DH制の是非

原監督が提言して以降何かと話し合われている「セリーグにDH制導入すべきが否か」。


まず僕の意見から書きますけど
「個人的にはDH制ない方が好きだけど、選手のレベルアップ、リーグのレベルアップだけを考えるのであれば導入すべきなのは間違いないので、DH制はやるべき」


はい。ここからはその根拠を示すべく書いて行きますけど。
巷でよく挙げられているDH制反対意見と賛成意見について僕なりに書いて行きますので、お時間ある方はお付き合いください。
それでは。



まずはDH制を導入した際のメリットから。

  • 試合に10人出られる

DH制があると野手9人プラス投手1人の合計10人が試合に出られる。DH制がないと9人。
当たり前の話と思われるでしょうが、考えてみてほしい。
選手一人分の出場機会が増える。つまり、野手をもう1人多く育てることができるのである。
これがセリーグパリーグの選手層の違いに直結しているはず。
昔の日本シリーズは「有力選手を抱えるセリーグvs分厚い選手層のパリーグ」という構図があったと個人的には考えていて。昔はイーブンだった。強烈なスーパースターの力で勝つか、チーム全体で勝つか。ざっくり言えば、この構図が大半だったと思う。
巨人のV9はONがいて、まぁ周りも渋いロールプレイヤーたちが固めていたけど、やはり主役の神通力で勝ってきた。そういうチーム。
パリーグにはあんまりこういうチームはないんじゃないか。強いて言えば杉浦忠が4連投した南海、がんばろう神戸時代のオリックス、2013年の楽天ぐらいかな、明確な主役がいるのは。基本的に飛び抜けた主役はいないけど、誰でも主役になれるし誰でも脇役にもなれるような、そういうチーム全体の強さで勝負するのがパリーグっていうイメージ。
逆指名がなくなった今、有望選手や有力選手は両リーグに均等に割り振られているはずで、そこで違いが生まれない分、選手層でパリーグが優位に立っていると。
昨年の巨人はV9時代のような選手構成で、坂本丸岡本という並びが当時のONに該当すると考えると、雰囲気は近いかと。リーグ戦と交流戦は彼らのスーパーな力で勝利を重ねられたけど、いかにもパリーグなホークスのチーム力の厚みに為す術もなかった。もちろん坂本丸岡本にONのような神通力はないしね。
王長嶋のような、ひとりでチームを勝利に導ける選手って近年のプロ野球には現状いない。
そうなってくると、チーム力勝負。スタメンでもおかしくない選手をベンチにも置けるぐらいの選手層を作り上げる勝負。
毎年毎年セリーグパリーグでは野手1人分選手層に差ができるわけで、DH制のないセリーグにとってこの差は簡単には埋められないと思うね。
里崎智也は「昔は日本シリーズも拮抗してたんだからDH制は勝敗に直結していない」という理論をお持ちだけど、昔は真のスーパースターがいた。運動神経のいい少年は皆プロ野球選手を目指していた時代だから、全てのフィジカルエリートはプロ野球選手になっていたような時代だった。ものすごい選手たちがたくさんいた。今は多様化していて、運動神経のいい少年たちが他のスポーツに進むケースも増えてきた。プロ野球選手と言えども、その中で飛び抜けた選手は激減している。チーム力で勝るパリーグに勝つにはスーパースターが必要だが、残念ながらセリーグにはそういう選手はいない。パリーグにもいないけど。
だいたいねぇ、昔は大丈夫だったんだから今を変えなくていいっていう発想は危険なんだよ。その理屈でいえば、地震の被害にあったことがないなら備える必要はないし、避難訓練もいらないっていうことになる。昔がオーケーなら今もそのままでオーケーということなんだから。里崎が言っているのはそういうこと。
時代は移ろうんだから、変える必要があるかどうかは常に考えるべき。
考えた上で反対するのであれば別に構わないけど、議論に向き合わずに事なかれな対応というのはいただけないね。
里崎は反対する理由がそれしかないから、ダメだと思う。反対するなら、もっと意見を出せ。

  • 投手が代打出されずに投球に専念できて長いイニングいける

DH制がない場合、投手に打席が回って来て、試合の中盤から終盤であれば得点機に代打を出す場面もある。好投しているピッチャーに代打というのは、よくある話だ。
これの弊害としては、投手が長いイニングを投げる機会が失われる、つまり成長が阻害されていることが考えられる。
接戦で好投している投手が試合展開のせいで降板させられるとか、これでは投手も成長しないだろう。
パリーグでは投手に打席が回らないため、全てが自己責任になる。良い投球ができれば最後まで投げることができる。出来が悪ければマウンドから降りなくてはならない。この方が投手も成長するのは間違いないだろう。

  • 打線に穴がなくなる

DHがあれば9人の野手で打線が組まれるので、投手が1人入る打線と比べたら厚みが増すだろう。
これによって、対戦する投手は気を抜ける瞬間がなくなる。次は投手だから力を抜いて〜みたいなことがなくなる。
これが年間に100数試合もあって、投手の経験と成長を考えたら、ものすごい大きな差になる。
パリーグの完投とセリーグの完投では、負担がまるで違う。
もちろんセリーグは打線の援護が必須で、そこの運次第では不可抗力の降板も生じたりするので、完投の難易度自体は結構ありますけど。
でも打者を抑えるということを考えたら、9打席に1回投手に打席が回るセリーグと、9人に野手と対峙するパリーグは、もう全然違います。
成長できる環境とそうじゃない環境。それくらい言っちゃっていいでしょう。

  • 投手の無気力打席を見ずにすむ

一部の例外を除いて、基本的にセリーグの投手たちは自分の打席をテキトーに浪費しています。気のないスイング、気のない見逃し。まぁ怪我したら困るのは自分だし、チームにも迷惑だし。
この傾向は年々色濃くなっており、下手に出塁して走塁で疲弊して次のイニングの投球に差し障ったらマズイということで、三振を推奨するチームも多分あるんじゃないか。
セリーグではこんな光景をほぼ毎日見させられている。
これを見なくて済むのは、思ってる以上に試合観戦で大きいはず。ずっと楽しめるんだから。

  • DHでスタメン休息プレイもできる

メジャーリーグでのDHの使用法として、本来なら守備に就くスタメンの選手を、連戦の休養がてらDHに入れるというのがある。長丁場のシーズンなので休養は必要、でも打線から外すとチームが困るってなった場合、DHにその休養する選手を入れる。守備に就かないので負担は軽くなるし、バッティングだけはやるので攻撃力低下も避けられる。
ヤクルトで言えば青木宣親を週1でDHに入れたいよね。完全休養だと打線の破壊力不足が顕著になるので、時折DHで休んでもらう。
哲人とか宗とかも時折DHで休みつつフルに頑張ってもらう。これで一年を乗り越えられると。



はい、導入した場合のメリットをざっくりと書いていきました。
続きまして、巷でよく聞く、DH制導入を反対する人の意見を書いて行きます。


  • 投手に代打を出す出さないの駆け引きが見れない

これは結構たくさんの人が言ってます。この人たちの主張というのは、「接戦で好投している投手にチャンスで打席が回って来たときに代打を出すか出さないかの判断とか駆け引きとか、そこらへんの野球の醍醐味がなくなるのは寂しい」というものです。有名人だと高木豊がコレを言ってました。
僕の意見を書かせてもらいますと。
この判断とか駆け引きって面白いのか?僕は面白いってあんまり思わないな。監督采配の腕の見せ所ではあるけど、そこに魅力は感じない。
それに、正直こういう場面は散々見て来ました。一年も試合があれば、接戦・大差勝ち・大差負けの試合がそれぞれあるでしょ、その中で接戦の場合に采配場面が出てくるはずで、年に30試合とか40試合ぐらい、こういう投手に代打を出す出さないのシーンがやってくるはず。
もうね、わりと堪能させていただいたよ。別に今更見たいとも思わないし、醍醐味とかも感じない。
僕としては、こういう場面とか全然なくても構いません。だからDHで全然いい。

  • 投手の打席が見れない

基本的にやる気を感じさせないセリーグの投手たちの中にも、時折意味不明なやる気で打つ気マンマンの人もいたりする。
ヤクルトで言えば原樹理と石川カツオだな。
こういう人たちの打席ってそれなりにエンターテインメント性があったりするから、それがなくなるのは寂しいっていう意見もあったりして、確かにそれはわかる。
打てるピッチャーの打席を見れないのは寂しいな。
今のプロ野球界で最も打席の期待感があるのは阪神秋山拓巳だね。ガチのスラッガーです。彼の打席が見れないのは寂しいわな確かに。
www.youtube.com

  • 自援護ができない

自援護というのは、打線の援護がない先発投手が自らのバットで点を稼ぐ行為になります。
自援護って笑えるし盛り上がるのよね。特に菅野の自援護は悲壮感があって、ちょっと笑える。
あれがなくなるのは寂しい感じもある。
でも確率としては低いよ。2割に届くか届かないかぐらいなんだから、それを寂しがるのもどうかと。
打撃が苦手な人は、桑田真澄さんの理論を参考にしてください。
キャッチボールをしっかりやれば、バッティング練習せずとも打てると。
グラブの芯でボールを捕る感覚をキャッチボールで養う。そうしたらグラブをバットに置き換えて、バットの芯でボールを捕る感覚。打つんじゃなくて捕る感覚。芯で捕ることで鋭い打球が飛ぶようになると。ましてやピッチャーだから打球が早ければ間を抜けて行くはず。
リンクも貼っておくので、各ピッチャー必ず見ておくように。
https://www.bilibili.com/video/av83039797/

  • 高校野球にもDHが導入されると強豪校が有利になる

もしセリーグがDH制導入した場合、間違いなくアマチュアもDH制が導入されていくはずです。
プロがDH制しかやってないのであれば、アマチュアもそれに従っていくはず、いうことですね。この世からDH制なしの野球は消えていくと。少なくとも日本からは消えていくはず。
マチュアがDH制でどのような恩恵を受けるかというと、単純に出場選手数が増えるので、幸せになれる人が増えます。選手はもちろんのこと、出場機会を掴んだ選手の親御さんも幸せになれる。
オープン戦で巨人がやってたような感じ。試合開始からDH使用するかしないかを決める。必ずしも使用しなくても良い。それで試合中に好きなタイミングでDHを解除したり逆にDHを使用したりできるような、そういうルール整備を行えればベストか。ベンチ入り人数もそれに合わせて増やしてもいいかなと。
DHがアマチュアに導入されるデメリットは、選手層の厚い私立強豪校が有利になる点ですかね。
でも個人的にはそこまで影響はないかと。日本の野球文化として、一番上手い人は投手になる。バッティングもいいはず。公立校とかの選手層が厚くない高校は、DH制を使用せずに試合に臨めば良い。強豪校だってピッチャーは多分打つだろうから、投手がそのまま打席入ればいい。
大事なのはDH制が存在していて、その上で使うか使わないかを選択できるようにすること。

  • スタメン固定気味になる

今までは投手の打席に代打を出していたところが、DH制になるとそういう場面もなくなるため、スタメンがそのまま試合終了まで出ずっぱりのまま終わり、ベンチメンバーの出番は無しっていう、そういう試合が増えていく可能性は確かに高い。
メンバーがスタメンのまま変わらないので、活気がないような感じはあるかもしれんね。
セリーグの試合終盤にピッチャーが巡りの遠い打順に組み込まれるの結構好きよ。次の回は6番からの攻撃になるから、リリーフを5番に入れるみたいな、ああいうスクランブルはわりと好き。
そういうのがDH制導入だと見られなくなるけど、まぁ別にいいです。

  • 1リーグ制への布石になってしまう

これは金子誠が言ってた話で盲点だったんですが。
セリーグパリーグにルールの違いがなくなった場合、同じ野球をやっているならばリーグも統一されていいだろうという展開に為り得ると。1リーグになってしまえば、チーム数を減らす展開も十分に考えられるし、そうなれば選手数も減り、競技人口も減って行くんじゃないかと。
どうですかね。今の世の中の流れとしてはチーム数増やせの方向な気もするし、ちゃんとしたプレーオフ日本シリーズをやりたいのであれば、僕は3リーグ制を導入して欲しいのよね。
あともう1つリーグができれば、各リーグの1位と、ワイルドカードとして最高勝率の2位のチーム、合計4チームでプレーオフを行い、ちょっとしたチャンピオンズリーグをやれば盛り上がると思うんで、ぜひ検討して欲しいのよね。
岩手に一つ、新潟に一つ、静岡に一つ、岡山に一つ、香川に一つ、鹿児島に一つ。これで新リーグを作りましょう。




以上です。
皆さんも自分の意見を作り上げてください。