この順位は意外だろうか。でも、よく考えてほしい。果たして『Paper Trail』には必殺級の曲はあったのか？『Paper Trail』は僕らの期待値に届いたのか？心に素直に答えれば、答えは絶対にNoだと思うが。
例えば、ビルボードを制した"Whatever You Like"と"Live Your Life"。前者はモロにLil Wayne"Lollipop"の二番煎じなうえに何だよあのキモいラップは。後者は誰もが知っているO-Zone"Dragostea Din Tei"、いわゆる"恋のマイアヒ"をサビにしたりするようなキワモノで、僕にはとてもじゃないが耐えられん。
アメリカ人は何回煎じても大丈夫かもしれんし、アメリカ人はマイアヒにノイローゼを覚えたことがないから大丈夫かもしれんけど、僕には許せん。
他の曲だって特に優れてるわけでもない。例えば、豪華ゲストを招いた曲たち、"Swagga Like Us"、"My Life,Your Entertainment"、"Dead And Gone"はどうだったか。
"Swagga Like Us"はKanye West、Jay-Z、Lil Wayneというhiphop界の超VIPが集った豪華曲だが、特筆すべきクオリティがあるわけではない。ギリちょん良かったのはKanyeとT.I.ぐらいで、Weezyはあんまり、Jayは怠慢。
"My Life,Your Entertainment"はUsher参加だが活かされてねぇーよ。あんなtrap hookだったらT-PainとかR.KellyとかTrey Songzに歌わせりゃいいんだよ。ってか、なんてつまらん曲やねん、これ。
"Dead And Gone"もどうかね。Justinの持ち味は出てないような気がするし、なんでアルバムのラストにああいう扇情的な曲を置くんだろう。曲順、ヘンだ。
(若干Mannie風の)"Swing Ya Rag"はSwizz曲ですが過去の"Bring 'Em Out"や"Get It"レベルではない。
"What Up,What's Haapnin'"みたいな曲はもういらん。僕はDrumma Boyというプロデューサーが嫌いです。いっつも同じようなトラックばっかり提供して、なんのクリエイティビティが感じられん。
Toomp曲も及第点以下。
なんでMannie Freshを呼ばなかったんだ？KLCとかDavid BannerとかSanchez Holmesとかは？
..と、たくさん批判しましたが、良かった曲も２つだけあったので、記します。
まず"No Matter What"。カントリー+trap beatという意外なトラックが「困難に負けない。逆境に負けない。」というT.I.のラップにマッチしたカッコいい曲です。
もう１個が"Porn Star"です。まあ、エロ妄想曲ですが、これも完成度が高い。興奮を抑えきれないトラックと、なるべくスマートに振る舞い平静を装うT.I.のパフォーマンスが見事です。
『I'm Serious』、『Trap Muzik』、『Urban Legend』、『King』とデビューから外さずに来てたのに、前作『T.I. vs T.I.P.』が厄介な縛り付きのコンセプトアルバムでミスって、まあ次は大丈夫でしょ、思ってたら..こんなアルバムですか。
牢屋の中で色々ちゃんと考えろよ。
頼むよ、次こそ。
