Feel The Real

香川真司を考える時、いつもレヴィー・クルピのあの言葉が甦ってしまう。
「シンジは本当にプロフェッショナルな選手で、常に前向きにベストを尽くす気持ちを持っている。その点がヨウイチロウと違うところ。ヨウイチロウはもっと責任感を持ってプレーしなければならない。ヨウイチロウは今年だけで練習に5回遅刻している。シンジとヨウイチロウは対照的で、シンジの場合はプロフェッショナルとして責任感が強いがゆえに、ミスを恐れてしまうところがある。逆にヨウイチロウは責任感がないがゆえに、時として非常に勇気あるプレーができる。対照的な二人だが、そういったところを変えていけば、2人とも間違いなく将来日本を代表する選手になる」
このセリフは2009年のもので、あれから8年もの歳月が流れている。



日本人は「トップ下」とか「司令塔」という言葉が大好きで、そういう選手が背番号10をつけるべきと思っている節がある。
2002年の本番での中山雅史を除き、木村和司ラモス瑠偉名波浩中村俊輔と近年ずっとその司令塔イメージの選手が背番号10を背負って来た。


香川は2010年のワールドカップ後の新チーム結成時にいきなり背番号10を渡された。俗に言うアディダス枠。当時何も実績のない男が10番。違和感というレベルではない。


司令塔という言葉の定義はよくわかりませんが、少なくとも僕は香川を司令塔と思ったことはない。あの人はセカンドトップとかシャドーとかそういう括りの選手だろう。あくまでも点取り屋でしかない。
第一次ドルトムント時代の映像を見ても、アシストと言ったって大したお膳立てでもなく、決めたFWの力量に依存するようなそういうものが大半である。
MFと呼ぶにはちょっと違う。やっぱりFWでしかないと。別に良い悪いとかではなくて、実際そうだろうと。
第一、香川の全盛期ってクルピ時代で、その時のポジションこそシャドーだったじゃないですか。司令塔でも何でもなく。カイオと乾貴士の3トップだったやん。


あれから多少は成長したんだろうけどさ。
でもホント手詰まりになる。トップ下でボールを受けたとしても局面を打開するほどのものは持っていないと、未だに思いますね。
ギャップを突いてボールを受けるのは問題ない。ターンも上手い。そこまではできる。
でも前を向いたところで何ができると言うのか。相手をかわす技術はあるけど突破力はない。展開力とかスルーパスとか特筆すべきものがあるわけでもない。
結局シュートのみ。それも別にシュート力があるわけでもないのでレンジは狭め。GKを見て流し込むパターンと、ダイレクトで合わせるパターン、ペナ内でかわして撃つパターンとか。
結局、逃げにしか見えない。勝負しない。8年経っても未だに。


とりあえず日本代表の本番のスタンダードになるであろう4-3-3 (≒4-1-4-1)の中盤において香川の活かしどころは無いと思っている。少なくとも適正ポジションは無い。
使うとしたら前線しかない。それも3トップの真ん中がベストじゃないかと思ってます。
大迫勇也のバックアップは本田圭佑がやればいい。香川は大迫タイプではないけど、目先を変えるジョーカーとしての役割を担ってもらう。


まぁまだあと半年近くあるんで全くわかりませんけど、一応シミュレートをしてみると。
対強豪で考えると、先日の埼スタのオーストラリア戦がスタンダードになってくるかと。
中盤は長谷部誠、山口蛍、井手口陽介。まぁコンディションが整っていればこの3人でそのまま本番でも問題ない。
ただ状況によってはやり方を変える必要に迫られるはず。バランス重視の4-3-3だけではなくて、攻撃寄りの4-2-1-3も持ち合わせておく。愚直に自分たちのサッカーを貫いて失敗した2014年のこともある。二段構えで用意しておくのは真っ当な話。
井手口を下げて司令塔タイプをトップ下に入れる。その際のトップ下なんですが、これを務め上げられそうなのが清武弘嗣しかいなさそうなのが結構シビアな現実。
清武は展開力もあるし、スルーパスも光るものがある。後ろ向きに受けながらダイレクトで自分の斜め後方にパスをつなぐのが得意で、このプレーは現代表において清武しかやってるのをみたことがない。攻撃のスピードを自在に操りながらチャンスを作って行ける。
それに何と言ってもプレースキックの精度。直接FKは平凡だが、CKと敵陣深くのFKの精度の素晴らしさは日本屈指。俊さん以降失われていたセットプレーのチャンス復活は、この男の存在なくしてあり得ない。
現代表の中核を担う大迫、酒井宏樹、山口蛍と同じロンドン世代で、連携面に置いても一日の長がある。
一応欠点は得点力のなさと守備力の低さ。この2点だけはさすがに香川が上である。ただその他の項目、司令塔としてトップ下として必要な項目は全て清武が上回っていると断言できる。
ケガをしっかり治し、必ず11月の遠征メンバーに入ってほしい。本番の鍵を握る男だからね。



今のところロシア本番での誰かサプライズ選出の予感は皆無なのが辛いところ。
アントラーズファンとしては鈴木優磨と安部裕葵の二人の滑り込みに期待。もし東アジア選手権に選ばれるようなことがあったらワンチャン出てきますが、間に合うんでしょうか。
柴崎岳もなぁ、このままメーメット・ショルとかアレッサンドロ・ネスタばりにワールドカップとは無縁の男に終わってしまう可能性が高そうで吐き気がする。
むしろソガ呼んでくれよ。曽ヶ端準。絶対後悔させないから。