Drake "Worst Behavior"

なんか、あんまり言いたくないというか、ちょっと恥ずかしい話なんですが、正直今のアメリカのヒップホップシーンにおいて僕が一番信頼しているのってDrakeだったりするんですよね。
メロディもトラックもいいし、Drake自身のラップもそんなに悪くない。
安定感があるし、音楽的に僕はこういう落ち着いたアトモスフェリック系が好きでね、まぁあんまりアンダーグラウンドが過ぎるとうぜぇなぁとなるんですけど、ぶっちゃけJ. Dillaとかそんなに好きじゃないとかありますが、まぁそれは置いといて、とりあえずDrakeええやんと最近けっこう思ってます。

さて、"Worst Behavior"という曲。
いいね、構成的に飽きさせないし、モロに歌っているわけじゃないけども、ラップもキャッチーで最高だね。
リリックのテーマはわりとよくある貧乏人から億万長者になってどうこう的なものですが、まぁヒップホップ的にはそうでもしないとやってられないというかネタがないのかもしれん。
この曲の一番のハイライトは多分3番の冒頭。ここはもうほぼそのまんま"Mo Money Mo Problems"から頂戴しているんですが、注目なのはBiggieではなくゲストのMaseのヴァースから引用しているんですね。
The Notorious B.I.G.はもう教科書みたいなもので、その現役時代に触れていない人でもごくごく自然にヴァースが口から出せるくらいのそういうラッパーなんですね。ラッパーたちはみな息を吐くようにBiggieのライムをいただくわけですが。
あえてDrakeはMaseから引用した。もちろんその理由はたくさんあるんでしょうが、Drakeの目指す先というか、意識している高みというか、潜在的に描いてる到達点みたいなのを少し感じて、面白く思いました。
ラッパー100人にアンケートをとって、将来的にBiggieレベルになりたいという人は過半数以上いそうですが、Maseみたいになりたいって思う人は1人もいないでしょうおそらく。
まぁでもあの当時のBad Boy Recordsの華というのは特別よ。完全にバブリーなものでしたが、ホント羽振りがよく、何をやっても絶好調、すべてが自分たちの思い通り、世界は自分たちを中心に廻っているみたいなあの景気の良さ、もうヒップホップというよりはロック的な世界ですが、そこをDrakeが目指すのはごくごくありえる話だね。

泡のような幻のようなあのゴージャスな日々が帰ってきたらちょっと嬉しいけど。
Drakeには目指せ「ラップの上手いPuff Daddy」だね。
『Nothing Was The Same』も充実の内容。今後も期待してます。
しかし、ほんとそうなってくるとあの糞みたいなファーストアルバムは何だったんでしょう。あれだけが異色だし、クオリティも落ちるし。あれは普通に黒歴史だろうね。