No.6 "Tints" Anderson .Paak ft. Kendrick Lamar


才人Anderson .Paakの新作に先駆けてリリースされた新曲で、よりファンキーでアッパーな魅力を前面に出している。Kendrickのヴァースも立派なもので、他人の曲だと純粋にラップするので良い。
Tintsっていうのは車の窓のスモーク具合のことですね。無粋にも歌詞の内容に触れていくと、まぁ表向きはパパラッチが迷惑なのでもっとスモークが欲しいっていうことなんですけど、実際のところ真のテーマとなるのはPVにもある通り人間には他人に知られたくないような一面を持っているっていうところなんでしょう。
イントロのワクワク感とサビに入る瞬間の浮遊感が心地よい。この曲は好きです。



しかし。肝心の新作『Oxnard』が実にしょうもなかった。陳腐だった。
ラップというかフロー重視のボーカルは百歩譲っていいとしても、フローが単調、しかもトラックまで地味と来ちゃあ面白くない。
こういう作風はNxWorriesで展開していくと思ってたんだけど、そうでもないんか。
前作があんなに芳醇なソウルアルバムだったのに、なぜ今回急にラップ寄りのR&Bになったのか。

  • 前作と同じことをしてたら先細りになるので幅を広げたかった
  • 実はこういう作風の方が好きだった。こういうのを元々やりたかった
  • Dr. Dre監修が強まったので、流れでこうなった

わかりませんよね。まぁでも最後のクリエイティブコントロールはAP自身にあって、それで彼自身が判断してこれが最善ということでリリースしたわけだから、もうしょうがない。
しょうがないけど、ホントしょうもないアルバム。
ラップ寄りをするにしても、もっとトラックで盛り上げていかないと間が持たない。ラップに聴かせる力があるならいいよ。でもゆうてもあんたは歌手であってラッパーじゃないんだから、ラップがしょぼかったら無理なんです。
彼のキャリア初期のクラシック"Suede"が良かったのはどこか。ラップ寄りの"Room In Here"が良かったのはどこか。


Anderson .Paak - Room In Here - Deezer LIVE
アルバムにはいい曲がもう一個あったけど、やっぱり歌ってる曲なんだよな。どこが本質なのかっていうのが、あまりにも露骨に示されている。



次。次のアルバムで彼の本当の力量が問われる。
ちゃんと2枚目を踏まえた上でのアルバムとなるのか。
セカンドだけ気まぐれで再び本質を取り戻していくのか。
これからずっとこんな感じでいくのか。
良くなるのか。悪くなるのか。