No.6 『Trill O.G.』Bun B

まあ、さほどUGKファンでもない私が偉そうにBunを語るのもね。突っ込んだ話は出来ないだろうけど、とりあえず始めていきましょう。

個人的にファーストは結構好きだったんだけどセカンドはイマイチでした。今回は?

うん、思ったよりも良かった。5年ぶりに5本マイク認定も貰えたし、力作だろうね。

基本的にストイックなラップがブレないのは一長一短。男らしいけど、下手したら一本調子というか。
焦燥感の出たトラックが秀逸な"Trillionaire"にしても、新旧のtrap"Just Like That"や"Countin' Money All Day"とか"Snow Money"にしても、やっぱり起伏がないし捻りが足りない。呼ばれたゲストたち、JeezyやGucci、Yo Gottiがどうにか変化を付けられたら良かったんだろうけど、そこまで辿り着かなかった。T-Painも別に悪くはないんだけど、正直リスナーは皆すっかり飽きてしまっている。一時期の参加してくれるだけでオーケーのキャメオシンガーでは最早ないよね。
あと、ラストの"It's Been A Pleasure"はつまらんかった。Drakeも意味ないし、Boi-1daも大したことない。
ただ、残りの曲たちは総じて良かったんじゃないか。主役は変わらず意固地を張る中で、トラックやゲストが彩りを増やして充実感を補強している。
定番のベシャリから始まる"Chuuch!!!"から素晴らしい。重く踏み込んだナイスなトラックだ。
唯一無二のメロウネスがたまらない"Put It Down"も見事。Young Sweet Jonesと言うのはわからなくもないが、なんか腹立つ。
"Speak Easy"はBunの乗せ方が好かないんだけど、苦みの利いたトラックがいいし、Twistaも巧みで唸らされる好曲。
続く"Lights, Camera, Action"も凄いトラックだな。往年のNepみたいなドラムに展開を備えてます。似合わない?でもまぁいい。
さらに今度はよりハードにかます"I Git Down 4 Mine"が強烈。陰影が利いてるし、中毒性の高いハイライト曲だろうね。

ただ一番のハイライトは、やっぱり"Right Now"になるでしょう。
最初にも述べたけど、UGKには特に深い想いは持ってないんだよね僕は。"Int'l Player's Anthem"は好きだけど、それ以上にはホント何もなかったんだ。
けれど、"Right Now"の頭、急にその声が聴こえてきて、ハッとしたんだよね。きらびやかで華やかなトラックに、Treyが爽やかにカッコよく歌うんだけど、すごく胸が熱くなって、いろいろな想いに瞳を潤ませながら踊るような、そんな素敵な曲になっています。


ということで、行ける曲は総じてハイレベルという力作になってますね。アルバムの構成もしっかりしているし、ジャケットもキマっている。
もう少し僕がHouston Hip Hopに思い入れがあったら順位ももうちょい上がったかもしれないけど。"Ridin' Slow"みたいなのとか、Biggieの"Juicy"をHoustonバージョンでお届けしたような"All A Dream"みたいなのは、あんまり感じなかったからね。

しかし、良かったよ。いいアルバムだ。クオリティの高い充実作。


ってか、Steve Belowって誰だよ。スゲーレベル高い仕事連発やないの。気になる天才ですな。