何となくWhat You Won't Do For Love

僕はaikoもよく聴くんですよ。
歌詞に共感とかそういうのは別にないんだけど、彼女の紡ぐメロディが好きでね、まるでStevie Wonderのようだったり、あるいはJackson 5のようであったり、まぁざっくり言えばMotownっぽいその天性の明るさというか、その幸福オーラに溢れたメロディが好きなんよ。
メロディはまぶしいほどに明るいのに、だいたいが暗い歌詞だったりするのも個人的に最高。生きた詞を書いているんだなぁといつも感心します。

そんで新譜をね、聴いたんですが。
んー、なんつーか、まぁ前作『BABY』での安っぽいロックなアレンジを思えば、今回は流麗なプロダクションになっていて個人的趣味に合うんですが。
もっとギラギラした野心を感じさせる曲をね、もっとクリエイティビティを発揮した曲を期待しちゃうんだけど、ちょっと無難にすぎたかなと。
なんか、創造意欲が感じられなかった。

"くちびる"はとても素晴らしかったけどね。成熟を示したし、ほのかに漂わす音楽的ブラックネスが最高にかっこいい曲。かつての大名曲"Do You Think About Me?"の系譜を継ぐ、2012年屈指のポップスだと思う。

しかし、一枚一善とか正直ぜんぜん満足できないよ。他に聴きたくなるようなアルバム曲が特にない。前作も"beat"ぐらいしか残らなかったし。前はいくつもリピート必至のアルバム曲が控えていたというのに。

もっと思いっきり振り切ってほしい。
ポップ職人に徹するか、もっと黒く染まるとか、あるいはブルージーな側面を強調するとか。

個人的には、"夏にマフラー"みたいに肩の力が抜けた歌を作ってほしいんだけど、まぁいろいろと大きくなってしまって難しいんだろうな。
ほとんどのシングルがタイアップが付くぐらいの存在になってしまって。
それこそミスチルみたいな感じで。
大衆に消費される。それが、なかなかにもどかしい。
集中が削がれてるのが、とてももったいない。

...まぁ、僕も変わったんだよな。間違いなく、僕の耳が変わった。僕の集中力とかも変わった。
昔みたいに音楽にたくさん時間をかけることもないからね。大事な趣味のひとつだけど、いろいろある趣味のひとつでしかなく。
単純に、僕が歳をとっただけなんだろう。

ホント、音楽が僕の青春で、aikoはその中ですごく思い入れのあるアーティストで、僕の青春を彩ってくれた、大好きなアーティスト。
僕の青春も、ゆっくりと終わりを告げるみたい。いい加減大人にならなくては。


よくわかんなくなったが、まぁもうちょっと聴いてみるよ。
スルメであることを願って。