No.13 『Padded Room』Joe Budden

Joe Buddenのオフィシャルなアルバムは6年ぶり二枚目ですか。かなり久しぶりですが、その間には『Mood Muzik』シリーズのmixtapeを出していて、それが軒並み好評価を獲得。ストリートプロップスを確かにした中での本作のリリース。
前作はDef Jamという縛りに悩まされたぎこちない一枚だったが、今回は粒揃いですよ。
定番のフレーズをフックにしたエモーショナルなアッパー"Now I Lay"から興奮モノで、The Gameときっちりブチかましたシングル"The Future"が気持ち良く、続くのが重苦しいコーラスのレクイエム調の中で吐き捨てるJoeがいい"If I Gotta Go"、きらびやかロック大ネタに乗る"Don't Make Me"、展開が堪らない滑らかなアップ"In My Sleep"、メランコリックな独白"Exxxes"、って捨て曲がほとんど無いし。Prodigy Of Mobb Deep"Diamond"と同ネタのストーリーテリング"I Couldn't Help It"、ハードロックの上で吠えるJoeが様になっている"Adrenaline"、これまた素晴らしい展開を備えていて鍵盤の音が情感を増幅させる"Do Tell"、Jeezy"Bury Me A G"ばりに苦み走ったソウルフルshit"Angel In My Life"、そして大ラスを飾るは神への切実な想いを乗せた名曲"Pray For Me"……という充実具合。いちいちラップはストイックで安定感があるし、そんなJoeの持ち味を最大限引き出したトラックばっかり揃えてきたプロデューサー陣の働きも特筆に値すると思う。
とっても良かった思うよ。苦々しくたぎらせたエモーショナルな感じがドツボでした。さすがmood muzikな人だ。ムダがなくて理想的。いろいろメジャーの縛りから放たれて持ち味を見据えられた結果の勝利。

……ただ、大人げない一連の件が痛いし、情けない。
Method Manを蔑んだ発言、あれは絶対に許されない。先輩を敬わない人は許されないし、最悪だ。
自分に本当に自信があるなら相手を持ち上げるはずだが、まあそんな余裕もないクソガキなんだな、コイツは。
SlaughterhouseとかTahiryとか、Joe Buddenには素晴らしい1年になるはずだったのに、全てパーだ。
いいアルバムだったが、評価は少し下げさせてもらった。