No.8 『Pray IV Reign』Jim Jones

Jim Jonesの目標はPuff Daddyである。これは間違いない。
"We Fly High (Remix)"で見せた種々のオマージュはもちろん、"Emotionless"での歌詞引用、そして"Pop Champagne"でも引用がありますが、今回は"Big Poppa"におけるPuffの語りから、ですよ。よっぽど好きなんですね。
実際ヘタウマなラップも似てるんだよね。味とかノリで勝負してます。
ということで、テクニックは大目に見て今作を評価すると、なかなか素晴らしかったよ。トラックはいちいち高品質だし、構成もしっかりしていてアルバム単位で完成されている。
序盤から魅せてるね。"Intro"から既に渋くて好きなんだが、お得意のレクイエム調"Pulling Me Back"も手堅くていい。疾走する"Let It Out"はまあまあだが、ここで1つめのハイライト"How To Be A Boss"。エッジーでありつつ展開を持たせたRon Browzのプロダクションが見事だし、JimmyもLudaもいい。
中盤もたまんないね。ギターが響くヴァース部から鍵盤を交え甘く歌われるフックへ流れ込むところが絶品の"Precious"はRyan Leslieグッジョブだし、Michael(RIP)"Rock With You"のグルーヴに乗せて羽振りよくやる"Blow The Bank"も抗しがたい。フックが巧みな"Girlfriend"も悪くない。
終盤も充実。鼻唄がいい"This Is The Life"はキャッチーだし、またもレクイエムな"My My My"もエモーショナルでよい。
そして"Pop Champagne"。簡素から一気に華やかに振れるトラック上でJimmyとJuelzが魅せたスマートな振る舞いがカッコいい。まだRon Browzのスーパー金太郎飴モードが炸裂する前だったから、この曲は聴きまくったなぁ。
"Rain"もカッコいい曲だね。Rellがドラマチックに熱唱し、Jimmyが哀愁を漂わすこの曲を聴いて、この人は自己演出が巧い人なんだなぁと思いました。Puffでいうところの"If I Should Die Tonight"的な曲かな。
惜しむらくは、ラストを飾る"Na Na Nana Na Na"。一応これが先行カットになるんですが、Nellyの"Na-Nana-Na"、Akonの"Right Now (Na Na Na)"とは比べ物にならないくらい、糞曲。Worst Hip Hop Song Ever In Historyとか言われちゃうくらい。安っぽいロック調のトラックに、キャッチーというかアホなフックを持たせてますが、冗談にならないほど中身がなく、何も見るべきところがないんです。
もうちょいマトモな曲をシングルで出せたらなぁ。おかげでこのアルバム、売り上げ面で完全にコケてしまったし。
"We Fly High"級のシングルがあれば、非常に素晴らしいアルバムになりえたんですが……まあ、このままでも充分最高です。個人的にはツボでした。
最後にくだらないことだけど、"Pop Off"の次が"Pop Champagne"って、Popが連続することには何の抵抗も覚えないんでしょうか?僕には全く理解できないんだが。