきなり見込みあるところを見せまくってます。
山田龍聖とか廣畑敦也、柴田大地あたりは即戦力にはならず。広島D2の森翔平は先発で勝利も挙げてるみたいで、今後飛躍もあるかも。






ということで、まとめました。

  • 毎年社会人からの当たり(○以上)はほぼ確実に存在する(不作だった2008年と2014年、最新の2021年はサンプルから除外してもいいかもしれない)
  • 社会人No.1当たり投手は50%の確率でローテの柱級や勝ちパターン級の投手(◎以上)になっている
  • 社会人投手にスター選手はいない。ギリ摂津正くらい。過去には山田久志野茂英雄大塚晶文杉内俊哉などがいる
  • 社会人野手は首位打者2名、盗塁王3名
  • 社会人野手にパワーヒッターはいない。過去には門田博満、落合博満などがいる




とりあえず以上になります。
何か少しでも参考になれば幸いです。