aiko『湿った夏の始まり』

最近、更新多いですね。いいことです。
2年振りの新譜。ペースは上々ですが、あんまり無理しないで欲しい気もする。今年の11月で43歳ですもの。由伸・上原世代ですからね。もう現役も松井稼頭央とか福浦ぐらいしかいないでしょ。スピッツばりに3年に1枚ペースで問題ないと思うんだけど、そうはポニーキャニオンがさせてくれないわな。当たり前だ。
今作を聴いて、まぁ実はまだ途中なんだけど、一番に抱いた感想は「演奏隊かっけえええぇぇぇ」でした。とりあえず難しそうなプレイが鮮やかでカッコいい。今回はやたら後ろが耳に残る。大人だなぁと思う。
その一方で主役はというと、ちょっとパワーレスだな。なんというか、ちょっとメロディが足らない。もうちょっと気の利いたメロディが存在していればいいんだけど、もうひと押ししてくれるような優しいメロディが見当たらない。
2年振りのアルバムとはいえ、前作が出てすぐ数ヶ月後にシングルを出してるし、その後もちょくちょくシングル出しながらの今作だから、休みはないのよね。やっぱりある程度チャージしないと、いくらaikoでもカツカツになってしまうと思うよ。
人気アーティストゆえのタイアップ願いが尽きないのは難しいところなんだけど、とりあえず今作のを聴いた限りでは、けっこういい加減。そう、それでいい。タイアップなんかで都合良く消費されるぐらいなら、いっそのことお蔵入り級の楽曲を片手間に提出すればいい。どうせロクに真っ正面からは聴いてもらえないんだから。お前らが欲しかったのはaikoの曲ではなく、aikoの声だろっていう。
これを上手くやっているのが桜井さん。一番やりたいことはアルバム曲までとっておいて、タイアップはもうテンプレのベタベタなものを捧げると。たまに気に入ったものにはそれなりの本気を届ければいいし。
しかし、もしかしたら、手を抜いてないで本気モードでこの程度説も否めないんだよなぁ。
まさかね。
まぁアルバム全体は凡庸です、個人的には。そのかわり作風としては目新しい部分もある。今回はそういうレッスンだったということにして、別に演奏隊が頑張ると悪いわけでは全然なく、むしろ頑張ったら面白そうな気がするので、次こそは素敵なメロディをたくさん携えて、またこんな感じの作風で一発かましてほしいなぁなんて思ってます。
ここでまた幅を広げたことは、今後に繋がるはず。
もうあの安っすいギターサウンドに戻ることなく。
華麗に可憐にお願いします。



(追記 2018.6.7)
あの後2周ぐらい聴き込みましたが、最初に抱いた感想からそんなにズレはなかった。
もちろん全否定するわけじゃなくて、冒頭の"格好いいな"の切な苦しいムードはかつての名曲"飛行機"を思い出させるし、"愛は勝手"のシックでゴージャスなバンドプレイは全盛期キリンジと遜色ないレベルの凄まじさがある。この2曲はめっちゃアウトスタンディング。