Zizou Walks

掴みが肝心なのでサッカーについて。
ブラジルを優勝候補の筆頭にしていた人は一体どういう気持ちで今日のフランス戦を受け止めたのか。たまたまフランスの調子が良かったと言って流すのか、それともたまたまブラジルの攻撃がハマらなかったと嘆くのか。
後出しに思われるかもしれないが、僕は今大会が始まる前から、厳密に言えばバルサチャンピオンズリーグを制したその瞬間からブラジルはない、と確信していた。考えてみてほしい。02ワールドカップやビッグイアー、リーガ優勝にバロンドール。選手として獲得しうる全ての勲章&タイトルを手にしたロナウジーニョ、彼のモチベーション、今回のワールドカップへの動機付けはどうなっていたのか。ロナウジーニョだけじゃない。2002年大会経験者が多くを占めていた今回のブラジル代表に、そこまでワールドカップを制したいという意気込みはあったのだろうか。
スポーツの世界に精神論を持ち込むことを嫌う人もいる。ただ、人間の中には感情というものが存在している以上、人間の活動にはメンタルという要素が大きく絡むのは間違いない。
みなさんは中学生、高校生の時、走り高跳びakaハイジャンプという陸上競技を体育の時間にやったことがあるはずだ。その時の記憶をさかのぼってみよう。記録の測定の時、最初は1m,続いて1m5..と順に跳んで行くはずだ。その際。例えば1m30跳べる人は、1mの測定の時、しっかり自分の力を出し切って1m30、跳ぶだろうか。そんなことはないはずだ。1mの高さの棒をちょっと越えるぐらいにしかジャンプしない。
変な例で恐縮だが、つまりは人間、やる気次第。そのやる気も必要に迫られなければ、出ない。やっぱりロナウジーニョも人間、ブラジル代表も人間ということで、イマイチやる気がなかった分、本当の能力、底力を出すまでには至らなかった、というのが僕の意見。さすがにブラジルはブラジル、小手先のプレーだけでもクロアチア、オーストラリア、日本やガーナ(ただしマイケル エッシェン抜き)は倒せる。ただ相手がフランスなら話は別だ。ジダンに花道を飾らせようとチーム一丸となってまとまっているやる気満々のフランスなら、なおさらだ。
フランスは立派だった。テュラムとガラスのCBコンビ。ヴィエラマケレレのダブルボランチは黙々と任務を遂行し、バルテズは全く危なげなかった。そしてジダンである。ペレばりにボールを浮かして敵を置き去りにしたり、あっさりと2、3人かわしたりと、その優雅さに溢れたプレーに、サッカー人生を最後の最後まで楽しもうとするジダンの、それこそ少年のような無邪気で純粋な想いが垣間見えたような気がしたのは僕だけじゃないはずだ。またここに来てチームがボールをジダンに集めてジダンに託す形になって来てるからね。状況さえ整えばジズーはやってくれる。
戦術について少し言えば、パレイラ監督がここで4-3-2-1を採用したのはどうだったのか。確かに4-2-2-2を使っていた時の今大会のブラジルは、2トップのロナウドアドリアーノがダイナミズムに著しく欠けたため、攻撃に奥行きとスムースさが無かったのは事実で、その滞った流れを改善するべく、また中盤の人数をフランスとイーブンにするためのシステムチェンジと推測でき、その気持ちはわかる。しかしロナウドは結果的にテュラムとガラスという世界トップレベルCB二人に一人で対峙しなければならなくなり、試合終盤こそはドリブルでつっかけたりした(ロスタイムにテュラムがもらったイエローは不運だった)があとはほぼ完封された。アドリアーノのかわりに出場したジュニーニョ ペルナンブカーノも結局FKを壁に当てたりする始末。フランスも怪物2トップで来られた方が数的均衡になり怖かったのではないだろうか。
最後、しりきれとんぼになってしまった。また今度