No.26 『Jealous Ones Still Envy 2』Fat Joe

やたらコンスタントなリリースですね。一体誰が彼に期待してるのか知りませんが、まぁペースを乱してないことは立派です。
しかし、中身は今シーズンのワーストものでした。
別に僕もJoeyにすごい期待してたわけではないし、ハードルはかなり低くしてました。すると、まさかそんな低いハードルに引っ掛かるなんて……
トレンドをただ丸なぞりしてるだけで何ひとつ自分でクリエイティブなことをしていない。何となく今流行っていることをやって、自分のラップは大したことない。いや、酷いことにちょっと昔のトレンドをやったりしてる痛いところまで露呈。
"One"みたいな曲を今更やるという空気の読めなさ。狙いがよくわからない。2005年にYoung Jeezyが"Soul Survivor"を出してから流行ったAkonサビの哀愁ストラグル系は、Rick Ross"Cross That Line"(2006)とか50 Cent"I'll Still Kill"(2007)といった名曲たちを産んできたが、それを2009にやるなんて……しかもクオリティ低し。何なんだよ。
"Ice Cream"はトラックが流れ出した瞬間にうんざり。Willie Hutch"Overture Of Foxy Brown"ネタと言えば、Freeway"Baby Don't Do It"やPapoose"Fruits Of Labor"、Jeezy"Don't Do It"等々、枚挙に暇なし。感じとしてはJay-Z"Song Cry"やKeyshia Cole"You've Changed"のネタとしてもお馴染みのBobby Glenn"Sounds Like A Love Song"と一緒で、サンプリングしたくなる熱唱ポイントがある曲ゆえの使用率なんだろうけど、もういいやんけ。自分でそういうのを探せし。

そして、一番許せない曲が"Porn Star"です。
トラックはまんまLil Wayne"Lollipop"風で、さらに前例に則りJoeyもちょっぴりAutoTune使いながらエロトーク……情けなさすぎるだろ。
Fat Joeは何もわかっちゃいないんだな。"Lollipop"が持っていた愛嬌あるくだらなさ、ストレートには行かさないヒネリの利いたリリック、味のある鼻歌交じりのラップ……最高に楽しくカッコよかったこの曲のことを、何も理解してなかったみたいだ。
なにせこの"Porn Star"という曲、ただ露骨なだけの下品な糞曲だからね。ホントふざけんなよ。
なんだか"Lollipop"までも汚されたみたいで、腹が立つ。

先行カット"Aloha"とかは割りとイマドキな曲だったが、似合わん。
これも若干今更感があるけどtrap"Cupcake"はアリだね。
"Okay Okay"みたいな荘厳系が合うんだから、そういうのを増やせよ。
ラストの"Music"は普通に良かったよ。まぁ、まんまLL Cool J"Cry"の二番煎じなんですが、この手の感動系は好きです。素直に感動できます。