まぁ日本の歌手は信じすぎ

最近聴いた音楽をあんまり脈絡なく批評していこう。


Usherはね、まぁBeyonceと比べたら粘ったけど、結局はその大御所的マンネリズムに呑み込まれてしまってたね。
僕は好きだったんだけど世間が『Here I Stand』の王道歌い込みに満足しない以上、もう攻め続けるしかないわけで。
前作の『Raymond v Raymond』はどこかフレッシュな感触があったんだけどね、新作は特にワクワクを導く要因は見当たらなかった。
"Climax"はドラマチックで芸術的な曲だけどね、もうひとつ突き抜ける魅力に欠けている。強烈に惹き付けてくれる何かが足りない。そしてそれは直接、チャートでの冴えない結果に反映されていると言えよう。
所詮チャート、されどチャート。Usherのステータス上、チャートとアートを両立しなくてはいけない。それが出来なかったら、失敗である。
タイムレスであるのは難しいかもしれないが、"U Don't Have To Call"とか"Love You Gently"みたいな鮮烈な曲を次は期待したいものです。



続いてはUsher繋がりでJustin Bieber。いかにもバブルガムな売り方をされているイメージだけども、昨今のアメリカンポップスの傾向と同様に、JBくんもけっこうハイセンスな音楽で勝負するポップミュージックを作ってますよ。
ポップスの構造が変わったんです。昔と比べたらクリエーターの質が向上したし、リスナーの層もよりワイドなレンジになりましたから。

この傾向、この流れを作ったのは間違いなくTimberlakeのJustinです。彼の美意識とか、アーティスティックな感性というか、その妥協のない魂が、素晴らしくカッコイイ音楽を作ったわけで、『Justified』と『FutureSexLoveSounds』という2枚の歴史的名盤を産むことになったんですね。今聴いてもホント刺激的だし、すごく勝負していてカッコイイアルバム、それでいて敷居が高いとか全く無くて、最終的には間違いなくタイムレスなポップスという、そういう見事なアルバム。

…で、Bieberの話をすると、今回のソフォモアはJTのセカンド『FSLS』の影響を受けてるとか何とか。
多分未だにUsherJTを好ましく思ってないだろうから、あんまりそういう発言すんなよとか思いつつ。
まぁ、さっくり言えば、昨今のポップミュージックはほとんどがFSLSの影響下にあるわけで。
いやもう今を賑わすハウス/テクノ系のポップスは全て、FSLSに端を発してるよ。
ホントそうなんだよ。枚挙に暇なさすぎだけど、例えばUsherを見てみるとLove In This ClubとかOMGとかDJ Got Us Fallin In LoveとかScreamとか、もう最近のシングルほとんどやんけっていうぐらいにね。
みんなこぞってやってるんだけどね、やっぱり最後のエッセンスに欠けているんだよ。何かが足りないから、ただ消費されるだけに終わってしまう。
FSLSにクオリティ的に一番近かったのはDiddy-Dirty Money『Last Train To Paris』だと思う。あれは2010年度版FSLSみたいな趣があった。やっぱりPuffのスペシャルな耳があってようやくJustinに肩を並べられるレベルに近づけるっていうぐらいの究極な話なんだよね。
いやぁさっきからFSLSFSLSしつこいけどさ、しつこいのはアメリカのポップス業界であって、2006年にエポックメイキングだったこの作風が、2012年になっても未だに幅をきかせてるんだからね、ホントしつこすぎだろっていう。

つーかいい加減Bieberの話をしてやれよってなるんで今からしていきますと。
まぁ、大勢を占めるフューチャリスティック系に今更取り立てて興味は湧かんわね。目新しさ皆無だし。
そんな中、気だるい"Right Here"と甘い"Catching Feelings"、この2つはけっこう良かった。前者はDrakeとの声の相性が良かったし、ありがたいまでに安定のBabyface節でお届けする後者も全く抗えない心地よさ。FSLSでいうところの"Damn Girl"と"Another Song All Over Again"になるのかな。そういう立ち位置の曲にピークが来たという点が、なんだか二人のJustinのアーティストとしての表現アイデンティティの違いとしてわかりやすく顕れてて、なかなか面白く思います。
ただ、何となく"Catching Feelings"はBeyonceの"Irreplaceable"似…これまた2006年だよ。どうなっとんねん。
(追記:ちゃんと聴いたら"Catching Feelings"は、"Irreplacable"というよりかはJTの"Still On My Brain"っぽいかな。2002年の曲ですね...)




今回は以上。
とりあえずaikoJohn Mayer、50、Frank Ocean、Nas、MMG、GOODあたりに次は期待してます。