No.15 『The Hunger For More 2』Lloyd Banks

今作に至るまでの詳しい道のりは11月18日の記事に記しましたので、そちらを見ていただくとして。

どうでしたかね、今回のは。

何かさぁ、もうちょい。いい感じになれそうで、どこか足りない。
何が駄目だったんだろうと考えてみたが、基本的にハードな曲にいいのが無かった気がします。"Take 'Em To War"とか"Father Time"あたりは悪くなかったけど、このレベルの曲が挙がってしまうあたりにアルバムとしての限界が顕れていると思う。
"On The Double"はフロウのチョイスをミスったかな。
"Celebrity"は全体的に良好だけど完全に時代遅れです。
"Unexplainable"、"Payback"、"Start It Up"、"Sooner Or Later"あたりは間違いのないゲストが呼ばれており、本来アルバム屈指の目玉曲になるべき存在なんだけど、どいつも正直トラックが弱い。ヒリヒリするようなアンダーグラウンド感もないし、かといって王道的な華もないトラックでは、なかなか盛り上がりようもない。しかも、この4曲の中でまともなパフォーマンスを披露したのってぶっちゃけLosoだけじゃね?みんな手抜きすぎやろ。
まぁ、Banks自体まだまだ求心力が無くて、いいトラックやいいゲストパフォーマンスを得るまでには至っていないということなんだけどさ。
翻って、前作で手を出してみたメロウ路線はどうだったのかと言うと、3曲あって行けるのは1個だけかな。
Ryan LeslieとかLloydとか人選に間違いは無い。ただ、方向性が実に中途半端だったから成果が出ない。マスを狙うわけでもなく、かといってコアにも響かないような、立ち位置不明な出来。"Help"や"Addicted"みたいな狙いも感じられず、ただゲストを呼んで一緒に作っただけなのか。もったいない。
今まで継続されていた本格ソウル曲の系譜に連ねていいものなのか少し迷うが、"I Don't Deserve You"は素晴らしかった。Alchemist"Tik Tok"〜Mobb Deep"It's Alright"あたりを思い出させるスイートなトラックにJeremihの細く美しいボーカルが映えるし、Banksも巧みなヴァースを乗せている。許されるのなら、こういう曲ばっかりやってほしいんだけどね。
でも、そうはいかないので、今後Banksに重点的にやってほしいのは"Home Sweet Home"みたいな哀愁路線である。
この"Home Sweet Home"の出来は秀逸でしたね。Prodigy of Mobb Deepの名曲"The Rotten Apple"を連想させるトラックからして最高だし、情感たっぷりに語るPushaも最高だし、苦みいっぱいに人生のブルースを説くBanksも最高。
声質的にもリリカル具合にもブルース路線は似合うから、これからはコレを中心に据えていただきましょう。ぜひぜひ。


しかしながら、アルバム全体としては納得してないからな。
もうちょいパンチのある楽曲を増やしてくれ。
G-Unitの巻き返しは、まだまだ持ち越しだな。