#6 "Sugar" Maroon 5

前々作Hands All Overの段階で悪い意味でポップすぎると評したと思うんですが、びっくりなことに前作Overexposedはそこからさらに輪をかけてポップだった。正直ショックでしたね。
言うまでもなく2つの間には、久しぶりにシングルチャートを制した名曲Moves Like Jaggerがあって、これで逸れることなく進んでくれると思いきや、あんなにわかりやすく売れ線へと流れていくんだから、もうダメだなと諦めかけまして。
意外とコンスタントに発表された5th。タイトルもVでわかりやすく手抜き。
ジャケもそのまんまでこれも手抜き。
でも、これまた意外なことに、内容はわりとソリッド。
大きな括りで言えば、やはりGet Lucky以降と言いたくなるような感じ。
ファーストにはこの手の曲はあった。ShiverとかNot Coming Homeとかに漂わせた一級品のファンクネス。セカンドのInfatuationもそうだね。
だから、まぁいきなりとか言うわけでもなく、レパートリーとして存在していて。
でもあんまりやらない。趣味じゃないのか、得意じゃないのか。
Maroon 5の前身となるKara's Flowerの作風はパワーポップで、彼らの本質的にはそこが理想形なのかな、まぁあれはあれで優れていたし、心地よいものがありましたが。
Adam Levineの声でパワーポップをやると、ちょっと浮つきすぎるような気がする。Soap Discoとか名曲だし好きだけど、なんというか若々しいよね、向こう見ずな感じの。それはそれでかまへんけど、もうあれは97年ですか、さすがにね、もうオッサンやから。
Overexposedに感じた痛さは、多少ここらへんと関係があるかもしれん。
何かあるたびにこれから先も定期的にこの芸風へと戻る素振りが出るかもしれんね。そのたびに落ち着いて、あるべき姿を思い出して、頑張ってください。
ファルセットのキレとかメロディの流れから言って、やっぱりアダムにはファンクをやってほしい。
このSugarもキレッキレの名曲。冒頭の飄々としたボーカルから、サビの肉感的な表現まで、これはPrinceですよ。爽やかで、それでいて艶があり、この人は素晴らしいシンガーだなとあらためて感じさせられました。
アルバムもこの手のプロダクションがたくさんあるんで、ぜひ聴いてみてほしいね。普通に1枚を通して聴きたくなるような、そういう出来になっています。
最近、そういうアルバムがめっきり減ったからね。
でもホント、彼らには自覚を持って頑張ってもらわなくては困る。
逃げずに、頂点を目指し続けてくれ。
超一流のバンドなんだから、妥協せず、甘えずに、正しく進んでくれたら。
うん、まぁ、めっさ個人的意見ですが。