No.11 『Loso's Way』Fabolous

案外Fabolousも結構長いキャリアになってるよな。2001年のデビューから8年目、通算5枚目のアルバムになるわけです。
1stはへなちょこ脱力系をアピールするも実力的に物足りず、2ndはゲストを増やして注目度を向上させるも力不足は変わらず、3rdではラップが少し力強くなるも楽曲が伸び悩み、Def Jamに移籍しての4thは華やかにトレンドを追及したが完全に主役埋没。アルバムのたびに完成度がなかなかしっくり来ませんでしたが。
流石にLosoも成長してきたということなのか、今回は捨て曲がほとんどないアルバムになりました。(7月27日の記事でも『Loso's Way』について少し触れたので是非ついでに)
個人的に捨て曲は"Salute"と"Last Time"。前者はWeezyとのコンビ曲で、あんまりこういう曲調だとLosoの持ち味が出ない気がする。Weezyに引き摺られてユルユルになってるけど、Losoはシャキッとやってもらうほうがいい。後者は"Into You"風の囁きになってますが、これも好かんな。
後は全部よかった。冒頭の4曲ぐらいは歯を食いしばって力を込めるLosoらしからぬ側面を見せててカッコいい。"My Time"はJeremihのフックが気持ちいいし、"Feel Like I'm Back"ではLosoがオケに合わせてメロラップして巧かったりして、飽きないんだよね。中盤のR&Bゾーンも鉄板。"Everything,Everyday,Everywhere"は手堅いし、"Throw It In The Bag"も聴かせ方が巧い。"Money Goes,Honey Stays"もオシャレで間違いないし、こういう曲調なら無敵だな。その後はポッセカット"There He Go"も各々悪くないし、"The Fabolous Life"もリリックが巧み。"Makin' Love"も気持ちいいし、終盤のシリアスゾーンも総じて良い。Jay-Z"Say Hello"似のトラックにてNas"The Message"の名フレーズを引用する"Pachanga"はLosoらしくない新鮮な感じだし、いつになく真摯な想いを乗せた"Stay"も胸に響く。ラストを飾る"I Miss My Love"もBlack Robの名曲"I Love You Baby"のリメイクしたような感じで好きです。
細かい話をすれば、初めてのLil Mo抜きが許せんとか、初めてのJust Blazeのプロダクション抜きは物足りないかもとか、不満もなくはないが、基本的には良く出来たアルバムです。Fabolousとしては初めて頭から最後まで楽しめるアルバムになったんじゃないでしょうか?満足度は非常に高い。
じゃあ、なんでこんなランキングは低いんだ?という話になるよね。うーん……
なんというか、Fabolousの声って若いじゃん。若いからさ、何となく子供っぽいというか、子供騙しというか、そんな風に思ってしまう自分がいるんです。子供っぽいのをランキング上位に持ってくるのは気が引ける、という不純な動機です。
あと、何となくクラシック感がないんだよね。良く出来てるけど、名作ではないし、2009年を振り返った際その名前は出てこないかなぁ。アルバムトータルのまとまりが、あんまりないからかな。
よって、こんな位置に落ち着きました。許してくれ、Loso。次も頑張れ。