No.15 『Malice N Wonderland』Snoop Dogg

ホントSnoopは暇人のようにアルバムを出しまくってくれますな。No Limitに所属してた経験から来るのか、粗野濫造気味に連発される新作たち……ファンには嬉しいペースです。
キャリア中盤期の古巣Priorityの何か重役に就任したんだっけ。よって今作は久しぶりにPriorityから出ます。『Paid Tha Cost To Be Da Boss』以来か。あのまとまりの無さすぎた変態アルバムみたいになってるのか?

アルバムのケツに"Outro"を置きましたね。いろいろ形を変えて"Intro"は欠かさず入れる一方、"Outro"は『Doggfather』、『Paid〜』に続き3回目(3作品/10作品中)。Priority効果かも。って、話が細かい?
曲数が抑え目なのがビックリ。あのテンコ盛りSnoopが、たった14曲で満足するなんて。

肝心の中身にも触れましょ。
ジャケとかタイトルから何となくコンセプチュアルな雰囲気を出しつつ、全くそんなことはない。バラバラな内容。
かといって『Paid〜』みたいに様々な方向にブッ飛んでるわけではなく、様々な方向に普通な曲をやっている。振りきってないので、散漫な印象はない。
ただ、クオリティが突き抜けないのも事実。一曲一曲が程々なのでアルバムはこざっぱりなんだけど、地味。何かが足りない気がしてくる。画竜点睛に欠ける気がする。
いつもよりラップに力が入ってないんだと思う。腹八分なのか?しかし、それじゃあ手緩くなるし。
良かった曲もけっこうあったよ。ピアノが綺麗で真っ直ぐなラブソング"Different Languages"、シンプルなドラムで構成されたパーティーアップ"Upside Down"、Battlecat+Kokaneという安心のキャストが提供するファンキーナイス"Secrets"、Nottzによる抑えたドラマチックさが絶妙だしフック(by Kellz)やラップのバランスがいい"Pimpin Ain't EZ"、スムースでアダルトなNepトラックもBrandyのクールなヴォーカルも美しい屈指のハイライト"Special"あたりは文句ナシ。
ただ、他の曲はもうちょい。悪くはなかったが、ここ最近のアルバム曲のクオリティには達してない。
シングルも物足りなかったな。"Gangsta Luv"はTrickyとThe-DreamがG風のトラックを用意したけど、特筆すべき質ではない。
同じくTrickyとThe-Dreamによる"Luv Drunk"も、ファルセット交えたフックが気持ち良いし、Gな鍵盤を時折入れたりする工夫も見られるんだけど、伸びない。もうちょい。

結果的に、ここ最近の力作アルバムたちから少しクオリティが下がってしまった。
ラップの存在感を再び濃くすべきだし、何かをやる時はブチギレて振り切るべき。無難なSnoopはつまらん。
こんなんじゃあ、重役に就いて給料もきっちり貰えて満足したんだな、とか言われるぞ。
1003みたいにはならないでください、お願いします。