P3D・P4D・P5Dトロコン感想文 (長い)

こんなに早くトロフィーをコンプリートしてしまいました。
完走した感想を書いて行きますので、ネタバレありです。
3作分なので、当然長い。
🌙 Persona 3 Dancing Moon Night
先日も書きましたが、やっぱり再会の喜びよ。久しぶりにみんなに会えたこと、久しぶりにみんなと同じ空気を吸っておしゃべりできたこと。これに勝るものはない。
テキスト自体はわりと保守的で、あんまりイチャついたりする流れはなかった。どっちかというと感謝寄りというか、みんなをまとめてくれてありがとうとか面倒みてくれてありがとう的な組織トークに終始する感じ。まぁこれは招集された時期が最終決戦前というタイミングも影響しているのだろう。ラスボスに挑む前の心境としてラブラブを挿し込むのは無理があるということか。いやぁどうですかね。世間一般のキタロー・番長・ジョーカーたちは一切の遠慮なくいつなんどきでも異性との交流をかましてそうですけど。せっかくいい感じにキャラのモデリングをしていただいたのに愛し合えないなんてという不満はありますが、それでも頬を赤らめて「いつもありがとね、リーダー」と言われるのは悪くない。文章にすると相当キモいが、プレイ体験としてはいい感じ。
世の評判でよくP3メンバーは仲が悪いと揶揄されるのですが、それを意識してか、なんかやたら和やかなコミュが多数用意されている。まぁ僕は別にギスギスしてるとは思ってなかったけどね、別にドライっていうほどでもないし、まぁあんなもんだろうと。P5だってP3なみの距離感じゃん付かず離れずの。P4が仲良すぎるというか、まぁそれがP4の特長であり別の持ち味なんだろうけど。
ゲームの中心となる音ゲー部分も満足度は高い。何と言ってもP3は音楽がいいからね。オリジナルのP3サントラがゲームのOSTにして驚異的な売り上げを叩き出したっていう話がありますが、ペルソナシリーズのブランド化の一翼を担ったのはこの独創的で芸術的な音楽なのである。
僕の好きな"Changing Seasons"とか"Joy"とか今作には収録されませんで残念でしたが、P3曲の選手層の厚さを表してますよね。


いくつか今作収録の良曲を挙げて行きましょう。

When The Moon's Reaching Out Stars (Hideki Naganuma Remix)
原曲の方はもっとクールでスペイシーなオシャレポップスだったんですよね、キタロー寄りのプロダクションだったのですが、このリミックスは情熱的でエネルギッシュなアッパーに仕上がっていて、もうゆかりっちのイメージにぴったり合う素晴らしいリミックスになっている。基本を忠実に抑えたクラブサウンドはゆかりの強気にバッチリはまっているし、どこか切なさも残したアレンジはゆかりの複雑な繊細さも表しているみたいで、これはリミックスとしてレベルが高い。ゆかりのダンスも攻めまくっててかっこ良かった。


深層心理 (Lotus Juice Remix) & Deep Breath Deep Breath (Yuu Miyake Remix)
前者は地味なBGMなはずだったのに、ラップが入るだけで急に一流のアグレッシブなヒップホップに生まれ変わるから素晴らしい。Lotus兄貴のクールなヴァースも依然好調で、普通にクラブで流せるレベルやんけ。後者は緊張感を漂わす中ボス曲だったのに、もう豪快に解体してテクノ寄りに再構成してて、これもいい。どっちも音楽として最高なんだけど、どっちも順平が踊るんだよね。彼の踊りもキレがあって2曲とも合ってるんだけど、ちょっと格好良すぎるよな。あまりにも音楽がキレキレなので、順平のイメージからは違うかと。決戦前なので思考もすっかり大人のできたもので、その上モデリングのおかげでなんかイケメンにすら思わせている今作の伊織順平ではありますが、こういうアッパーでスマートな楽曲は合ってるのか、ちょっと僕にはわかりません。まぁ、かといって真田先輩とかキタローにこの曲が合うのかと言われるとそれも微妙なんだよね。じゃあいいのか。なんやそれ。

A Way Of Life (ATLUS Kitajoh Remix)
元々の曲が完成度が高すぎた分あんまりいじる部分もなくて、全体的にはちょっとBPMが上がってドラムが立ってるくらい。スムースなカフェR&Bからアーバンなクラブミックスへと。でも中盤のブレイク、特にエレピのアドリブが最高に心地良くて、やっぱりこの曲は最高だ。どうしたってハム子のテーマというイメージから脱することができませんけど、アイギスのダンスも天真爛漫さが溢れてて素敵。

Time (ATLUS Kitajoh Remix)
やっぱり今作のナンバーワン傑作は間違いなくコレですね。原曲は鍵盤が素敵で儚さも感じさせるミドルポップスだったんですが、今回のリミックスは少々ハウス風味を加えてて、原曲の爽やかさは残したままで、よりアッパーでダンサブルな曲へと変身させることに成功している。僕の好きなMy Little Loverの"Crazy Love"っていう曲を思い出しました。終盤に小粋なジャズブレイクを挟んでからの一気の転調も心地良いし、この曲は本当に最高。そして、ダンサーの風花よ。今作のMVPは間違いなく山岸風花。可愛すぎる。完璧なモデリング。そしてダンスも可憐でお見事。P3の女性キャラの世間での人気で言えば美鶴先輩とアイギスがワンツー、3位には伏見千尋が入って、ドベは西脇結子、ブービーはゆかりで、あとはテキトーっていう感じ。あーハム子忘れてたわ、トップはハム子であとは繰り下げてね。風花は非常に地味で存在感がなかったんですが、今回のP3Dのおかげで見直されたというか、一気に浮上したんじゃないの。本当に可愛くできてます。仕草や振る舞いもキュート。あの声のおかげで一部からあざといと言われることもあるみたいですが、キャラの棲み分け的にはしょうがないんじゃないの。ゆかりがビッチキャラで、美鶴先輩が気高いキャラ、アイギスが一途なロボキャラ、伏見千尋がドジっ子キャラ、西脇がナイーブガングロキャラ、鳥海先生が気怠いキャラ、岩崎理緒が体育会系キャラ、長谷川沙織が病弱で妖艶なレズキャラ、舞子ちゃんが幼女キャラという中で、あと何が残ってるというと、ちょっとあざといけど、控え目でおっとりしたキャラしかないと思いますね。はい。


Persona 4 Dancing All Night
ストーリーモード長すぎぃ。セリフ送りでプレイしてたらあまりにもまったり進行なので途中わが部屋に掃除機かけたりとかしちゃいました。洗濯とか皿洗いとかの家事と並行してプレイできるのはある意味長所か?ちょっとダレてた。はよ踊らせろよと。まぁこの反省がP3D・P5Dに活きた形なのだろう。
実は楽曲的に印象に残った曲は少ない。P4はP3なみに充実したBGMを誇るのですが、完成度が高いというか世界観が確立された楽曲が多く、そこからリミックスするとなるとやっぱり難易度が高いということなんだろう。あんまりいじりようがなかったのかもしれない。一部の楽曲は有名人にお願いしてリミックスしてもらっているが、残念ながら小室哲哉大沢伸一も凡庸な仕事に終始している。別に期待してたわけではないが、これには大きく失望した。プロフェッショナルとは何かという根本的なところで彼らは本当に勘違いをしている。彼らに言いたいのは一言「こういうところやぞ」。

浅倉大介が手がけた"Your Affection"リミックスは及第点か。あの曲自体元々クラブ向きだったし、印象がいいのは真下かなみんのダンスが溌剌としてて良かったこともあるかもしれない。かなみも名キャラクターだった。りせとはまたちょっと違ったプロ意識の高さというか、夢を意志する強さが凛々しくて素敵な女の子でした。

テイトウワの"Heartbeat, Heartbreak"のリミックスもスムースで良かったね。これも楽曲や演者の条件が良かったおかげかもしれんが、ああいうドリーミーな側面を持って来てくれたのはナイスでした。

リミックスで言えば"Now I Know (Yuu Miyake Remix)"は秀逸だったね。原曲はP4Uのストーリーモードで流れるバラードで、ちょっとトロ過ぎる感もあったんですね。YouTubeでもコメントで「速度1.25倍で聴くとさらに名曲だよ」と書いてあって、初めてYouTubeの速度ボタンが役に立った瞬間なんですが、それを踏まえたのかどうかわかりませんけど今回のリミックスは本当に完璧で、原曲の持っていたポテンシャルを引き出すことに成功している。アグレッシブなミックスでありながら繊細なメロディラインは全盛期のKeyshia Coleを思い出させるような、一流のR&B。りせの鬼気迫るパフォーマンスも素敵で、特に同性から支持されそうな存在感を出してます。
今作は各々メンバーのダンスが魅力的で、やっぱり初作ということもあって気合いが入っている。先述のりせやかなみんはもちろんのこと、雪子が印象深かったね。目線が強くて、しなやかで艶があって、素晴らしい。いい女バリバリでしたよ。あと陽介もね。ブレイクダンスがハマってて格好良かった。立ち絵は不細工ですが、実際のところ各作品の主人公たちに負けないくらいの超人ですよ陽介は。
まぁこのP4D一番のいいところは、自称特別捜査隊のやりとりが見られるところ。これに尽きる。クリア特典となる前日談の楽しさたるや。立ち絵とセリフだけでやりとりしていく展開はRPGではなくてノベルゲーに近いところなんですが、メンバーみんなの軽妙な掛け合いというか、心地良い距離感とお互いへの愛と優しさが本当に気持ちよくて、こういうにぎやかな青春っぷりがP4の愛されるところなんだよなとあらためて思いました。みんな無邪気で可愛いんだよな。一番好きなキャラは完二。彼は性格が良すぎる。カップリングトークはアレですが、完二-りせがお似合いだと思うんだよなぁ。


⭐Persona 5 Dancing Star Night
まず思ったのが、やっぱ楽曲しょべぇなぁって。弱過ぎる。本編プレイ中にも思ったけど、バックグラウンドミュージックとしては及第点なのかもしれないが、単品で音楽として成り立つかというと無理がある。そこがP3P4との大きな差であり、P5の音楽的な物足りなさ、そしてP5D全体の物足りなさに繋がっている。
カネシロパレスのテーマ"Price"とか最高だけど、まぁBGMでしかないよ。単体で示せる強さはないと思う。

"Life Goes On"もそう。いい曲なんだけどね。この曲はP5発売前の特番の前に流れてて、個人的にはあの時のわくわくが蘇ってくるから好きですけど、ダンシング用の曲ではない。

フタバパレスのトラック"母のいた日々"はP5屈指の名曲のわりにあんまり世間では取り上げてもらえなかった不遇の名曲なんですが、こうして採用してもらえてよかった。リミックス自体はわりと凡庸ですけど。

ダンス向きかは置いておいて、楽曲の強さで言えば"Butterfly Kiss"と"Layer Cake"ですよ。ここら辺を選んでもらいたかった。妙先生や岩井のおじさんにもダンスしてもらってさ。


唯一評価できる曲が以下のヤツ。

Tokyo Daylight (ATLUS Kozuka Remix)
これは相対的にではなく、絶対的に素晴らしかった。このリミックスは神。原曲は東京のせわしなさとアーバンな街並を素敵に表現した名曲で、個人的にはRIP SLYMEのアレと並ぶアナザー東京クラシックとして高く評価していたのですが、今作でのリミックスがこれまた素晴らしかった!!! 元の曲から一変してレイドバックしたスムースで爽やかな作風は、まさにウェッサイ全開。オープンカーで海を眺めながら風が涼しくて心地良い、もはや東京というよりはカリフォルニア的な、そんな逸品になっています。Snoopのラップが挿し込まれてても違和感ないぐらいにウェッサイ。P5DのPVでは竜司がこの曲で踊ってて、まぁ何となく似合っていたのですが、実際の作中ではモナが踊ってて、ちょっと残念だった。モナが嫌いとかじゃなくて、普通の人に踊ってもらって、この曲の良さも真っ直ぐ伝わるようにしてほしかったのよね。うん。
あと思ったのが、そのPVに対してYouTubeやらニコニコ動画やらでコメント付いてるんですけど、それを見てみると、日本人は誰も音楽について触れてなくて映像の方ばっかり言及してるのよ。それで同じ動画に外国人が英語でコメントしてるんだけど、その人たちはこのリミックスはヘブンリーだっていう反応を示してるのね。これは神曲だ的なコメントが大半っていう。まぁ人の好みは人それぞれでそれについてとやかく言うのはアレですけど、日本人のゲーマーたちは音楽をちゃんと愛せていないというか、程度が低いのよね。"Life Will Change"とか"Rivers In The Desert"みたいな安直なロック寄りの曲しか理解できないというか、そういうのじゃないと安心しないんだろうな。ちょっとでもオシャレが入ってくると拒否反応を示すというか、下手したら無視するしかないみたいなアティテュードで。ダメだね。両立できんもんかね。
とまぁディスりまくってますが、P5Dのよかったところはひとつ。めっちゃギャルゲーだったところ。
P3DとP4Dは爽やかにまとめてましたが、こいつだけちょっとテキストの毛色が違った。
本人を目の前にして「(怪盗団の中で)一番可愛いのは杏」と堂々宣言して本人を赤面させたり、本人を目の前にして「(姉の冴さんよりも)妹の方がタイプ」と堂々宣言して本人を赤面させたり、本人を目の前にして「(真は将来)いいお嫁さんになる」と堂々宣言して本人を赤面させたりして、もうこれは屋根ゴミにもほどがある。話が進んでくると今度は女性陣のデレデレがさらに深刻化し、杏は「(私が進む)方角は間違ってないってわかった気がする。それに間違えても、私には軌道修正してくれる人がいるし… ね?これからもよろしくね」とか言い始めるし、双葉なんかは「オマエは、わたし専用のナビだからな?」とか言い出す始末。春ちゃん先輩に至ってはもっと激しくて、ダンス中から「ごめん… 見とれちゃって」「やっぱりあなたは特別なんだね」「どうしてだろう… すごく安心する」「もう心を盗まれちゃった♡」とかグイグイ口説いてくるし、コミュラストも春・杏・ジョーカーの3人でおしゃべりしてる中で「(好きな人の名前を)言葉にしちゃったらダメなの。せっかくダンスで語る機会なんだから」っていうセリフのあと「ちゃんと伝わるように踊るのが、ここでの目標かな」っていうセリフを、めっちゃこちらを見つめながら目を合わせて囁いてくださる春ちゃん先輩。いやぁ最高ですね。本編でもアグレッシブに来てましたけど、いくら夢の中だからと言って大胆すぎます。実は春推しのわたくしにとってみればありがたいことこの上ないんですが、ありがたさよりも先に浮かぶのが「屋根ゴミ」の4文字。現実では9股、夢の世界でも4股というショータイムっぷり。うらやまけしからんですわ、マジで。
まぁそういった面を抜きにしてもテキストの充実は見事でしたね。竜司の温かさが随所に垣間見えたりしたのもほっこりしたし、双葉のいじらしさも素敵だった。祐介の情に厚くて義理堅いところが強調されなかったのは残念だったけど、変態クオリティは出てたのでセーフ。
やっぱり本編で人間の掘り下げが進んでいると、こういった日常会話の描写もグッと深みを増すというか、表現の自由度が広がるからいいんだろうな。P5Dは近年の和ゲーの中でも屈指のテキスト力がありました。
いつも言ってますけど、JRPGは大前提としてテキストで魅せて行かなくてはならない。もっとセリフ回しを大切に構成して行きましょう。
お願いします。