国内盤『Tha Carter 3』発売記念 Ending

今年の頭あたりにカットされたLloydの"Girls Around The World"。黄金コンビということで再びfeatureされたのがWeezyです(そういや『Lessons In Love』はビミョーだったなぁ..個人的フェイバリットPのEric Hudson製"Treat U Good"は良かったけど、あとは"Lose Control"と"How We Do It (Around The Way)"ぐらいか)。
この"Girls Around The World"のtrackは、伝説のhip hop unit、Eric B.&Rakimの大名曲"Paid In Full"をsamplingしているんです。Hip Hop Headsには耳馴染みのtrack上でLloydがいつものように甘く歌い、いよいよWeezyの出番です。その冒頭のフレーズが「OK I'm thinking of a masterplan」。これは件の"Paid In Full"のRakim verse{Thinking of a masterplan/cuz ain't nothing but sweat inside my hand}からの引用なんです。そういうhip hopの歴史を重んじるところは非常に好感が持てますね。で、その続き{cuz ain't nothing but sweat inside my hand}も行くのかと思いきや「OK I'm thinking of a masterplan.. Haha, I'm lying. Shorty on my mind」と来た。「マスタープランを考えてるんだ.. なーんてね、ウソウソ。頭の中は女の子のことばっか」ってかますこのふざけっぷり!しかし、ここでただの道化で終わらないのがThe Best Rapper Aliveたる所以。「OK I'm thinking of a masterplan.. Haha, I'm lying. Shorty on my mind Shorty like a frying, pan,」と続けた後、ちょうどこのtrackを構成するloopが加速するそのタイミングで「and I ain't got nothing but sweat inside my hand」を持ち出すのです。
これを初めて聴いた時、ちょっと鳥肌が立ちましたね。この人は天才だと。TupacもBiggieも、NasJay-Zも、EminemPapooseもLupeもみんな天才だけど、Weezyはcrazyな天才だ、と強く思いました。

やっと国内盤が発売された『Tha Carter 3』は疑いようのないclassicです。The Best Rapper Aliveに寄せられたbeatたちはどれもpop性に優れた最高峰のモノばかり。Kanye Westが自作だったAlicia Keys"You Don't Know My Name"のoutro("If I Ain't Got You"の真のintroと言うべき?)をsamplingしてBabyface御大の甘く辛口な歌をhookにした王道曲"Comfortable"、Swizz Beatzがまさかのjazz trackを用意しその上でWeezyが医者に扮しhip hopにて問題を抱える患者を診ていくというconcept song"Dr. Carter"、Shondrae 'Bangladesh' Crawfordが編み出したあまりにもイカれた有り得ないtrapの上で「A Milli」から「I'm Ill」へと持っていくその発想がWeezyやべぇよの"A Milli".. とか、わざわざ書かなくてもいいくらいわかりやすく、作品そのものが雄弁に語ってくれます。『Tha Carter 3』、とにかく聴いてみてください。OutkastのアレとかKanyeの2nd的な意義を持つアルバムになっていると思いますが、いかがでしょう。