#9 "Believe What I Say" Kanye West

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サンプリングを軸にしてポップでキャッチーに仕立て上げる手腕ですよ。古き良きカニエっていうところか。



ちょっと昔話をしましょう。
天才プロデューサーとして数々のヒット曲を産み出し始めていたKanye Westが自らデビューするにあたって、勝負曲として構想があったのが、Lauryn Hillの"Mystery Of Iniquity"のサンプリング。当然その許諾を得るためにコンタクトしたんでしょうけど、まぁおそらくカニエの横柄で尊大な態度に警戒心も出てきたんでしょうね、それか単純にローリンが調子こいてたのか。
サンプリング許可は降りず。
ブチギレたカニエはサンプリング予定だった箇所のフレーズを別のシンガーに歌わせ、演奏は自分製の物を用意し、擬似サンプリングのような形でトラックメイキング。しょうがないのでローリンには作曲者としてのクレジットを与えることで妥協。最終的には自らが望んだプロダクションに成功するという。
2003年ぐらいですかね、そんなことがありました。
動画も貼っておきましょう。
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いやぁ名曲。良かったよね。これが陽の目を見ない可能性もあったと考えると震えますな。


時は流れて2021年。
両者の立ち位置は当時と大きく変わった。音楽業界におけるポジションも、パワーも、当時とは全然違う。
今のカニエがサンプリングさせてよとお願いして、それで今のローリンが嫌ですなんて断れるわけがない。
そこのタイミングでサンプリングネタとして選ぶのが"Doo-Wop (That Thing)"という、このあたりの図々しさね。
だって彼女のナンバーワンヒット曲やないかい。そこを遠慮することなくズケズケと選んじゃう。もうこりゃわざとでしょ。
まさにsuccess is the best revengeというヤツですな。
自然とあの頃のハングリーな思いも蘇って、あの頃の作風に近くなったんだろう。


嫉妬深くて執念深いカニエさん。
かつてヨーロッパMTVのアウォードで負かされてブチギレたことのあるJusticeには代表曲サンプリングでリベンジ。
昔サンプリングを断られたローリンには代表曲サンプリングでリベンジ。
残されたライバルはTaylor Swiftだけやね。あとはここをブチのめすのみ。
それが終わったら大統領一直線、といったところか。
長生きしてください。基本的にはずっと応援してます。