No.17 『Ruthless』Ace Hood

昨年の佳作『Gutta』から半年で新作か。頑張らんとね。
ハードでありながら爽快な勢いのあった前作から変えてきて、なんかシンガー系増量だね。Floridaバランスを意識して調節したのか。
結果としては、存在感が希薄になっちゃったかな。彼の持ち味である速射フローが出たのが一曲だけに留まっていて、もったいない。
"Champion"はJazmine Sullivanが魂揺さぶる熱唱でAceもRick Rossも丸ごと喰っちゃってるし、個人的に好きな"Love Somebody"にしてもJeremihが甘く持って行ってしまってる。コピペっぽいけど味がある"Mine"もThe-Dreamが救ってるし、"Wifey Material"なんてLloydのおかげで成り立っているからね。
AceはR&Bボーカルと絡むのが下手。AkonやRock Cityあたりのtrapシンガーなら上手く連携するんだけどね。
R&B曲になると変に小細工したようなラップになるのがいかん。おかげで存在感がない。

"Overtime"はまあまあだね。Biggieを力強く引用する2番の頭とか興奮するし。
"This Nigga Here"はシャープでアリ。
ベストは"Born An O.G."でしょう。ロッキンなギターが苦々しく響くトラック上でLudaとブチかましてるんですが、二人とも完璧なファストスピットを披露してて、文句ナシ。こういうのを聴かされると才能あるなぁ思うわけです。
最後の"Make A Toast"はきらびやかな祝福系で意外に良いんだけど、Ace Hoodの置かれてる状況では、乾杯してる場合じゃないよね……一時期の松井秀喜よりも遥かに不安定な立場で大変。ディールはキツイかなぁ。