ゲームデザインからP5Sを褒め称えよう!!!の巻

ネタバレあると思うので要注意。




まず軽く歴史を振り返ってみます。
現在のペルソナシリーズの戦闘システムとして採用されているのはワンモアプレスバトルというもので、いかに相手の弱点を突くか、弱点を突くことができれば攻撃回数が増えたり、総攻撃と呼ばれる全体攻撃へとつなげることができたりと、上手く展開することで爽快なバトルを繰り広げることができるという、そういうシステムが採用されている。
元々は2003年にリリースされた名作『真・女神転生III』におけるプレスターンバトルが初出。アメフトのような攻守がはっきりと別れた戦闘において、相手の弱点を的確に突くことができれば攻撃権の回数を増やせる一方、相手が攻撃を回避したり吸収したり反射した場合にはターンオーバーみたいな形で残りの攻撃権の有無に関わらず攻守が入れ替わるという、そういうシステム。攻守が入れ替われば、相手も決められた回数の攻撃をすることが可能で、その間プレイヤー側はひたすら攻撃を受けるしかないという、そんな感じのシステム。一方的に攻撃できるけど、一方的に攻撃されもするというその緊張感が絶賛され、史上最高のターン制バトルシステムと評する人もいるぐらいであった。
真3以降のアトラス作品はほぼほぼこのバトルシステムを採用しています。真4、真4F、ストレンジジャーニー、アバチュ1と2、ライドウ2、そしてペルソナ345。
しかしペルソナシリーズにおいて問題になっていたのは、このワンモアプレスバトル、まぁ雑魚戦は楽しめるんですね雑魚敵はほぼ全員弱点を何かしら持っているので楽しい戦闘ができるのですが、ボス戦がね。ボス敵は弱点を持ってない場合が大半で、ワンモアをつけない。そうなるとペルソナの通常戦闘らしい爽快感とか勢いのある戦闘にはならず、ボス戦だけは地道にゴリ押すしかない、地味で堅実な戦闘に陥りがちなんです。これはペルソナ3以降のボス戦の大いなる欠点であった。バフデバフ以外にボス戦で戦略がないのは、なんとも地味である。ドラクエ的というか。
まぁ一応ボス戦の途中で微妙にギミックを入れてある場合も稀にあって、P3とかP5とか一応戦闘中に展開を広げる設計もあることはあったんですが、さすがに戦闘の楽しみを爆上げするような代物ではないからね。P5Rはさらに趣向を凝らしてあったりしたんだけど、だからといってボス戦クッソ楽しいぃぃ!!!とまではならん。


今回P5Sはボスにも弱点がありました。これだけで全然違う。相手が大技をカマそうとしたタイミングを見てすかさず弱点属性を突いてその攻撃が発動される前に中断させたり、あるいはもうひたすら弱点魔法でハメ殺しにしたりとか、そういう戦略の幅が出てくるし、単純に各ボス毎に編成を変える必要が出てくるよね、このボス戦はアイツを軸に戦うとか、今回のボスはあいつは属性相性的に苦しいからベンチに回そうとか、そういう広がりが生まれるのよ。
初見では相手キャラの情報がないので難しいかもしれないが、一応P5Sはボスに至るまでの道中で戦う雑魚敵の耐性がボスの持つ耐性と近い設定になっているっていうのがあるので、それを考えれば大丈夫。あとシナリオの中心となる人物がボス戦で主役になれるように耐性が組まれているので、問題ないかなと。
あとダウンゲージっていう発想も良かった。中ボス、あるいはボス戦において、弱点をつけば即総攻撃可能というわけではなく、ダウンゲージなるものがあってこのゲージを削り切ってようやく総攻撃を撃てるようになるという。弱点をついたりクリティカルをついたりテクニカルをついたりすればゲージが減っていくんですけど、やはりダメージ量が大きい総攻撃はボス撃退の軸になるものなので、それを狙うべく巧みに戦闘を進めてダウンゲージを減らさなくてはいけない。そこらへんの戦略性はP5Sならでは。
単純にコマンド式RPGアクションRPGになった分の面白さもありつつ、それに付随してプレスターンバトル的な戦闘の駆け引きも盛り込まれているので、ボス戦は楽しかったですね。
ボス戦に限らず、雑魚戦も含めて、戦闘は終始気の抜けない設計になっていました。
いやぁ最初はドラクエヒーローズ的な大味なバランスなんだろうとか勝手に想像してて油断してたんですが、今作は実際けっこうシビア。普通に死角から相手が攻撃してくるし、その攻撃で弱点を突かれようものなら軽く一発で昇天する可能性も普通にある。
まぁ真3のように全滅に次ぐ全滅とかはなかったけど、やたら死んだし、やたら死にかけた。毎回死にかけにされたジョーカー御一行が慌てて戦闘中にずんだ餅とかサーターアンダギーとかのご当地お土産を口に含んで死を免れたり、魔法に頼りすぎてすぐにSPを枯渇させてしまうジョーカー御一行が慌てて戦闘中にルブランカレーとか大阪寿司とかかにすきとかを口に含んで気力を取り戻したりとか、そういうシュールさもオツでした。
元々の題材であるペルソナ5、特に怪盗っていうキャラづけがアクションRPGにぴったりだったというのもあるんだろうけど、もう個人的にはこれから先のナンバリングも全部こんな感じのアクションRPGでええんちゃうかと思うくらい、一作目にして至高の完成度を感じました。


ただ惜しむらくは、通常攻撃に爽快感がなかったのよね。相手に物理攻撃を加えても手応えもやったった感も出ない。感触がない。
本編であるP5の通常物理攻撃って心地良いのよね爽快な効果音とともに相手を攻撃してる実感がすごくある。
P5Sの攻撃は、なんか薄い。手応えがないのはつまらん。
あとダメージ量もなんか少ないのよね。終盤でも一発で50とか40ぐらいしか出なくて、コンボを重ねてようやく一定の数字になるっていう設計。
コンボ前提なんだろうけど、やっぱり爽快さを出すなら単純にダメージ量を上げると同時に相手のHPも爆上げすればいい。必要な攻撃回数はそのまま据え置きになるように、HPとダメージを両方上げれば解決する。
昔やってた『なるとも』っていうテレビ番組でクイズ対決をやってて、対決の途中で盛り上がりを必要と感じた司会の陣内智則がいきなり全チームに4000点贈呈っていう措置をとったんです。4000点だったか400点だったかは忘れましたが。もちろん、対決の行方、勝敗の行方に何ひとつ影響を及ぼすことはない。でも、単純に点数がデカイ方が見栄えがいいというか、派手になるじゃんね。あれは素晴らしい決断だった。笑えたしね。
こういう発想があっても良かったんじゃないかって思ってる。まぁあれやね、プレイヤー側のHPとの兼ね合いでそうそうダメージの値はインフレさせられないっていうところだったんだろうな。はい。
まぁそれだったら仕方ないので、せめて物理攻撃時のダメージ音はきっちりつけて欲しかった。P5本編の時のようなビシッとしたSEがあったらと思いましたね。
次回までの課題としておきましょう。


ということで他にも書くべきことがあったかもしれないが、とりあえずは疲れたのでここらで止めます。
以上です。