『jeen-yuhs: A Kanye Trilogy pt.3』&『Donda 2』雑感

ここまで最高に爽やかなドキュメンタリーなんですけど。
このパート3はねぇ... いろいろ辛いんです。
始めていきましょう。ネタバレありです。




0:00:15
"Wow"
これはカニエの"Last Call"っていう曲の最後の長喋りの中でちょろっと披露されてた曲。「パクんなよ俺が使うかもしれないから」とか言ってたあの曲です。こうやって聴くといいよね、Last Callで聴いたときはイマイチだったのに。
ちなみにフル尺はよくわからんブートレッグとかに入ってるので、聴こうと思えば聴ける感じです。


0:09:18
グラミー賞2006 打ち上げ
疎遠になりつつあったCoodieが意を決してカニエにインタビュー。しかし酔ってるせいもあるのか、何度もCoodieの名前を呼び間違えるという、非常に残酷なシーン。苦しいね。辛い。


0:35:34
『The Life Of Pablo』リスニングパーティー
Coodieの存在に気づいたカニエが歩み寄りハグを交わすシーンにホッとする。


0:35:51
"Father Stretch My Hands Pt.1"
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冷静に状況を見てるPusha T、後輩らしく静かに慎ましやかに振る舞うBig Sean、後輩らしく一生懸命ノリノリに盛り上がるTravis Scottの姿もありつつ、テンション上がったカニエとKid Cudi (この曲のコラボ相手)が抱き合いながら飛び跳ねるシーンにほっこり。癒されたし、無性にホッとした。こうやって気が許せる友人が一人でも多くいたらいいなぁと思ってます。とか書いてるお前何様やねんってところですが。
この曲、なんか好きなんだよね。
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確か2016年のナンバーワンにしたはず。してました。
throughthewire.hatenablog.com
この記事を読み返しました。
かえぴょんは元気かな。
得意のJ. Coleディスり。なんでJust Blazeとかに曲作ってもらわないんだよ。意識高いのがムカつく。
そうか2016年の曲なんだねってことはペルソナ5の年やないか。いい年だ。
2016年の12月のブログの記事一覧を見ると、いい曲多いね。いい年だ。
しかもアントラーズが優勝してるねリーグ優勝。真のMVPは昌子源って書いてある。ホントどんな姑息な手を使ってもいいから、どうにかして源を取り戻せよアントラーズ。こんな馬鹿なことないよマジで。


0:42:18
再会2017
こうやって気が許せる人といる時のカニエは昔と何も変わらない。


0:46:24
Kid Cudi
『Graduation』でひとつ達成感を味わったあと、母親を失い、生きる希望も夢も目標もない中、音楽の面で道標を示してくれたのがカディ。カニエの創造性を刺激し、今に至るまでの作風に大きく影響を与えたのは間違いないよね。業界における無二の親友として、時にはお互いにメンヘラを発動して喧嘩もするけど、鬱と躁鬱の二人だからタイミングが合わないといけないけど、基本的には気の合う友人。
ここの映像のカディはリラックスしてて、いいヤツムードいっぱい。
アルバムコンセプトを語る際のやりとりがいい。強気に振る舞うのは苦手って照れながらも本音を漏らすカディに対して、カニエも全てを手にしたのに自殺願望を抱いた時があったこと、鎮痛剤に頼る時が今でもあることを素直に吐露してみせる。こうやってオープンになれる人がいるのは、ホント良かった。もちろんCoodieとかの昔馴染みも大事な存在だけど、セレブリティと一般人だからね、分かち合える限界がある。カディならCoodieたちには分かち合えない分野も共有できるだろうから。


0:50:47
村上隆
カニエお気に入りのデザイナーさん。


1:10:24
ドミニカの別荘?
「安藤もプロジェクトに参加しようとして降りた」みたいなことを言ってて、安藤忠雄かな。


1:15:32
Wyoming Session
Justin BieberとかDame Dashがいて、レコーディング場所のスクリーンにはおそらく映画『七人の侍』の映像が流れてる。
Rick Rubinとの電話で事前打ち合わせで「俺は今、禅の精神を学んでるんだ」とか言ってて、彼の言う禅ってストイックで落ち着いた精神性なんだろうけど、違うんだけどなぁっていうのが本音ですが。





最後に新作『Donda 2』について。
もちろん事前に情報なんてなかったし、完全にカニエのことなんて考えてもなかった。
そんなタイミングにたまたま見かけたDonda 2の文字。
嫌な予感がした。そして強い違和感を覚えた。
最愛の母親の名を冠したアルバムに続編なんてあり得るんか。
正直言えば前作の出来にも納得できてないよ。あんな内容でお母さんの名前を付けて。もうちょいどうにかならんのかと思ったけど。
超超無理矢理に考えて、離婚調停中とは言えKim Kardashianへのアピールとして、あなたは僕の母親と同じだけ掛け替えのない存在なんだよと、Donda 2なんだよってことなのか。いやいやおかしいだろ。


失恋から産まれたアルバムは結構いいモノが多い気がする。パッと思いついたのはMaroon 5の『Songs About Jane』とか。
でも離婚から産まれたアルバムって全然上手くいかないよな。Marvin Gayeの『Hear, My Dear』とか、タイトルわからんけどRobin Thickeのとか。
カニエのアルバムにしては、喜びが欠けている。エネルギーもなく、ただ失意に暮れるばかり。
怒りのエネルギーもなかった。怒ってるように見せかけて、ただひたすらに落ち込んでるようにしか聴こえない。
やっぱり失恋と離婚じゃ全然違う。人生や人格に与える影響が違いすぎるんだ。当たり前だけど。
あの女。ほんとロクでもない。カニエの輝かしいキャリアに傷をつけてしまった。
この『Donda 2』は駄作。言い切っていいと思う。
でもまぁ必要悪だったと信じたい。これきっかけで、ここ数作の大作ムードが減退すればいい。
壮大で崇高な音楽を作れるのは偉大な才能だけど、何もかもがどんどん肥大化しすぎて、それが足枷になってたような気もした。
また軽めの音楽を作ってもいいじゃないか。
今回の失敗を受けて、このタイミングで様々なしがらみから抜け出せたらいいなと。
ちょうどいいタイミングでこのドキュメンタリーが放送され、世間からの風向きも変わってくれるだろう。
立ち返っていい。原点に帰っていい。
ごくごくシンプルな発想、シンプルなあり方へと。


そう考えたら、ちょっとは前向きになれる。
生まれ変わる。再生。第二の誕生。
Donda 2っていうタイトルの意味合いも、多少はマシに見えてくる。
またこの世に生まれてきたかのような、そういうきっかけになってくれれば。


無理せず頑張ってね。