日本3大シティポップメイカーは堀込高樹、松井寛、目黒将司

先週の土曜日に無事ペルソナ5を終わらせることが出来ました。プレイ時間は90時間ちょい。
最高やねペルソナ。ほんと最高だった。20周年の集大成にふさわしい、正当進化。
評判もよく、売り上げは初動でハーフミリオンを達成するという今時では考えられない程の好調っぷり。PS1時代のFF7とまではいかないまでも、PS4を力強く牽引していく様は実に痛快で嬉しく思います。こういったPS4和ゲーのキラータイトルは初めてじゃないでしょうか。テイルズやスターオーシャンでは格が足りなかったし、ドラクエのヒーローズやビルダーズもちょっと違う。気がつけば周りのライバルたちは発売延期とかで消えて、しっかりとスポットライトを独占。ありがたいね。


ネタバレを書いちゃいそうなので、ここから先は畳んでおきます。



☆ストーリー
重要なのは認知ということで、認知が変わると世界が変わるっていうのは、なんだか2の噂が現実になるアレへのオマージュにような気がした。ゲーム全体に過去作を連想させる内容が散りばめられているが、特にシナリオに関しては2罪の流れを思い起こさせた気がした。若葉双葉関連は何となく淳を想起させるところがあった。
序盤の鴨志田から打ち上げまでの話は、テキスティングの妙も含め、本当に緻密で上手く作られていた。チュートリアルが長いのはあるけど、それ以上に物語の導入として素晴らしい出来上がりでした。あの暗く生々しく光の無い幕開けは、惹き付けるのに充分な魅力がある。セリフ回しも隙がなく、ここら辺はJRPGの真骨頂なんだろうと思う。
そのかわりなのか、終盤の怒濤の展開は、ちょっと性急すぎた感じもする。だんだんとセリフも淡白になって行くし、もったいないと思うが、本作品のボリュームを考えると、最後ぐらいはあっさりしてもあながち間違いではないという考え方もある。
まぁ、あの11月21日は流石にやりすぎだけどね。あれにカタルシスを覚える人もいるかもしれないが、個人的に好みではなかった。
明智はキャラ別CMが作られなかった時点で敵なんだろうと思ってたし、別にそんなメタ的なことを考えずとも、あのパンケーキの件はけっこう幼稚な伏線だった。4のおかげで裏切りに対する警戒は僕に限らず各プレイヤー高まっていたはずで、あの程度のものなら察しがついたはず。存在的には3の望月綾時のような主人公と対になっていくのかなぁなんて思ってましたが、実際はさしたる因縁も無く、いやまぁ無くはないけど、そこまで強いものでもないので、こいつに対して何か思うところもない。主人公が獅童から救ったあの女の産んだ子供が明智かもしれないなんて予想してましたが、そこまでではなかった。「屋根裏のゴミ」は名言。
獅童正義は神取鷹久路線かと思ったら、わりと普通の政治家だった。もっと声にドスが利いてるとよかったけど、まぁいい。できればもうちょっとガッツリ何かしら具体的にリベンジしたかったけど、このもうちょっとでやりきれないあたりがペルソナらしくもあり、ペルソナ5らしさでもある。
この展開で物語にどうオチをつけるのか不安もあったが、まさかの黒幕の正体はさすがに想定していなかったね。声の違和感はあったけど、それはメタ的な理由もあるわけで、誰もがそこは油断していたんですけど、それをまた逆手にとって構成させたシナリオの見事さたるや… やはりアトラス、やりおる。完璧に騙された。


☆モルガナ
こういう進行役がいるとありがたい。自分の行動に対して常にリアクションをとってくれて、もはやヒロインのような立ち位置。無口主人公故の淡白さを軽減する存在として、大きな意味があった。この成功ケースはまた今後のペルソナシリーズにも引き継がれて行く気がしますね。
ストイックでロイヤリティも確かな名犬コロマルとも違う。頼りなくも憎めず勝負どころやる時やるクマとも違う。性格に良さは見出せなかったが、長く共に過ごした時間が素晴らしく、別れと再会のシーンは胸に熱く迫るものがありました。
☆坂本竜司
竜司は典型的な相棒枠で、4月5月の竜司はかなり好きだったんだけど、だんだん暑くなってくるにつれて駄目になっていきましたね。ウザいというよりガサツで無能が前面に出てきて、これは他のメンバーがほぼほぼ全員まともなことに起因するんだけど、叩き台というかそういう汚れ役を一身に背負わされていた感じ。やっぱり物語を進める上でアホは必要だし。杏が思いのほか冷静だったのが誤算で、損な役回りはすべて竜司。かわいそうではある。立ち絵はブサイクだが、アニメで見る竜司はわりと良い顔をしていて、やり方次第では好かれていたんだろうとも思うが、それでもフタバパレスあたりでの竜司は心底許せないDQN
熱血相棒枠で個人的に一番好きなのはマークやね。一番好きな熱血の仕方。続いてパンツ番長。とにかく良いヤツ。まぁ元々長い付き合いなわけですし。そんで、どっちかというと陽介の方が順平より好きかな。陽介は現実味の無いくらいに聖人君子な感じですけど、ちょっとホモっぽいからな。順平は顔が好かない。中身はさほど悪くないが、良くもない。FESの順平がいいのは同意だが、あれは周りが悪すぎるだけ。
ちなみに一番好きな仲間キャラはなんじょうくんです。彼の人間性は素晴らしい。洞察力、決断力、行動力に優れた偉大な男。口はひん曲がっているが、一本筋の通った名キャラ。2罰におけるスマートな立ち回りも最高にクールでした。
あー、竜司で言えば杏との関係性よ。あれはどう処理するんだ。
今までもパーティー内で男が女へ恋愛感情を抱くことはあった。マークはあのしょうもない麻希のことを好いてたけど、男気全開にそんな感情は完全に押し殺して最後まで駆け抜けました。あれはいい。あとは陽介が雪子のことを狙ってたという描写もある。でもそんなに本気な想いでもないみたいで、本編においては微塵も未練や後腐れを残さない、爽やかな関係性に終わっている。これも問題なし。
でも竜司はどうなんだ。明らかに杏を女性として意識している。でなければスカートの中を覗かないし、谷間も覗かない。水着に興奮することもない。
例えば順平だって女性陣の水着姿にテンション上げてますけど、元々のチャラい性質があってこそのものであり、積極的に女性としてドキドキするような感じではなかった。狙うような素振りはなくて、友達としての接し方に終始する。
5のここのあたりの表現は問題があって、時折その杏の女性らしさの欠如に文句を言うシーンもありこそすれ、そのわりには水着にドキドキするんだから、内心は憧れに近いものがあるっていう。
好きなら好きで構わんが、後で揉めるよ。どうしましょう。
☆高巻杏
今作で一番嫌われている仲間キャラはほぼ間違いなく竜司なんでしょうけど、今作で一番存在感を持たない仲間キャラはほぼ間違いなく杏になるでしょう。
前述の通り常識がある。アホの子風な位置に落とし込もうとしたんだろうけど、発言に素っ頓狂なところは特になく、発想も発言も極めて無難。それでいて礼儀正しく優しいっていうのは、もちろん女性としては最高に素晴らしいところなんですけど、こういうRPGのキャラとしてはいささかパンチに欠けてしまう。
帰国子女で英語以外の科目が苦手というのもあったけど、あんまり活かしきれてない。別にエリーみたいにやれとは言わんが、とにかく杏の目立つシーンが少ない。
とりあえず顔とスタイルと巨乳でなんとかしてもらうしかないんだけど、なんともなってないんだよな。
友達が少ないっていう設定も無理があるし、全体的に練りが甘いキャラであった。
まぁあくまで相対的な話であり、あんまり気にしなくてもいいんだけどね。
☆喜多川祐介
こういうド天然でありながら冷静で思慮深いキャラクターとか最高すぎる。今までいなかったタイプ。そりゃいませんよね。天然と冷静って両立しないよ普通。でも祐介は無理なく実現させている。杉田さんの声もはまっていて、非常に味のあるナイスなキャラになりました。
僕はパオフゥとか完二の渋くタフな在り方も好きなんだけど、祐介も最高。4番手以降にもこういったアクの強いキャラを用意できるあたり、やっぱりペルソナはマジで素晴らしいね。強い。
真との絡み、双葉との絡みがいずれもほっこり系で、なかなかの癒し系。戦力的にも申し分無く、ホント最高だった。
☆新島真
ドジっこキレキレ生徒会長とかもうなんだかあざとさすら漂わせますが、人気出るんだろうな。彼女の仕切り方は気持ちよかったですね。
☆佐倉双葉
前作の菜々子のようで実はそうでもなかった。でも純真で愛らしく、彼女にもまた虜にされました。モナをフニュフニュするのが最高に癒されるし、ジョーカーを強く信頼しているのが最高にいじらしくて素敵でした。5を象徴する名キャラ。
☆奥村春
僕も含め発売前はプレイヤー全体でわりとノーマークだった彼女ですけど、けっこう化けましたよね。幼い顔立ちの先輩なんですが、実は振る舞いに美しい艶がある。何気ない所作にも優美な色気があって、正直メロメロにされた。凄かった。最高だった。



☆BGM
ペルソナと言ったら何と言ってもBGM。特に目黒将司がメインに据えられた3以降の楽曲はもはやゲーム音楽という範疇を超えて最高峰のクオリティが実現されているのは、みなさんもよくご存知のところ。
アーバンで上質のシティポップもさることながら、戦闘曲やフィールド曲に普通にボーカルが乗るという斬新なプロダクションは、当時ではあり得ない発想でした。しかもロックではなく、ヒップホップであったりハウスであったりR&Bであったりジャズであったり。残念ながらP1P2派とP3P4派の論争というのは確実に存在しているものなんですけど、この二つを大きく分けた要因の一つにこの最強の音楽が挙げられると思う。
では5はどうだったか。もちろん目黒さんに隙はないし、間違いなどありえない。今作はよりジャジーな方向に舵を切っており、芳醇なコーヒーが似合うような、上質のナンバーが揃っている。
でもボーカルが無い分、ちょっと弱い気もした。ペルソナというブランドを考えた際、そのブランド力を支える一翼であるBGMが弱いとちょっと寂しい気がする。
もちろんボリューミー過ぎるこの一大コンテンツに対して、BGMぐらいはあっさりめでもバチは当たらないだろうという発想も理解できる。悪くはない。あるいは怪盗の活躍を描く物語だから静かにしたのかもしれない。それも充分にありえるな。
BGM自体も決して悪くないし、むしろ最高峰である。
でもせっかくペルソナなんだから、歌が欲しかったな。そう思う。
数は多くないけど、実際にボーカルが乗っている曲自体は素晴らしかったんだから、なおさら頑張ってほしかったな。

↑ これが戦闘曲です。最高でしょ。



☆総括
前作4から8年という長い年月。不安は当然あった。
でも実際はその間にいくつかリメイクやスピンオフがあって不在感はなかったし、何より4のアニメが好評を博していたわけで、新規がそれなりに見込める状況ではあった。
さらに言えばPS4という未完の大器。そこそこに時が流れていたけど、プレイヤーたちも決して満たされちゃいなかった。未だ拭えぬ渇きがあった。
ちょうどFF15も延期が決まり、図らずもスポットライトを独占することになって。
そこにこうしてこの名作が叩き込まれるという。完璧すぎるんだよ。
新規にも優しく惹き付けるような、信者をも豪快にのめり込ませるような、最高の逸品。
ホント良かった。JRPGここにあり。日本製の素晴らしいゲームここにありっていうところだな。
もう遠慮せず今後も突っ走れよアトラス。
戴いて行け!!!