#8 "距離" aiko

インタビューでおっしゃってましたが、前作所収の名曲くちびる路線ということで。
くちびるはもっとブラックミュージック寄りの作風だったと思いますが、この距離という曲はAORに近い印象を受けました。
6月4日の記事にも書いたけど、キリンジ/冨田恵一マナーというか、その文脈の流れで間違いないかと。
当人同士の絡みもあったし、来年40の大台に乗るaikoが進むべき道として理想的なあり方だと思う。
なんとなくAORって僕の中では、オシャレだけどそっけないというか、薄味というイメージがあるんだけど。
この曲においては、文字通り距離感の難しさを捉えて行く内容の歌詞でありながら、歌唱には人懐っこい親しみやすさが込もっていて、いつものように懐に飛び込みやすいaikoらしさが炸裂しています。
AメロBメロでは少し余韻を残すような歌い方。
サビのメロディラインはどこか歌謡曲調で、日本人らしいワビサビの味も出しつつ、aikoのファルセットの心地良さでグッと心を鷲掴みにされる。
どうせいつものように歌詞だけ注目されて終わりっていうパターンなんでしょうけど、aikoのソングライティングの巧みさは評価されてしかるべきで、複雑なメロディ展開のみならず、構成の妙も感じて欲しいね。
ってオレがどうこう言うことでもないんだけどさ。