No.12 『Street Hop』Royce Da 5'9"

Slaughterhouseのプロジェクトが好評で、今まで以上に注目を集める形になったRoyceの4th。
前作が実に中途半端な出来で、微妙にマスを意識したような作風に失望を覚えたものだが、今回はどうなのか。
曲、多くね?ジャケ、キモくね?
なんか捨て曲が半分くらいあったんだけど、削ればよかったし。
Bustaとの"Dinner Time"とか意味がわからない。縛りを作ってラップするのは構わんが、その縛りのせいでカッコ悪くなるのってアホ臭くないか?
そのかわりと言うべきか、聴ける曲は総じてハイレベルだったね。
"On The Run"は日常の倦怠感が出たトラックが見事だし、Royceもサラッと巧い。内容は淋しい話で悲しいんですが。
"Thing For Your Girlfriend"はK-Youngの甘い歌唱がたまらんね。RoyceのラップはBiggie"Dreams"というより50 Cent的ひがみっぽくて親しみやすい。
"Murder"はゴスペル風のソウルフルトラックでRoyceがバッチリとキメてます。
"Bad Boy"なんかはここ数年ありがちな構成なのかもしれないけど、流石に雰囲気が出てるし完成度も高い。Shyne"Bad Boyz"やThe Game"It's Okay"、Snoop Dogg "Get A Light"とかG-Unit"Let It Go"と比べても遜色ない楽曲ではなかろうか。
一番のハイライトは"Gangsta"になるかな。Trick Trickのドスが利いた警告から始まるこの曲は、まさしくドラマチックなDetroit曲。Detroitというか、Eminemっぽいか。まあDetroitで僕が知ってるヒップホップってEm、D12にSlum Villageくらいだからな。とにかく、緊張感溢れるDetroitハードコアの中でしっかり叩きつけるRoyceが鉄壁。
こんな感じで良い曲はかなり良いんです。19曲中11ぐらいは聴けた。だからこそ、捨て曲8つをどうにかしてほしかった。
そして一番寂しかったのが、Premo曲の質の低さ。初め聴いたときは、衝撃的でさえあったね。ホントにこれがPremo曲なのか……ヘボっ、って。
"Shake This"はLil Wanye"Dr. Carter"風の曲でなんか違うし、"Hood Love"に至っては全く理解できない。なんだアレ。"Something 2 Ride 2"はギリありうるけど、無難だよなぁ。
僕らリスナーは"Boom"とか"Hip Hop"とかを聴いてるわけで、それに近いレベルでなければ納得できないんです。
Premo曲の出来のせいで、このアルバムに対する印象もガクッとなってしまった。それくらい残念。
まあ全体的には力作だったよ。個人的にはもうちょいバトルラップっぽい曲、滑らかに畳み掛けるRoyceのフローが活きた曲も少し欲しかった気もするが、わがままは言いません。まあ良かったです。