情熱よりも冷静

いよいよワールドカップも決勝ですね。両者実力も潜在能力も拮抗しており、ガチガチの手堅い展開になる可能性もあるが、非常にハイレベルな試合が観られるはず。エリック アビダルとマルコ マテラッツィがポカをしなければ..
さてさて、少し思ったことを。
今回サスペンションで決勝に出る資格がない選手は、ルイ サハだけである。これは、なかなかすごいことだと思う。
例えば02年チャンピオンズリーグのゼ ロベルト、02年ワールドカップのミヒャエル バラック、03年チャンピオンズリーグのパベル ネドベド。今挙げた人たちは決勝戦出場のチャンスを、出場停止という形で失っている。
選手は試合に出てナンボ。ゼ ロベルトもバラックネドベドも、いずれも素晴らしい選手であることに異論はないが、真の一流ではないと思う。自らの手で出場権を失うなんて..
確かにバラックのもらったカードはチームが受けたカウンターのピンチを救う大事なカードだったという意見もわかる。しかし、いくらチームプレーといえども、あなたが出場停止になってしまえば、チームへの多大な損失になるのは明らか。むしろチームプレーというよりも、チームプレーをはきちがえた、独りよがりな個人プレーではないか。
カードをもらうのは運が悪いから、という言い方もできるかもしれないが、僕は運も実力のうちだと思っている。「実力があるから運が呼び込めるんだ」と言っていたのは、昔なつかしの迷将(?)エクトル クーペルだったっけ。
数多くのドリブラーを擁すポルトガルが相手ながらカードなしで完封してみせたフランスの人たち。そして延長戦にまで長々ともつれる試合、しかもちょこまかすばしっこい2トップのドイツ相手にカモラネージのカード1枚で激戦を制したイタリアの人たち。やっぱり一流のプレイヤーたちなんです。特にテュラムマケレレはすごすぎる。あのパフォーマンスをここ一番の試合で披露できる彼らこそ、本物のカンピオーネだ。
最後に今大会を観て印象に残った選手として2人、若手とベテランひとりずつ。アルゼンチンのマキシ ロドリゲスと、トリニダード トバゴのドワイト ヨークの名前を挙げたい。
今大会もたくさんの若手プレイヤーがいたが、中でもマキシは鮮烈だった。メキシコ戦のスーパーボレーに目を奪われがちだが、スピード感とタイミングのいい飛び出し、労を惜しまない守備時の献身は非常に好感が持てた。やはり現代サッカーには攻守のトータルバランスが欠かせない。
そして、驚きと喜びを与えてくれたヨークには、僕は素直に興奮し、感動した。笑顔の素敵なかつての天才ストライカーが、ボランチとしてあれだけのパフォーマンスを見せてくれたのだ。フットボールを熟知しているからこそ為せる見事なプレーの数々、感銘を受けました。