No.2 Drake "Weston Road Flows"

Weston Roadというのはカナダの地名であり、当時の思いを今の視点で語っている構成。


サンプリングネタはMary J. Bligeの"Mary's Joint"。

こういうクールで粋なR&Bはまさにミッド90'sといったところか。サビが単調で冗長な印象を与えるが、そういうのも当時のありがちなことであった。


この曲を天才Noah "40" Shebibが分解して再構成し直したのが今回の"Weston Road Flows"になる。
D
ラップよりも歌の持ち味を活かしてのし上がってきたDrakeとしては初めてのストリートクラシックになりそう… と言いたいところなんだけど、KDがどうとか言ってて、地元レペゼン感はけっこう欠けている。
春先に出た曲ですけど、まさかKDがあんなことになるとはね...
っていうか未だにRaptorsに言及したことないんじゃないか?一応ヴィンスがどうとか言ってるけど、チーム名出しても良くない?何よりもの大問題でしょ。どうなの。


この曲が興味深いのが、先述したサンプリングのことでして。
まず元となるMary's Jointが所謂ヒップホップソウルというジャンルに該当する曲なんですね。ヒップホップソウルというのは90年代初頭にPuff Daddyが発案した音楽で、わかりやすく言うとヒップホップのトラックにソウルの歌を乗せるっていうまぁそのまんまなジャンルなんですけど。
今回のWeston Road Flowsはそのヒップホップソウルの曲をサンプリングしているということで、ヒップホップから産まれたソウルを再びヒップホップのトラックとして流用したという、そういう流れになる。
今まであんまり無かったパターンかもしれない。無くは無いだろうけど。
なんか回りくどいやり方ではるが、果たしてこの方法にいかなる意味があるのかも考えてみまして。
まぁ幼少の時代を語るのであれば、当時の雰囲気を出すためにも当時の曲をサンプリングするべきであろうという発想。確かにレミニスのBGMとしてはそういう気配りも大事。
でもそれだけじゃないと思う。思うに、ストリート感を演出するならやっぱりMary Jでしょ、っていう発想もあったんじゃないか。
多少の賛否はあるかもしれないがMary J. Bligeはソウル史を語る上で欠かせないシンガーである。彼女が始祖となったヒップホップソウルは長きにわたってソウルのトレンドとして繁栄して行き、たくさんのフォロワーを産み出して行ったからね。具体名を出すまでもないんだろうけどAaliyahとかBrandyとかMonicaとかFaith Evansとか、いやソロのみならずTLCとかDestiny's ChildとかもMJBの影響下にあるだろうし。
彼女の唯一無二な特徴としてそのストリートムードが挙げられる。ノドといいますかその緊張感すら湛えるような歌声のタフさ、ストイックさが彼女の逞しいアイデンティティとして輝いているよね。あのノドがあってこそあのトラックが活きるし、また逆にあのトラックだからこそあのノドが活きるっていうvice versa
今回のDrakeと40は、Mary Jの声とトラックを流用することで、曲そのものにタフでストイックなストリート感を与えようとしてたのかなぁと思ってます。考え過ぎかもしれないが、自然でリーズナブルなプロダクション理論だと思う。


しかし男ラッパーが女性シンガーのタフネスやストイシズムを借用するというのもね、情けない話だよな。虎の威を借る狐。
いやキツネなんて立派なもんじゃないよDrakeは。キツネのような立派な脳とか持ってなくて、ミーハーで媚び媚びな犬でしかない。
でも犬には犬の役割があるし、持ち味がある。それは認める。
頑張って歌い続けなよ。お前にはそれが一番。
『Views』もかなりの力作。ピーク時と比べたら少しアベレージが落ちてきてる感じもあるけど、シーンを代表し2016年を代表する一枚であることに間違いない。