エピソードトーク「申し訳なかった話」

たまにはブログ更新しないとね。久しぶりすぎますわ。




昨日病院に来た患者さんが7歳の男の子だったんだけど、クロアチア代表ユニ着てたのね。背番号も10で、おおこれはLuka Modricじゃないですかと僕もテンション上がったのよ。



これ書くと年齢バレますが1985年世代のスポーツ選手って異様に不作なのよ。
その前後の学年には優れた選手が数多くいて、特に1986年世代はサッカーの本田圭佑岡崎慎司、野球のダルビッシュ有涌井秀章、他にもバレーボールの木村沙織とかF1の小林可夢偉などなど、日本スポーツ史に名を刻む素晴らしいアスリートを多数輩出しているんですが。
僕の学年はなかなかに微妙。
サッカーだと平山相太ぐらい、野球は荻野貴司成瀬善久清田育宏内竜也のロッテ勢に宮西尚生とか大島洋平とか西村健太朗とかの激渋ラインナップ。
僕たちの世代を代表する日本人アスリートは間違いなく宮里藍さんですね。心技体を完璧に兼ね備えた美しい人。最高にかっこよかったし、最高に素敵でした。
それ以外で言うとなでしこJAPAN川澄奈穂美さんもですね、あとフェンシングの太田雄貴も。あと早生まれで1986年生まれですが同学年ということでフィギュアスケート高橋大輔ラグビー五郎丸歩もですか。意外といるな。


海外サッカーで見ても1985年世代は小粒が多いんですが。
その中にもレジェンドが2人だけいました。Wayne Rooney、そして件のモドリッチ
2代目ワンダーボーイルーニーは登場シーンから凄まじかったからね。
当時の僕はワールドサッカーダイジェストを全部買ってまして、期待の若手特集っていう回があってその中にルーニーの名前があるのを見たんだよね、まだ彼が一発決める前の。あー同い年だなぁと思いつつも知らん名前だし(当たり前)エバートン所属だから特に気にも留めなかったんだけど、よくよく考えたらあの時のルーニーは16歳ぐらいで、そんなタイミングで名前が載ること自体とんでもないってことに気づけよ当時のオレ。しかもあの当時のヨーロッパサッカーやぞ。今とは比べ物にならないレベルの圧倒的猛者たちがウヨウヨいたあの時代に。
プレミア初ゴールがアディショナルタイムアーセナルを沈めた芸術的ミドルシュート。正直何も生まれそうにない静けさだった。試合も終わりそうだし、相手は王者アーセナル。浮き球を柔らかく処理するとターン。カットインして、見事なストライク。これで当時のプレミアリーグ最年少ゴール。
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その後のEURO2004では元祖ワンダーボーイMichael Owenとのワンダー2トップを形成。あのチームはすごく魅力的だったんだけどね。
ルーニーは過小評価されすぎている。日本人はジェラードとランパードの話しかしないからね。もっとルーニーを崇めよ、讃えよ。完全無欠のフットボーラー。全てができる。得点もアシストも、ゲームメイクもプレッシングも全て。出来すぎたからついつい黒子に徹しすぎる時もあった。クリスティアーノ・ロナウドを立てたり、ジェラやランプスにお膳立てしたりもした。でも必要に迫られればスコアラーになれる。クリスティアーノがマドリーへ移籍したシーズンに一気に得点を倍増させたルーニーには本当に感動したよ。凄まじい選手だなと心底尊敬。


なんの話をしてんのってところだよね。すみません。
モドリッチの話も少々。
2006年のワールドカップで日本はクロアチアと同組だったんだよね。当時日本は3回目の出場で、クロアチアも同じ3回目。共にフランスW杯デビューだから同期だ。その時も同組だから3回中2回も同組ってなんだよって感じ。
当時のクロアチアの中心は監督の息子でもあるニコ・クラニチャールっていう選手だったはず。でも当時から本当の天才はそいつじゃなくて、控えのモドリッチだと、いろんな人が言っていた。
その後の歩みは決して早くはなく、意外にゆっくりだった。レアル・マドリーに加入するまでは良かったけど、最初はベンチウォーマーだったよね。チームに全くハマってなくて全然活躍できてなかったのに、そこをカルロ・アンチェロッティ監督の就任以降盛り返していくっていう。カルロだけじゃなくてイタリア人指揮官ってこういう実力あるのに不遇な選手を救い出すのに長けてる監督が多いイメージ。マッツォーネさんとかラニエリとか、マンチョもそういう力があるかな。
モドリッチのその後の活躍は言及するまでもないでしょ。長きにわたってマドリーの中盤を太く支える大黒柱。現代サッカーの最先端を走り続ける勤勉な芸術家。
これ言うのはちょっと恥ずかしいんだけど、僕はモドリッチあんまり好きじゃなくて。それはなぜかと言うと、日本人ってめっちゃモドリッチ好きが多いのよ。いやぁまぁいいんだけどさ好きで別に。ああいう華奢で線の細いテクニシャンとかカッコイイもんね。そりゃわかる。でもあまりにもモドリッチ好きって多いから、逆張りであんまり好きになりたくない気持ちが出てくるって言う。なんという不純な。
まぁでも数少ない同い年が未だにこの年齢で最前線でやれているというのは、素直にリスペクト。すごいです。



話を戻しまして。
患者さんがモドリッチユニを着ている少年7歳。せっかくだしモドリッチトークも少し展開するかと思ったのね。
外来は忙しかったんですが、ここでスルーするのも無粋だなぁと思ってね。
それで何言おうかなと思ったんですが、ちょうど直近の試合でモドリッチが凄まじいミドルを決めてたのを思い出して、そのゴールについて喋ろうと思ったのよ。ちょうどいいタイミングで素晴らしいゴール決めてるルカありがとう。
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なんやこのクソみたいな実況は。倉敷さん集中ね。
モドリッチユニ少年に喋りかけるわたくし。
「この前の試合のモドリッチのゴール見た?」「???」「この前のセルタ戦の」「???」「あれ、見てない?」「???」
そして悟った。あかん、全然通じてない。モドリッチすら知らなさそうなリアクション。
そりゃそうか。7歳の男の子がクロアチア人のサッカー選手なんて知るわけないし、7歳の男の子が日曜日の早朝5時からスペインのサッカーの試合なんて見るわけないわな。
「あーあーごめん、ごめんね」と言って患者さんを親のところへ帰しながら、反省。はい。
難しいね。いろいろと。反省しました。