まぁ結局やらないかもしれんけど

職場に新しい装置が導入され、柄にもなくテンションが上がった僕は、メーカーの方とお喋りしながら、ごくごく単純で未開拓な研究に取りかかろうと思ったのである。
その研究をやるにあたって必要になってくるのが統計的解析であり、物理や数学が苦手で自分で物事を考えるのが不得手な僕は、おんぶにだっこでそのメーカーの方に何かいい方法はないですかねぇと質問したのである。
するとそのメーカーの方からオススメされた解析手法に耳馴染みがある。いや、正確に言うと発音に違和感があったんだけど、もしかしたら僕が知っているアレかもしれない。
それで恐る恐るメーカーの方に聞きました。それってアレですか?スペルがこんな感じのアレですよね?
しかもその人はその手法、僕が卒業した大学の先生から詳しく聞いたっていうもんだから、すぐさま聞きました。その人って某I先生ですよね?


返事はYes。
そうらしい。
発音は先生が間違ってたらしい。


僕はもうただ震えるしかない。
卒業研究で何も考えずただ盲目的に使っていたあの手法が、まさかこんなところで繋がってくる。
しかも検索すると、その手法が実に一般的な手法として今まさに定着して行く状況にあることを知った。なんと海外の論文誌には、その先生の苗字をとって「Iほにゃらら's Index」と名付けられて引用されているらしい。先生の苗字のイニシャルがIだったからちょうど頭韻を踏めたんですね。そこもスマートでかっこええ。
いや別に韻が踏めてなくたって凄まじすぎるというのに、どんだけ凄いことになっているんだ。
ただのおしゃべり好きで宝塚好きで明治大学ラグビー好きのおじさんではないっていうのは、わかっちゃいた。お部屋のホワイトボードには微積の式がバーッと煩雑に書かれているのを見ていたし、恐ろしく才気走った人だなぁと、いつも思っていた。
すごいよ先生。すごすぎる。
発音間違ってても全然大丈夫。


さっき確認した。
今僕が職場で使っているUSBは、そのまま大学時代のモノを流用している。
もしかしたらと思って挿して探してみると。
当時僕が卒研用にぼんやりと使っていたエクセルのシートが見つかった。
先生手作りの解析用シート。
あの時はただ盲目的な作業でしかなかったけれども。
全てはここから始まっていた。
そして、そこから世界へと繋がって続いていく。まだまだこれからもずっと。


あらためて先生の作り上げた数式と向かい合って、どうしようもなく震えている。
なんて偉大な数式なんだ。なんてまぶしいんだ。
なんちゅう運命の巡り合わせ。
なんちゅう世界なんだよ。



まさかこのブログを読んでくれてるとは思いませんが。
研究が進んだ暁にはご挨拶伺いますので。
さすがに一言ことわり入れとく必要があるよね多分。
どうせ電話繋がらないし、メールでアポとれるんかな。わからん。
よろしくお願いします。