本当の意味でIf tomorrow comes...

アメリカのHip Hopについて喋ってると、必ず話題にあがるのがmixtape世代の未来。PapooseやSaigon、Uncle MurdaにTru Lifeといった俊英たちは、充分すぎる実力を備えていながら未だメジャーのフィールドに昇ることが許されていない。一応現在何かしら出せる予定になっているRed CafeやFrench Montana、Kid CudiやCharles Hamilton、Waleあたりだって本当に発売させてもらえるかわからんし、今buzzが爆発してるDrakeだって正直予断を許さないからね。

そんな中、mixtape世代の一人、Mainoがようやくメジャーデビューアルバムに漕ぎ着けました。
彼と他のmixtape世代との違いは、柔軟性。Papほどリリシズムを徹底してないし、Saigonほど意固地なハードコアでもない。キャッチー路線をやるだけの覚悟があるみたいで、そういうのに対応するだけの独特なセンスも持ち合わせてるんです。リングトーン向けの曲を作ったり、わかりやすくラジオ向けの曲を作ったりするのも抵抗ないみたいで、そういった部分がメジャーディール、デビューを勝ち獲る要因となったのでしょう。

昨年の夏のスマッシュ"Hi Hater"がレコード会社の重い腰を動かす結果になったわけですが、タイミングとしてはどうかね。おせぇ。
しかも、そのアルバムが個人的には期待してたほどの内容でもなかったから、さみしい。
シングルの感じとか"Summer Time"、"However Do You Want It"とかを聴いて、Mainoはそういうキャッチー曲、歌モノで持ち味を発揮するタイプだと思ってまして当然その路線で来ると思ってたんだけど、アルバムはハードに打ち出してきた。
でも、そうなると正直特徴に乏しい。The Game的リリシズムにPliesにJuelzを混ぜたような声でのmassiveな語りは別に悪くはないが目立つものでもない。先述したようにMaino自身は独特のキャッチーセンスを持っていて、あの声とそのキャッチーさを合わせればオリジナリティが出てくるのに、ハードに行ったアルバムではキャッチーさは極力控えめにされてしまい、中途半端な結果に終わってしまった。特徴のない、よくある今時のアルバム。
これじゃあ生き残れないし。次はもっとキャッチーに振り切れろよ。もし次があれば、の話だが。

結局mixtape世代はこうなっちゃうのか。
かつてJiveとの大型ディールをゲットしたのにシングルが当たらずドロップさせられたPap、リングトーン向けの音楽とか作んねぇよと仰ったせいでお蔵入りにされたSaigonに続き、アルバム発売まで行ったのにそこでコケたMaino..
実力はあるのに、決定力不足..
谷間の世代なのか?