No.18 『Emeritus』Scarface

先に断っておくと、僕はScarfaceの作品を全て通してるわけじゃありません。聴き始めたのは『The Fix』から、というスーペルミーハーですが、許してください。
Def Jam移籍後のScarfaceは、かなり上手くやってます。Kanye Westの本気仕事3連発に、当時頂点を極めていたThe Neptunesのトラックまで得て、Jay-ZNasKelly PriceFaith Evansといった人気&実力バツグンな客演陣を迎えるなど、圧倒的に華やかなメジャー感を増強し、基本軸となるHoustonらしい土臭い感触と巧く融合させた『The Fix』。劇画チックで実にドラマティックなソウルフルトラックの上で、ド迫力のハードボイルド語りを披露した激シブgangster名盤『Made』。タイプこそ違うが、好内容のアルバムが続いてます。

で、今作。
良かった曲は、まず"Can't Get Right"。ファンキーな手触りに哀愁も込めた鍵盤ループがナイスなNottz製トラックに情感たっぷりのFaceが良い。
あとは、ベースが響くサンプリングにJuvenile風のコクをぶつけた"High Note"、攻撃的なデリバリーが光る"Emeritus"が良かったかな。
ただ、全体的にラップに迫力ないぞ。存在感が無い。
"Forget About Me"はWeezyとBunに喰われてるし、他もクオリティが高くない。今さらJohn McCainの名前が出てくる"Still Here"はモロにThe Game"Cali Sunshine"の二番煎じだし、「kicks like judo」というラインが出てくる"Soldier Story"はZ-Roの渋い歌声が良いんですが肝心のFaceがイマイチ...
ジャケも過去ワーストでしょ。
曲順もどうかね。Nottz曲が連チャン、Illmind曲が連チャン、Wacko参加曲が連チャン、ってどうやねん。

アルバムタイトルが「名誉教授」もしくは「名誉退職」ということで、一応Scarfaceの引退作かもしれないらしい。特に信用してませんが、こんなアルバムで引退するなんて、ありえん。