No.19 『R.O.O.T.S.』Flo Rida

元来、そういう人ではないと思っていた僕の勘違いだった、ということなのか。
Flo Ridaのファースト『Mail On Sunday』をあらためて聴いてみると、"Low"や"In The Ayer"といったパーティー系、"Hangover"や"Freaky Deaky"といったFlorida涼しげ系もありつつ、基本的には"Elevator"や"Roll"、"American Superstar"といったハードな側面を前に押し出したアルバムであることがわかる。フローこそNellyあたりのメロディアスな流れを汲んでいるが、メインでやっている音楽はイマドキなtrapだったりbounceだったりしていた。
そして、今作である。前作の面影はどこへやら、やたらキラキラなポップで楽しいアルバムになっています……ガラッと変えてきました。
確かにそのキャラとか見た目からして、ギャングスタではないしディーラーでもないし、いかにも優しげな兄ちゃんタイプだと思いますけど、今回のアルバムにおける振る舞いはまるで歌のお兄さんみたいだ。
まぁ"Low"が飛び道具だとは個人的には思わないのだが、「楽曲が飛び道具」から「存在自体が飛び道具」になったみたい。
なんとも評価しがたいアルバムだよな……キャッチーなのは見事だが、僕は前作のカッチリした作りが好きだったんでね。
評価するとしたらゲストの人選の質だろう。変わり者は変わり者を招くということで、独特の存在感を出すNelly FurtadoとかWyclef Jeanを呼ぶあたりはブレてないと思うし、後に引っ張りだこになるPleasure Pをかなり早くに起用している点も見逃せない。
今年はやたらBEPがシングルチャートを席巻しましたが、そんなBEPのやってることをFlo Ridaは先にこのアルバムにてやってたりしてることも地味に凄い。
時代が味方したのか、それともこの人の嗅覚が抜群なのか……いずれにしろ、今後も注目に値する人である。