#14 "Checkmate" Jesse McCartney

なんか、チェックメイトって言うからには、君を落とす的なクラブ寄りのお話なのかなとか思ってましたが。
よーく聴いてみると、別れようとしている彼女に対して、いやぁもう君は詰んでいるよと、このまま負け組になるつもりなんだねっていう。
えーっとこれはなかなかに情けない内容になっているわけですね。
男の悲哀というのは難しいところですけども、まぁとりあえず音楽という芸術の中においては価値があると思います。
やはり突き動かすのは負のエネルギー。創造の源となり、ミューズとなり、導いてくれる。

でもこの曲は、歌詞がどうこうというよりサウンドの方ですよ。
静かにじわじわとはじまり、低く構えているけど、トラックの様子はちょっぴりスペイシーな、言ってみればThe-Dream路線の作風になっております。
必要以上に飾ることもなく、真顔で真正面から語る感じを上手く演出していると思います。
さらにはメロディ。これまた迫真とか書きたくなるようなマイナー調で、これがJesseのボーカルの旨味が最大限に引き出されているんです。
サビとかめっちゃいい声。聴いてて気持ちいいです。
そしてブリッジに到達し繰り広げられるトラックのワイドな展開に合わせて、青くて繊細なJesseの高音部を活かしたメロディライン。情けなく弱々しく吐露される苦しい胸の内、しかし晒け出された弱みはさほど醜くはなく、むしろどこか芸術的で美しさすら漂わせるような、そんな感じもある。

構成美ですね。全体の均整がとれていて、筋が通っている。とても上手くプロデュースされています。
やっぱり俳優だからか、こういう演出家目線もしっかり用意されているといったところか。
実にレベルの高い、アーバンポップスでございます。ありがとうJesse。
あと、ありがとう Troy "R8DIO" Johnson。この曲のプロデューサー。うん。誰やねん。まぁでもすごく能力がありますよ。もっと活躍の場を広げていってください。応援してます。