No.9 『The Recession』Young Jeezy

みんな大好きJeezy。わかりやすいからね。
ファーストは本当に衝撃的で、後のhiphopの歴史を変えたアルバムでした。あんなエグいビートを聴いたこと無かったし、あんな魂揺さぶられるラップを聴いたこと無かったし、あんなアドリブを聴いたこと無かったからね。凄かったよ。
セカンドはファーストで得たステータスを元にスターモードに突入。TimboやToomp、The Runnersといったメインストリームのプロデューサーを起用したりして華を増させつつ、従来のhard trap路線も継続しながら、新たにsoul trapという新機軸も編み出したりした意欲作。最初はあんまりだったんだけど、今はなんとか理解できます。本人なりに進化したんでしょう。
で、今作。前作からの反動か、よりストイックな作風に戻ってるんですが..
あのさぁ、なんで似たようなトラックばっかりにしたの?一聴したら、全部一緒やんけ。全部、同じにしか聴こえんぞ。
まあ、何回か聴いてるうちに掴めてきましたが、それにしてもこの作品、奥行きがないよね(特に序盤戦)。
本人的にはリリック面でビミョーに進化したのでしょう。ただ、善くも悪くも進化した、という印象。
悪いのから行きます。"Amazin'"です。「Eyes so low yeah I look like an Asian」。ふざけんなよ。アジア人だからって全員目が下がってる訳ちゃうからな。ナメんなよ。
"Welcome Back"は訳わからん。「カンフーパンダが云々。オレをSENSAY(=先生)と呼べ。テコンドーを教えてやる。」なんも言えねぇ。
いらんのが"What They Want"。一番がバスケ、二番がアメフト、三番が野球を例えにして日々の闘いを描いてますが、必要ありません。
まあまあが"Don't Do It"Freeway"Baby Don't Do It"Papoose"Fruits Of Labor"と同ネタのsoul trapでして、二番にいきなりJay-Zの曲名を引用しまくるんですが、けっこう興奮するね。

そんな中、ヤバい曲が一個。
"Circulate"
Mr.クラシック請負人、Don Cannonとの最強コンビ、再び!!!! Cannon I see you!!!!!!
従来のバンギンな作風から少し変えて、そのまんま大ネタの上でラップするっいう、なんかGFKっぽいスタイル。めっちゃキャッチーでめっちゃソウルフルなのに、めっちゃバンギン。歩きながら聴いてると、自分が勇者になったような感覚で勇ましく歩いているような気分がしてきます。
そして、リリックも見逃せません。「空っぽの金庫にできた寂しい空間を何で埋めりゃいいんだよ」とか「石油の値段、ヤバすぎだろ」とかラップして、サビでは「インフレがヤバい」とか「失業率の上昇が止まらん」とか嘆き、最後には「お願いだから、お願いだから紙幣をガンガン循環させてくれ」と叫ぶ..
これはまさに経済対策ソング!アルバムタイトルが「大不況」なんだから、まさにピッタリな曲になってます。

あとは"Word Play"かな。J.U.S.T.I.C.E. League製のトラック(まあBeanie Sigel"Look At Me Now"と同ネタですが)、そして三番での展開が秀逸です。