No.7 『Statlanta』Stat Quo

Stat Quoと言えば、一般にはYoung Buck"Walk With Me"あたりから始まり、Eminemの"Spend Some Time"や『Re-Up』で活躍してた元Shady所属のラッパー……とは書いてみましたが。
ぶっちゃけもう超超超ノーマークだったんですよね。ドロップアウトしたというニュースを耳にして以降、どうなったか知りませんでした。
で、7月。何となくタワレコで見かけて、おお、例のStatlantaはお蔵入りにならずに済んだのね、と安堵しつつ、微妙に豪華なゲストに釣られて聴いてみたんですが。


いいじゃん。けっこう充実してるやないの。
一曲ずつ追っていきましょう。

悲壮な決意を込めた冒頭の"The Beginning"からツボります。荘厳。EmやDre、Obieの名前が出てくるのは切ないけど、しゃーない。
No I.D.風のトラックがハイレベルな"Welcome Back"も強力。Marsha Ambrosiusと滑らかに絡むフック作りの見事さに非凡なものを感じさせます。
続く"Ghetto U.S.A."の苦み走ったブルージーな味わいが最高。
壮大でソウルフルな"Dedicated"もデカイ逸曲。サビの展開がいいね。
"Success (Back To U)"はDre的な重みのあるトラックですね。無理なくこなします。
アーバンなtrapだけどストラグルをリリカルに魅せる"Catch Me"、これも素晴らしいなぁ。フックもキャッチーに歌ってます。
そのまんま泣きのトラックが完璧な"Cry"も悪くない。
妖しいムードは西っぽくもある"Space Ship"もこなす柔軟性ですよ。ラップも相変わらずスムース。
"Lie To You"は微妙。RaheemもDevinも不完全燃焼だしQuoも普通。トラックもありきたりだし、もったいない。
すると今度はヤバい。往年のBad Boyを思い出させるような美しさを湛えるヒップホップトラックにてKweliと希望を歌う"Alright"、これは圧倒される!アルバム屈指のハイライトですな。
で、"What I Like"は急にイマドキな感触だが、んーコレはイマイチだな。フローを変えたりした努力は立派だが、キャッチーさが全く足りないと思う。
ラストの"Penthouse Condo"は同郷の大先輩Outkastっぽいフックに割とオーソドックスなラップ。でも最後の曲にしては地味な気もする。

ということで。元々の柔軟性溢れるフローに、アトランタに留まらない多様性を持たせたトラックがハマった、なかなかの快作に仕上がってますよ。
フック作りが上手いんでファーストインプレッションもいいし、多彩なトラック+変幻自在で巧みなラップがリピート回数を増やしてくれる。素晴らしいと思う。
ジャケやルックス共々かなり地味で残念なんだけど、逆にそれも渋みに繋がりそう。
強いて難点を挙げれば、曲順か。さっきも書いたがラストの"Penthouse Condo"はラストにしては普通すぎる。ラストっぽい曲を入れて欲しかった。


でもでも良かったよ。掘り出し物をゲットした気がする。

あとはQuoが作品に見合った評価を受けるだけだ。皆さん是非ご試聴願います。