No.12 『Theater Of The Mind』Ludacris

前作の『Release Therapy』はシリアスなテーマをラップし心の葛藤や苦しみを内省的に描いた新機軸の一枚となり、グラミー賞にて最優秀hiphopアルバム賞を獲得するなど喝采を得て、今後の活動に幅をもたらすポジティブな結果を手にしたLudacris
今作に臨むにあたって、どのような方向性で行くのか非常に注目されていて、プレッシャーもハンパなかったはずだが、結果こうして届けられたのは『Theater Of The Mind』と名付けられたアルバムだった。
色々なテーマをシアター形式に披露する設定、と思いきやそんな感じなのはイントロと「co-starring」(featuringの代わり。ナイスアイデア!)ぐらいで、実はそこまでこだわっていない?まあえーけど。
テーマとして目立つのは、hiphop愛ですかね。あとは女の子ネタとか言葉遊びとか。まああんまりここで取り上げる必要はないかな。
楽曲そのものを見ていくと、最高なのが1個だけ。あんまりなのが2つ。フツーが1つ。あとはまあまあ。そんな感じ。
最高なのは"Last Of A Dying Breed"。悲壮に溢れたドラマティックすぎるsurvivorトラック(フックの展開とかカッコよすぎる)に「HipHop Ain't Dead!」と力強く叫ぶLudaとWeezyの意地が最高にカッコよく、Eric B.&Rakim"Move The Crowd"のスクラッチも効果的な、ベストshitでしょう(かつてNas&Jay-Zの歴史的バンガー"Black Republican"を手掛けたWyldfyerプロデュースですか。さすが&今後この人は要チェックだね)。
あんまり良くないのはモロtrapな"Southern Gangsta"(「Yeah we move weight like sumos And kicks it with them bitches like judo」って..)とフツーにPrimo節の"MVP"ですね。どっちもLudaに合わないし持ち味が出ないよね。
フツーなのは"I Do It For HipHop"。この曲はJay-ZNasが参加したことで最も注目を浴びると思われるが、特別よい出来とは言えないよね。
問題は、残りの曲たちです。いいなぁと思わせてもスゲーとまでは行かないんです。
T.I.とダラっとカマす"Wish You Would"にしても、T-Painとのスムースな"One More Drink"にしても、The Gameとの緊張感漂う"Call Up The Homies"にしても、SwizzがNep風の3連打トラックを用意しPliesと一緒にナンパする"Nasty Girl"にしても、Jamie FoxxがCarl Thomas的なジェントル歌唱で彩る"Contagious"にしても、突き抜ける何かがあるわけではない。何かが足りないんです。
言うならば中の上、もちろんそれは素晴らしいことなんだけど、アルバムの8割方がそれって、ちょっとなぁ...
シングルもイマイチだな。結構Ludaはシングルヒットが多くて、"Stand Up""Money Maker"という首位獲得曲を筆頭に"Area Codes""Pimpin' All Over The World"といったヒット曲を持ってますが、過去の輝かしいクラシックスに比べ"What Them Girls Like"は弱かったなぁ。コレも悪くはないのよ。ただ、バツグンではない。

煮え切らない文章でゴメン。でも、そんな感じのアルバムなんだ。