すれ違いざまにおー

B.o.Bも新世代ラッパーに含まれるのだろう。「歌ってラップするアーティスト」というくくりで、Kid CudiやDrakeたちと同じグループに入れられる。
ただ、じっくり考えると、3者のラップに対するアプローチ、ラップの扱い方は微妙に違うという結論に至った、みたいな記事を今から書きます。


CudiはタワレコとかHMVにてヒップホップの棚に置かれるんだけど、実際は何ともジャンル分けしにくい音楽をやっている。ラップと言うにはフローしてなく、歌と言うにはメロディレスな……呟きか。自分から好き好んで曖昧なところを突いているみたいで、なかなかのオリジナリティだ。一概にラッパーとは呼べないし、わざと呼ばせないよう頑張ってる節もある。オルタナティブな発想と独特な存在感で非常に好感が持てるね。

Drakeの場合、3種類の声を使っている。歌声、メロディの付いたフロー気味の声、そしてラップするときの声。その歌声とラップ声が全然違う発声方法でもって発せられてるんだけど、この時点で彼のヒップホップに対する想いの薄さみたいなのを感じてしまう。歌&ラップを一人でやっていることが一番で、ラップも歌も単なる道具のひとつとしてしか捉えてない、みたいな印象もある。
別にディスるつもりはない。Drakeのメロディは好きだし、良い曲を作っていると思う。ただ、彼からはヒップホップに対する想い、ヒップホップ魂みたいなものをほとんど感じなかったという、それだけです。

で、B.o.B。彼もラップの途中でいきなり歌い出したり、最初から最後まで丸々歌ったりするようなタイプのラッパーなんだけど、Drakeと決定的に違うのが、歌声の出し方だ。ラップの時の声と近い発声で歌っている、というのが何だか嬉しかった。
単に歌がヘタなだけかもしれない。でも、僕はそれでも構わない。なぜなら、B.o.Bの歌にはヒップホップを感じたからだ。
僕個人の意見として、ヒップホップというのは何かしら自発的な、spontaneouslyなものであって、心の中にあった思いが自然と表出する感じであってほしい、なんて思うわけです。
B.o.Bの歌は、なんかもう口が勝手に歌い出すというか、気持ちを吐き出していく中で自然とそうなったというか、ベストの表現方法を身体が無意識に反応して見つけ出したみたいな、そんな印象を僕に与えてきた。それが、まさに僕のヒップホップ観にハマって、とっても嬉しかった。



まあ、あんまり深く考えずにB.o.Bのデビューアルバム『The Adventures Of Bobby Ray』を聴いてみてください。フレッシュな音楽が楽しめますよ。
国内盤は来月末になりますが、例によってボーナストラックが入るみたい。待つ価値は充分にあるかと。もちろん、待ちきれない人は今すぐ輸入盤を購入してくれ。その価値も充分にあるかと。
熱くて、豪快で、前向き。ヒップホップでこういうのを最近あんまり聴かないから、とても素敵だ。サンキュー、Bobby!