No.11 スピッツ "子グマ!子グマ!"

活動が長くなれば当然目新しさとか気軽に得られるものではなくなっていくんですけど。
まもなく活動30周年を迎えようとしているスピッツが、こうしてまた新たにクラシックを世に送り出しているんだから、大したものである。
亀田誠治大先生のおかげか、尋常じゃなくフレッシュな一枚となった15th。一聴して驚かされるその瑞々しさというか、若々しさ。押し出されたダイナミズムは決して若作りの気配など微塵も感じさせず、むしろエネルギッシュで逞しくもある。
まるでデビュー間もなくハングリーな若手バンドのよう。のし上がって行く気概を見せているかのごとく。
むしろ最近のバンドのサウンドっていうともっと悟っているというか、斜に構えているところがあるよね。ハードボイルドと言えば聞こえはいいけど、実際はもっと後ろ向きな視線でしかなく、汗かいて本気出すまでもなく何とかなるでしょ的な、諦観。
スピッツも決して汗臭さや泥臭さはないけれどね。じゃあ何なんだよっていう。ごめんあんまり話まとまっていない。


"子グマ!子グマ!"。
まぁとにかくタイトルの字面の凄さというか、末恐ろしさが目立ちますけど。
実際はダイナミックなグルーヴと、スピッツらしい爽快さと切なさを同時に並び立たせるような、新たなる偉大な名曲。タイトな演奏も相変わらず最高だし、多面的に感情が4分弱の間に滲み出ていて、一筋縄では行かない。
わかっちゃいるけど、鬼才マサムネ。とんでもない怪物。
そして、とんでもない一曲。
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