No.6 Miguel "Cadillac"

サントラに入ってた曲で、まぁまともに陽も当たらないのは無理ないんですけど。
トレンドをしっかりと捉えつつ、自らの創造性も味付けとしてふんだんに取り込めている、ハイクオリティの名曲です。
トレンドというのは、やっぱりUptown Funk路線ですよね。もうさっきからそればっかり書いてる気がしますが。
シーン全体がファンク方面へと舵を切っている。別にホーンのソロまで踏襲しなくてもいいのに、みなさん律儀に用意しちゃって。
ある程度のテンプレもあるけどそれはアメリカのメジャーで活躍するためには不可欠な要素だから問題ない。
しかも今回はテンプレというか、まず元ネタというかインスパイア元になるHot Chocolateの曲があって、そのトラックとフックのフレーズを流用したその上にオリジナルを積み上げて行くという、そういう手順になっている。
まぁとにかくいつだって如何にして己らしさを取り込めて行くかが大事であって。
軽やかに宙を舞うファルセットで始まって、フックは低めに地声で艶やかに彩って行くという、Miguelの黄金パターン。メロディも美しく悩ましく、洗練されたボーカルも心地良さに溢れている。
そこでいてフックのシンプルだけど中毒性の高いファンクっぷり。短いフレーズの反復によってテンションを高めて行く曲をファンクと定義するのであれば、その辞書の項目の一例として挙げられてしかるべきこの曲の構成美。Heaven's in the backseat of my Cadillacというキラーフレーズこそ丸々そのまま頂戴しているが、再構築した結果産まれたモノはよりパーフェクションを手繰り寄せていると、個人的には思ってます。
ブリッジからのとめどないファンクの喜び、そして終盤にスクリューされても失われることなく続いていくファンクの幸せ。
汗臭さなど微塵も無く、むしろスマートでスタイリッシュな装いでありながら、勝手に身体が動き出してしまう。2016年の音楽を説明するんだったらこの名前を出してもいいかもしれない。名曲。
それにしてもMiguelの何年にも渡る素晴らしいパフォーマンス。なんか勝手にDef Jamだと思ってたんだけど、Jiveスタートで今はRCAなんだね。信頼感が高まりまくり。ずっと外してないし、外してないどころかドデカくかましてくれる。
いつもありがとう。頑張れ。