Robin Thicke ft. Pharrell & T.I. "Blurred Lines"

2013年を代表する大ヒット曲にして、Robinにとってキャリアのターニングポイントになるような、さらにはPharrellやT.Iにとっても将来的に非常に意義深い、そういう存在の曲になりました。
軽やかで、かつ良い意味でいい加減なプレイヤー感がRobinの割と真面目に響くタイプのボーカルに合う。ビジュアル的にもフィットしているし、3人が遊ぶPVも完成度が高い。
サウンド的にはやはりMarvin Gayeの"Got To Give It Up"に言及しなくてはいけませんね。避けて通れないというところですが。
でも、どうですかね。似てますけど、似てるだけやし、そんな今更大した問題じゃないのかなぁなんて思いますけどね。
Robinは元々こういう曲をレパートリーに持っていましたから。"Meiple"や"Everything I Can't Have"あたりを聴けば、別にいきなりMarvinをパクったとかいう訳じゃなく元々そういう曲をやっていてそういうのが得意だったっつーのがわかると思います。
あるいはヒップホップ的な発想でいえば、"When I Get You Alone"と同じく、大ネタ使いみたいなモンだと言えるのかもしれんしね。
いずれにしろ、キャリアを変えるような、そんな大ヒット曲になりました。
ブレイク曲"Lost Without U"以降もそこそこ順調だったけど前作『Love After War』はぶっちゃけ微妙で停滞感があったんだよね。そこから起死回生ですよ。ほんと文字通り起死回生。いやぁマジで何があるかわからんね、人生って。

Pharrell的には今年2013年をどう思っているのか、それがすごく興味深いですね。思惑通りの大ヒットなのか、それともまさかこんなに爆発的なものになるとは思わなかったのか。
当然ヒット曲が出て嬉しいでしょうし、また新たにやりがいを感じているでしょうけど。
あんまり心配はしていませんが、下手に"Get Lucky"や"Blurred Lines"に縛られないようにしてほしいですね。まぁ別にヒット曲が出るのは初めてじゃないんで今更浮足立ったりはしないでしょうが。
来年のソロアルバムにも期待大。

しばらくフリーエージェントでいたT.I.でしたが、めでたくColumbiaとのディールをゲット。もちろん『Trouble Man: Heavy Is The Head』も傑作でしたし、彼の実力を買っての契約なのは間違いないんですが、それでもこの"Blurred Lines"での鮮烈な貢献あってのディールだというのも間違いないことだと思います。
ホントT.I.の客演仕事はレベルが高い。特にR&Bにおいて、およそラップが入るには難しめなタイプの曲でも、問題なく華麗にかつ強烈にかましてくれるんだから、業界的にも非常に助かるというか有り難い存在だと思われます。Justin Timberlakeの"My Love"とかR. Kellyの"I'm A Flirt (Remix)"あたりは今あらためて聴いてみても凄いなぁって思います。こんなトラックなのにこんな完璧に乗せてくるんかよっていう。
この"Blurred Lines"だってラップしにくい曲だったと思うんですよ。それでもこのパーフェクトな出来。もしT.I.がいなかったら、全米1位どころかトップ20にも入らず終わったでしょうね。それくらい確かなインパクトを残しています。

最後にもう一度Robinについて。
シングルがあまりにも大きく当たって、そうなってくると逆にアルバムの方が心配になるんですよね。本当に集中して作れたのかと。
で、実際リリースされた同名のアルバムが若干物足りなくてね、それがめちゃくちゃもったいない。
もしここで『Something Else』や『Sex Therapy』級のアルバムが用意できたなら、もうひとつ上のステージへと挑戦できたのでしょうが。叶わず。
しゃーないっすね。
問題は次よ。次の一歩。
Outkastみたいに手堅い一手が打ててもその後が続かなければ意味がないしね。
もう一回ソウルミュージックに戻るのが妥当かな。
まぁ期待してるぜ。頑張ってね。