50 Cent ft. Kendrick Lamar "We Up"

結局、期待されたニューアルバム(期待されてない?)『Street King Immortal』はリリースされず。音楽面ではさしたる成功が最近見られない50ではありますが。
地味に"New York Times"もありましたけど、どうなんですかね今後浮上の目はあるんでしょうか。本人にやる気はあるんでしょうか。

とりあえず"We Up"という先行カットっぽい曲が春先に出まして、わりとよく聴きました。50の巧みなフックメイキングが相変わらず炸裂していて、この人は本当にキャッチーなフックを作れるんだよね。立派な才能です。おそらくKendrickもその点に関して感銘を受けたんじゃないかな。
そして、この曲の一番の目玉は、そのKendrick Lamarの存在であります。わりとラフめなフローもかっこええし、その声だけでアピールできるオーラが満ち溢れてますね。素晴らしい。

さて、2013年は特にリリースがあったわけではないKendrickですが、むしろその存在感は昨年以上に増している感じがありますね。名実ともにKing Kendrickになったと思う。今ヒップホップ界で最も人気があり、実力がある、そういうラッパーになったと思います。
たくさんの客演がありましたけども、何と言いましてもBig Sean"Control"ですね。これに触れなくちゃいけません。
ラストを飾ったBET Hip Hop AwardsでのCypher。あの素晴らしいフリースタイルの内容も"Control"と全く同じニュアンスだと思うんですが、やはり"Control"に込めたメッセージというか苛立ちは、ひとつ大事な意見だと思いますね。
別にTupacやBiggieみたいにやれとは言わんけど、だからといって今の業界も異常なんですよね。馴れ合いが過ぎるという点で。
仲良しなのは構わんけども、それでも仲良すぎるんだよ。だってどのアルバムにもRick Ross、Drake、Lil Wayne、2Chainzが参加していて、全員が全員ファミリーみたいな、まぁ連帯意識とか好きにしてくれていいけども、なんかやりすぎだよね。だって一応はライバルなんじゃないのか?
自分がトップをとりたいのなら、自分以外のMCをぶっ飛ばせよって、どうしてそうならないのか。自分が頂点に立つことこそヒップホップの真髄じゃなかったのか。
LeBron JamesがDwyane WadeとChris Boshと集結した件なんかも象徴的なのかもしれん。時が経ち、考え方が変わったのだろう。
"Control"におけるKendrickのヴァースは、そこのところへの不満、苛立ちが顕れたものだと僕は理解しているし、個人的には賛同しますね。

そんなKendrickが50と音楽を作ったというのも、非常に筋の通った話だと思います。現況にうんざりしながら、最後に残されたピュアなヒップホップを求めたのかなとか。50に馴れ合いなどありませんから。ただ己しかないですから。でもそれこそがヒップホップなはず。
実は誰よりもヒップホップを愛している男、50 Cent。なかなかいい話じゃないですか。
いろいろと物騒に振る舞う時期もありましたが、あれはただ50 Centというスーパースターを演じる上で避けて通れない振る舞いだったんだろうと今になって思います。自分を守るため、あえてそう動いたのだろうと。
つまり、これもオルターエゴっていうやつか。
やはり、50がShady Recordsの一員になったのも必然があると。
実際のCurtis Jacksonはどういう人なんですかね。

じゃあKendrickは何?とかいう話になりますが。
なんというか...学級委員みたいなものかなって思います。
ヒップホップの規律を守る、風紀の乱れを正す学級委員。
ちょっと説教くさいからね、彼は。