Jude Bellingham

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ベリンガム凄いですよね。明らかに華があるし、めちゃくちゃワクワクさせてくれる。
細かい戦術的な凄みは上記の動画の小澤さんの解説を参照。倉敷さんによるジュードの意外かもしれない過去も言及されてるのでそちらもぜひ。


僕は開幕してからのベリンガムを見て、かつてのスティーブン・ジェラードを思い出した。
万能型のセンターハーフが、チーム事情をきっかけにオフェンシブな才能を開花させたっていう流れが全く同じなんだよね。
ジェラの歴史を振り返ると、彼が世界的に注目され始めたのは2001年のワールドカップ予選のドイツ戦がきっかけだったと思う。マイケル・オーウェンハットトリックもあって1-5と完勝したあの試合で逆転のミドルシュートを決めたのがジェラード。ダイナミズム溢れる攻守の働きで、ポール・スコールズと共に中盤を制圧していた。
所属クラブでのカップ戦トレブルもあって上り調子の中、シーズン最終盤の故障によって日韓W杯の出場叶わずという挫折。ここからちょっとずつ歯車が狂い始める。
リバプールは優勝候補の一角と目されながらもプレミアリーグで結果が出ず、初めての国際舞台となったEURO2004でもインパクトを残せず。古豪復活に一役買ったジェラール・ウリエは解任され、新シーズンが始まるあたりでエースのオーウェンレアル・マドリーへ移籍。あんなに明るかった未来が、いつの間にか霧に覆われてしまう。
しかし新監督のラファエル・ベニテスによって全てが生まれ変わる。スペインからの有能な新戦力もありつつ、新キャプテンに任命されたジェラードをトップ下へとコンバート。4-4-2の中盤から、4-2-3-1のトップ下へ。
その後の歩みは記すまでもないだろう。プレミア優勝はユルゲン・クロップ政権まで待たないといけなかったが、あのイスタンブールの奇跡はサッカー史に残る歴史的な一戦となり、スティーブン・ジェラードリバプールFCの歴史上最も偉大なキャプテンとしてファンに愛されるようになりました。


ただ、イングランド代表ではどうだったか。トップ下へとコンバートされて以降一気にプレイヤーとしての格を上げたジェラードだったが、それが逆に代表チームの中盤のバランスを崩すことに繋がったのは、なかなかに辛い話である。EURO2004の頃はごく普通のセンターハーフであり、ダイアモンド型に近い中盤においてアンカーの位置で無難にやっていた。あの時はキャプテンのデイビッド・ベッカムが右にいて、トップ下のスコールズも健在、左には新進気鋭のフランク・ランパードがいた。2トップもオーウェンウェイン・ルーニー(当時19歳)というワンダーコンビ。夢とロマンがあったよなぁ。このチームにユーロ勝って欲しかった切実に。
2006年のドイツW杯。スコールズは引退、ジェラもランプスも2年で大きく成長し、二人で4-4-2の中盤を組むことが期待されたが、これが上手くいかない。元々オフェンシブな性質だったランパードと、よりオフェンシブに傾いたジェラードだと、全くバランスが取れなくなってしまう。融通が利くジェラードを左サイドハーフに置くという暫定的な解決策なども取られながら、それじゃあジェラードの良さを活かしきれてないよねという話になり、さてどうすると悩んでいるうちに、オーウェンが負傷したことで自然とフォーメーションの変更に迫られることに。ルーニーの1トップ、トップ下にジェラとランプスを並べ、アンカーにオーウェン・ハーグリーブスを据えることで中盤のバランスは大きく改善、チームに安定感も産まれたのはもう偶然の産物としか言いようがない。しかしPK戦で敗退、またしてもポルトガルにリカルドにしてやられるとは。
2008年は傘野郎スティーブ・マクラーレンの糞采配により痛恨の予選敗退で本戦に進めず。
2010年はベッカムの負傷もあったし、チームも普通に峠を越していた。若返りで勢いあったドイツに惨敗。
2012年はダニー・ウェルベックテオ・ウォルコットなどの新戦力も奮闘したが、PK戦でイタリアに屈する。アンドレア・ピルロのクッキアイオのヤツです。
2014年はほとんど記憶にないのですが、イタリア・コスタリカウルグアイと同組になって、一勝もできず敗退。突破はウルグアイコスタリカで、3位敗退がイタリア、グループ最下位がイングランド
これがジェラードの代表でのキャリアになります。チャンスは大いにあったが、何も勝ち取れず。まぁイングランド代表自体が1966年の自国開催でのW杯以外何もタイトルないんで、所詮そんなもんなのかもしれませんが。
もしベニテス監督がジェラードをセンターハーフのままにしていたら...
リバプールはいまだに浮上することなく古豪のままで居続けてたでしょう。イスタンブールもなければ、その後の復活もなかったはず。
でももしかしたら2006年のW杯はワンチャンあったんじゃないかって、思ったりもする。まぁでもあの時のイタリアとかフランスとかドイツに勝てるかっていうと、全く無理そうですけどね。


まぁ選手は絶えず成長していくものであり、代表チームはその時々で最適解を探し続けるしかないのよね。
近年のイングランド代表は4-3-3のフォーメーションで、中盤はベリンガムとデクラン・ライスが軸となり、プラスもう一人っていう構成で組んでいる。
今までのベリンガムだったらプラスワンはどんなキャラクターの選手でも問題なかっただろうけど、ちょっとオフェンシブになりつつある現在のベリンガムであるならば、多少バランスが取れる選手を置いた方がよりベリンガムをフルに活かせる気がする。
今のチームを例に喋ると現在のクラブチームでの調子で言えばジェームス・マディソンとかフィル・フォーデンとか入れたくなっちゃうけど、ちょっとオフェンシブに過ぎるんで、やっぱりコナー・ギャラガーとかカルビン・フィリップスあたりを入れるのが最善なのかな。っていう話ね。


来年には早くもEURO2024が待ってるわけなんです。
その時までにベリンガムが全知全能の怪物になっている可能性が高いと思います。
チーム全体でベリンガムを最大限に活かす布陣にするか、それともベリンガムの万能性を活かしながらメンバー全員を総合的に輝かせる並びにするか。大事な決断。
しかし監督がギャレス・サウスゲイトなんだよなぁ。あの無能でタイトルを勝つイメージが全くできない。
東の森保、西のサウスゲイト。なんで二人とも続投してんだよ。ありえんわ。