No.23 『Only Built 4 Quban Linx 2』Raekwon

一言で言えば、引き込まれなかった。なんか魅力がない。

Wu-Tang世代ではない僕でも『Only Built 4 Quban Linx』(以下OB4QL)は凄まじいと思うし、今聴いても通用するディープな内容の名盤だったと思います。それの続編なわけです。続編なんですけど。
トラックが違う。OB4QLにふさわしくない。不穏でスモーキーなのを期待してたのに、そういうのは一切なかった。RZA曲が少ないせい?
まぁ、時代が違うからしょうがないと諦めようか。昔っぽいのばっかり求める回顧厨はこれだから困る?じゃあ百歩譲って雰囲気違うトラック選んでもいいよ。
でもさ、選んだトラックがRaekwon本人に合ってなかったら、駄目じゃないか。
スタジアム系の"Canal Streets"とか、調子外れた感じがエグい"Surgical Gloves"とかRaeに合わないし、"Mean Streets"なんて騒がしいだけじゃん。Dre曲も無難すぎたし。
良かったのは、まさかのElton John"Goodbye Yellow Brick Road"ネタ(昔タッキーと優香がやってた裁判ドラマの主題歌だったな)の感動系"Kiss The Ring"と、Pete Rock製のダークで立体的な音色が見事な"Sonny's Missing"ぐらいかな。
めんどくさいDilla信者は"House Of Flying Daggers"は良かったし、とか言いそうだな。確かに冒頭のDeckの斬り込みはカッコいいしRaeの出だしのアカペラも熱いけど、なんかラフすぎるし、OB4QLっぽくない。曲としては悪くないけど、トラックやDeckのパフォーマンスがGFK"Daytona 500"風な感じがして、Raekwonの曲にはふさわしくないような。
あとはなんだ。Marley Marl先生による渋い小品"Pyrex Vision"、Erick Sermonらしいファンキーな"Baggin' Crack"ぐらいか。

5曲も聴ける曲あればいいじゃんって?ふざけんな、22曲中たった5曲だけとか有り得んし。川島慶三なみの低打率やんけ。
しかも、このアルバムを『OB4QL2』と名付けたんでしょ?その責任は重いですよ。

Mobb Deepが抱えてる問題と一緒なんだよね。どうしても昔のザラザラした感じを求められがちになる。時代が許さないような曲調をファンは欲しがってしまう。
どうしましょ。