#3 "染まる夢" aiko

傑作泡のような愛だったの2曲目。
明日の歌っていうぶっとんだ歌が冒頭にあって、ああいうaikoらしい直感と感性が溢れたメロディで心を鷲づかみされたあとの、次の曲。
高ぶっている気分を煽るかのような静寂、そこから聴こえるaiko印のブレス、低く始まりながらじわじわと歩む足は速くなっていって、待ち受けるサビはお祭り騒ぎのような和風の情緒。ちょっと東京事変ちっくな趣を個人的に感じた。
単純なアッパーではない。メロディの構成、バンドの力量で持っていく。なかなかにレベルが高い。
あり方としてはbe master of lifeを思い出すところもあるかもしれん。
まぁ、あれは本当に若さが漲っていて、当時aikoは26歳か、幸せを真っ向から受けながら、ためらいとか遠慮とか欠片もなく、全身全霊で人生の喜びを享受する、ほんとフレッシュな曲でしたね。
あれから13年もの月日が流れて、っていうか13年ってすげーな。
夢うつつ、絶妙なところをとろけながら彷徨う感じ、意識も朦朧とよくわからないところに漂わせて、強く抱いた想いを届けようと力を入れるも、夢の中だから最後の踏ん張りがきかないっていう、このなんとも言えないもどかしさを、爽やかでスリリングなバンドサウンドに乗せて届けてくれる。
わりと果敢な内容。ここ数年保守的な内容に終始していたaikoでしたが、あらためて芸を極めるべく踏み出してくれました。
こうでなくちゃね。
未だに世間では暢気なラブソングシンガーぐらいにしか思われてないだろうけど。
ぜひそれを上書きしてくれ。多彩で変幻自在なシンガーソングライター。
特にシンガーとしての評価が不当なまでに低いよな。歌詞はもう大丈夫なんで、彼女の歌唱に注目してほしい。
そう思います。