No.7 『The G-Files』Warren G

前作の『In The Mid-Night Hour』がけっこう音数を絞ったファンキーな作品で、悪くはないものの評価されなかったWarren。今作はどう来るのか、その反動が出るのか思いきや。
なんだかまたも別の側面を出してきました。割かしダイナミックでグルーヴィなプロダクション、なんだかあっちのG-Funkに少し近づいたかも?
この路線なら結構イケますね。
中盤の2つ、♀ボーカルに引っ張られすぎる"Swagger Rich"、ピーヒャラ言わせてヒネリがない"Suicide"の2曲は理解できなかったが、後は総じて良質だったんじゃないかな。
大振りな展開がDre風とも思える"The West Is Back"に始まり、コズミックな連打で彩るドリーミーな"True Star"は流石Warrenな酒脱。メロの影を負った感じが西を印象づける"Let's Get High (420)"では立ったドラムスでグルーヴも魅せていて、すると今度は立体的なきらびやかさでこれまたDreっぽい"100 Miles And Runnin'"では手堅くNate、Raekwonでまとめたり、けっこう振れている。
従来っぽいのは"Skate, Skate"で、浮遊感のある穏やかな一曲。
T-Pain"Freeze"似の"Drinks Ain't Free"もトライバルなドラムが印象的。ヒップホップへの熱いメッセージもある"Masquerade"はエッジの利いたプロダクションが新鮮。"Hold On"はじっくり沁みるし、"What's Wrong"は変なウワモノが美しい鍵盤と絡みつくムーディな一曲。
で、シングル2つ。"Ringtone"は笛のアクセントとかトークボックス風の合いの手とか遊びながらもフツーに良く出来た曲だし、夜の高速を疾走するような"Crush"もRay Jが甘い囁きで誘うアダルトな名曲。イイヨイイヨ。

どうですか。いいアルバムじゃんね。
まあ、もうちょい滑らかなスローを味わいたいという気分もありましたけど、この品質を前にして文句は言っちゃあかん。
後はリリースペースだよね。待たせるのが得意な人だというのは知ってるけどさ。仕事しろ。
仕事すれば、この人は必ず何かを産み出せる人なんだよね。才能レベル的にはKanyeと充分タメを張れるものを持ってると思うんだけどなぁ……
まあ、呑気な性格、ということかな。