#4 "Good Kisser" Usher

トレンドセッターなんて気軽に言いますけど、トレンドをセットすることは決して容易なことではありません。
Usherは米音楽業界においてJay-ZBeyonceJustin Timberlakeあたりと肩を並べるくらいの大御所なんですが、彼のキャリアを振り返ってみれば、ほとんどがトレンドに乗っかってのプロダクションであることがわかる。
意外ですよね、わりとUsherは先鋭性があるようなイメージ。でもエポックメイキングだったYeah!を除いては特にないのが真実。
このGood Kisserも例外ではない。初めて聴いたとき思い浮かべたのがRobin ThickeのBlurred Lines。あの手のジャム感ですよね。
でもさすがにその先が用意されている。
Usherはダンスをやってるから、当然楽曲にはダンスを想定してのダイナミズムが完備。ゆっくりと始まり、じわじわと熱を帯び、いくつかのファルセットで煽りながら、そこからの豊かな鍵盤が彩っていくBメロ、さらには大きく展開していくサビ、この2つがなんというかネオフィリー的な感触。音色といいスケールといい、そんな気がした。胸のすく美しい流れで、かっこいいし最高。
構成としてはMichael JacksonのButterfliesに近いものがあるような気がしましたが、どうでしょう。
次のシングルもパーカッシブで気持ちよかったし個人的にはこの路線大好きなんですが、チャートがね。Usherはチャートを頑張らないといけないから。
次のアルバム、どうなるかわからんけど、まずは自分のやりたいようにやってほしいね。僕はHere I Standがけっこう好きで、ああいうシンプルなトラックにのせて歌唱で魅せていくUsherを期待したいんだけど、そういう落ち着いた面を見せてしまうと、アーティストとしてのUsherのキャリアは厳しく難しくなるんだよな。
売れないとダメ、売れる曲じゃないとダメ。
そりゃ保守的になりますよ。そりゃLove In This ClubとかScreamとかになりますよ。
Yeah!ほどの衝撃をうむのはアレだろうけど、それでもYou Make Me WannaとかOMG、Climaxあたりでも十分に斬新ではあったから、なんとか先行シングルでこのクオリティは狙っていただいて。
がんばれよ。期待してるんだから。